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登山鉄道自動運転システム  緩衝器付エンドレールでの自動停止装置

■ はじめに

 先々月に報告した「登山電車の」自動運転構想」について、偶然入手したラズパイや、新しく発売されたC11につての検討のために中断していた。 しかし、これらの作業が一応終了したので、」自動運転システムの構築作業を再開した。 即ち、構想にて説明したアイディアをひとつずつ検討していく事にしょう。 そして、新しく勉強したラズパイでの制御を念頭に於いてシステムを構成することとする。

 まず初めに、システム不具合時に於いてもレールエンドに激突することが無いよう、TOMIX のエンドレールEを使った防止策から始めることにする。 但し、激突防止策は考えると難しそうなので、レールエンドでの自動停止 に機能ダウンさせて実施することにする。 電車の動力機構を保護するために、車止めに当たると給電をストップさせることで誤魔化すことにした。

 

■ TOMIXのエンドレールEの構造

  TOMIX のエンドレールE(LEDタイプ2・ノイズキャンセリラー付、品番:1423)には、緩衝器付のエンドレールであるうえに、給電停止の機能を有している。 しかし、この給電停止機能を利用するには、エンドレール側面にに設けられているDCフィーダー差し込み口があり、ここから給電する必要があるのだ。 そこでまずこの部品の構造を理解するために、その分解調査から始めた。

 エンドレールEの全体の姿を下左に示す。 そして下右の写真に示す様に、底面には基板が見えるので、2本のネジを外して分解した。

 底面の基板を外した状態を下右に示す。 まず構造からみておこう。 スライドする台形の緩衝ブロックは、バネで押されているがレールに沿って移動出来る。 さらに裏側ではスライドするリン青銅製の板ばねが保持されており、基盤にある中央部の接触部と接触している。 緩衝ブロックが移動するとこの基板の接触部が切断されて、中央部での電気的導通が切断される構成となっている。 即ちスライド・スイッチとしての機能を成しているのである。

 さらに両側にはレール底面に取り付けられた3個の接触子と接続されるが、レールエンドに向かった左側のレールは、途中で分断されているため、左レールには2ヶ所の接触子が必要なのである。 レールエンドの一番奥にはチップLEDがあり、エンドマークの窓を点灯させている。 ブロックの側面にはフィーダー線の差込口が両側に設けらており、右レールと左奥のレールと接触するようになっていた。 なお、下右の写真ではカバーを取り外していないので、その様子は映っていません。

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 合計6個の同じエンドレールを持っているが、同じ品番であるものの、ロット番号と思われる5桁の記号が異なっているものがあった。 その記号は3種類あり、それぞれ回路基板は同じ構成に見えたが、どうやら2種類のパターンがある事に気が付いた。

 自分が所有している6個のエンドレールのロット番号は、

  1. 60MJH
  2. A56AC、 T06AB

の3種類があり、1と2のロットの基板パターンが異なっていた。

 最初の60MJHの基板は、下左の写真のパターンであり、A56ACとT06ABの基板は下右の写真に示すパターンであった。

 このパターンを追っていき、テスターで導通チェックを実施しながら推定した回路構成図を下に示す。 その1が上左の基板で、その2が右の基板である・

       

 基板は底面に上向きで取り付けられている。 このため、写真と回路図の右側がレールエンドへの入り口であり、左に向かって電車は進入してくる。 レールと平行しているパターンの両側には、レールと接触する部分が3ヶ所あり、レールエンドに向かった右側のレールはエンドまでつながっており、横から差し込まれるフィーダー線と接続出来ることになる。

 フィーダー線は左奥のレールとも接続出来るが、手前の左レールには、ダイオードが接続されていると共に、移動する緩衝ブロックのスライド・スイッチでもれんけつされている。 このスライド・スイッチは通常は接続状態の常時閉であるが、進入してきた電車によって緩衝ブロックがスライドすると接続が切断されるため、左奥のレールと左レールは電気的に切断されるのである。 進入時は、Nゲージのルールとして右レールがプラス状態で、左レールはマイナス状態であるので、スライド・スイッチが切断されると、マイナス側が遮断されるために電車は停止する。

 レールエンドから出発する場合には、左奥レール部分がプラスになるため、スライド・スイッチが切れていても左奥レールから左レールにはダイオードを通して通電出来るので、電車は無事に出発することが出来るのである。

 その1のパターンには?マークを付けた不思議な部品を使用していた。 コンデンサでもないし、抵抗でもないようであった。 安全装置なのだろうか? また、その1ではES6bと記されたチップ部品はおそらくコンデンサと見る。 その2でも同じ位置にコンデンサを採用しているが、テスターで容量を測定しようと思っても、接続している回路を通して通電しているのでテスターでは容量を測定出来なかった。

 その2の方は、新しく改良したパターンと判断しているが、何故その1から変更したのか、自分には推察出来ません。

 

■ 配線加工

 先回の報告で示したアイディア図では両方の線路を細工するように示していたが、構造を観察した結果、左レールだけを細工すれば良い事が分かった。 そこで、φ0.4mm のエナメル線を使用して、レールエンドの左奥レールと、入り口の線路の左レールを接続する工作を実施した。

 まず、レールエンドの底面のカバーを外し、外側側面を這わせたエナメル線を左奥レールの底面にハンダ付けした。 下の写真。

 次にレールの下を這わせたエナメル線の他端を、入口線路の左レール側面にハンダ付けした。 下左の写真。 なお、この入口線路のレールジョイナーはここだけ非通電仕様のレールジョイナーを使ってギャップを設けている。 左レールだけで良いのだ。

 また、エナメル線をハンダ付けしてしまったので、線路を不用意に分解出来ないようにガムテープで補強している(気休めであるが・・・・・)。 下右の写真。

 

■ テスト走行

 出来上がったレールエンドセットを使って、簡単なテスト走行を実施してみた。 回路構成を下の写真に示す。

 踏板型方向指示LED (TOMIX品番:0112)が4個あったので、ギャップを設けたレールの前後に設置して、通電状態をチェックした。 動作状態を動画で紹介しよう。

 やはり激突防止とは行かなかったが、電車の停止機能は上々であった。 

 この方式によって、線路終端での自動停止を安全に実施することが可能となった。 実際には次の改良点を付加してシステムを組むことにする。


 2017/5/1 作成  M.T.