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鉄道模型実験室 No.306  引出し特性 EF65-1103号機と手作りコントローラ

 引出し特性という現象を観察しています。今回は手作りコントローラを使用し、いままで懸念していたトラクションタイヤを新品に変更し、さらに牽引糸をナイロン製から木綿性に変更して、EF65-1103号機の引出し特性を観察しました。

 

■ 手作りの簡易コントローラ

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 今回使用した電源は、「モータドライバBD6231を使って簡易コントローラを作る」(2020/3/19)にて工作した自作のコントローラである。

 鉄道模型は動力車に搭載されているマグネットDCモータを制御して運転をコントロールしているので、モータドライバICを使用すれば同じように制御できるのである。そこで、ROHM社のHブリッジドライバーシリーズのBD6231を使ってコントローラを自作したものです。

 電源としてACアダプター12V1.25A 仕様のものを使用し、進行方向を決める2回路2接点、中点付のトグルスイッチを設けています。 中間点では、どちらの端子も宙に浮いてしまいますので、10KΩの抵抗を通してGNDに接続させています。供給電圧 Vcc とVREF端子に入力された電圧 Vref の比に応じて、デューティ比が制御された25KHz のPWM出力が、OUT1 または OUT2 から出力されるのです。

 この他に、ポイント制御や過電流保護などを考慮した優れモノの手つくりコントローラなのです。そして、超簡単にPWM制御された出力が得られるので、その効果を確認したかったのです。

■ トラクションタイヤの交換

 どうもトラクションタイヤがへたっているようでしたの、新品に取り換える事にしました。EF65-1103号機はKATO製の品番:3061-1、商品名:EF65 1000 後期形であるのでパーツリストに掲載されていたトラクションタイヤ純正品 φ6×1mm 品番Z01A4019 に交換しました。

 まず、台車部分を分解して動輪を取り出し、タイヤを取り外しました。案の定、タイヤはすぐに切れてしまい、弾力は有りませんでした。

 今回の実験前から劣化していたようで、実験前にメンテナンスしておくべきだったと反省しています。

■ 牽引用の糸を変更する

 ステップ応答の立上りのオーバーシュートの原因として、糸の弾性が影響していないのかと疑っていたので、使用していた 0.6o の墨ツボ用細糸(材質:ナイロン)をミシンの箱の中にあった木綿の糸に変更しました。サイズ等の仕様は不明でしたが、弾力はほとんどありませんでした。

 これらの準備を実施して、今までどうりの方法で実験・観察を行いました。

 

■ ダイヤル設定とステップ応答

 スピードコントロールダイヤルの位置を変更しながら、手放し状態からヨーイドンにてスタートさせました。この時のステップ応答の状態を観察しました。

● ダイヤルをMAX位置に設定する。電圧は12V。

● ダイヤルを4時の位置に設定する。電圧は11V。

● ダイヤルを2時の位置に設定する。電圧は8V。

● ダイヤルを12時の位置に設定する。電圧は7V。

● ダイヤルを11時の位置に設定する。電圧は6V。

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 EF65-1103号機の場合、この状態でやっとこさ動き出し状態でした。

 

■ データのまとめ

 先回と同様に引張力と車速の関係を右に示すようにまとめてグラフ化しました。

  1. 特性パターンは、電圧制御の場合と同じようなパターンです。そして、この装置のPWM制御は専用のコントローラに負けない、否、その以上の性能を発揮しているように見えますが、これはモータドライバの性能がバッチリである事の証明ですね。
  2. トラクションタイヤを純正の新品に変更したので、粘着力は回復していました。正解でしたね。もっと早くメンテナンスすべきでした。
  3. ステップ応答時のオーバーシュートは改善出来ていませんでした。従って、牽引糸の弾性の影響ではなくて、他の要因がある事ですね。ロードセルのベンディンバーの弾性と慣性体の構成を主とする振動系かも知れません。

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 この実験にてユニットの違いによる観察は終了する事にします。

 

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■ まとめ

 この実験は何を観察しているのかと自問自答しながら実験を実施していましたが、最後に実験・観察を振り返ってまとめてみます。

  1. 今回の一連の実験と観察は、鉄研の説明資料にあった右のイラスト図の内容をもとに実施したものです。この図に示されている縦軸を引張力に、横軸を速度にして動力の特性を測定データをもとにグラフ化しました。そして、このイラスト図と上記のグラウを対比して見て下さい。
  2. すると、列車の走り出し時に必要な加速力の状態を目で見ることが出来るようになりました。当然ながら、この列車の加速力は機関車の動力特性と負荷側の負荷特性によって決まるものであるので、実験条件や電源の状態によって変化します。この点も注意しましょう。
  3. この機関車の動力特性について、実車に於いては低速では定トルク制御を実施し、一定速度以上では定出力制御を実施しており、動輪の空転を防止しています。
  4. しかしNゲージの鉄道模型の場合は、この空転状態を放置しているので動輪がカリカリ状態で運転されるのです。従って、粘着領域と滑走領域の特性が明確に現れます。速度が上がると横に移動している領域は滑走領域の特性を示しており、ある点から右下がりの特性を示す部分は粘着領域を示しています。したがって、この特性は、今まで実施してきた静特性としての”牽引力特性”と重なるものであり、そのデータを補完するものと見ることが出来るのです。
  5. 列車加速度がゼロとなる引張力と抵抗線の交点は、列車が一定速度になるポイントを示しています。測定データもこのことを明確に示していますね。
  6. 今回の実験では、電源の特性も影響していますので、色々なユニットの比較も実施しました。その結果、Nゲージ用のパワーユニットは、スピードコントロールがし易い電圧制御を基本にした制御を実施しているので、どの製品も同じような特性を示していることが確認できました。
  7. 一時は、電流制御もいいのではないかと考えた事もあるのですが、極低速域では制御性が良いようですが、それ以上の領域では電圧制御の方が優れていることもわかりました。電流制御のメリットが見出せませんでした。このことは、鉄道模型と実際の鉄道車両の違いにも起因しています。エンジンやモータなど動力車の動力の違いによっても制御特性が異なり、これによって走り出しの制御方法も異なって来るのは当然です。
  8. 鉄道模型を楽しむ人はなぜ走り出しに注目するのでしょうか?
           ・ ゆっくりと加速していく列車が格好いいからである!
           ・動輪が空転しながらダイナミックに加速していく様子が格好良いのだ!
  9. ゆっくりと加速していく様子を楽しむのならば、スピードコントロールダイヤルをゆっくり回していけば再現できるので、問題ないですね。
  10. 動輪が空転しながらダイナミックに加速していく様子を再現するのは、なかなか難しいです。実物と模型とに於いて、慣性負荷と摩擦抵抗負荷の比率が大きく異なるため、模型にて再現するのは難しいと考えています。動輪が空転するような最大パワーで加速すると、すぐにスピードが上がってしまいます。脱兎のごとく飛び出していくのです。このためには、線路が歪んでしまうほどの重い重い車両を連結させなければならないのです。これは無理な話ですね。
  11. 今回の実験・観察に於いて、「静特性」と「動特性」の違いを考えさせられました。実験方法、解析方法、特徴とメリットとデメリット、解析の限界など、色々な知見を得ることが出来、勉強になりました。そして、静特性での実験で得られた知見が、動特性の観察に於いても基本になっていたことを痛感した次第です。まず、シッカリと静特性を把握した上で動特性を観察することをお勧めします。
  12. そして、今回の引出し特性の観察は、静特性では把握できなかった極低速領域での様子を補完することが出来たと考えています。

 でも、上記の実験装置を使えば、ダイヤル4や2の位置では動輪が空転している状態で加速していると思われます。そこで、動力車をC57に替えて走らせてみましたが、面白くありませんでした。実物のようなダイナミックさが全然無いのです。ロッドを見ると確かに空転しているのですが、スルスルと加速していくのみで、動画に撮影しようと構えていたのですが、拍子抜けの状態でした。

 やはり再粘着制御やトラクションコントロールのようにアクティブな制御状態でないと見ごたえは有りませんね。

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 この回で、このプロジェクトを完了として区切りを付けることにしました。ご苦労様でした。

 

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 2026/4/24 作成 4/25 追記