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登山鉄道自動運転システム  車止めを作ろう

■ はじめに

 今回のテーマを実施してきて、システムを大規模にかつ複雑にするほど構成するセンサやアクチュエータの信頼性がより重要となることを改めて痛感した。 当初はホビーなのだとタカを括っていたが、ホビーと言えども真理は成り立つのである。 そこで、ふと浮かんだアイディアをもとに車止めの工作を実施したので、その様子を記録することにした。

 

■ 車止めの問題点

 今回使用した車止めは、動力源となる電力の自動遮断機能と、停止信号を発信するセンサ機能を兼ね備えた車止めである。 自動遮断機能は、レールエンドに電車が接触すると駆動輪の空回りを防止するため、レールに供給している電力を遮断する機能である。 これによって、あえて制御を加えなくても、電車は安全に停止していることが可能なのだ。 さらにその状態である事をコントロールセンターに伝達するセンサ機能も付与されているので、コントロールセンターはこの運転モードが完了したことを知る重要な情報源でもあるのである。

 しかし、システムとして重要な要素であるこの部品は、TOMIX のエンドレール (1423) を使用し、その構造はそのままに、電気回路を追加しただけの構成であったため、エンドブロックのスライド機能が不安定であり、コジレの発生により戻り不良が多発した。 分解掃除やグリースアップなどの手を加えたものの、この様なシステムに使用することを想定した製品ではないために、やはり限界であった。

 

■ アイディアの検討 試作1号

 一番の課題であったエンドブロックのスライド機構を、簡単な平行リンク構成にして、コジレの少ない機構を使ってみようと考えた。 我が宝物の部品ストックにてマイクロスイッチを見つけたので、この部品を使ってみようと考えた。 そして、プラスチック片を使って構成した試作1号を作った。

 使用したマイクロスイッチは、タミヤのエレクラフトシリーズの 5A マイクロスイッチである。 ノーマルクローズ (NC) 端子とノーマルオープン (NO) 端子を備えており、幅も 20mm とレール上に設置できる大きさであった。 仕様の 6V - 5A は充分過ぎるがとにかくこの部品を使ってテストしてみた。 このスイッチの問題は、操作荷重である。 簡単に測定してみたが、およそ 30 グラムの操作力が必要なのである。 非力な電車で押し付けるには、どこかで倍力機構が必要なのである。

 以前に、このマイクロスイッチを使用した失敗例があるのであるが・・・・・・・・・・。   「簡易形ATSシステム」 (2014/8/29) である。

 図面を引かずに作り出したのであるが、思ったよりも簡単に作動した。 当初はスイッチを直角に取り付ける予定であったが、作動具合を探っているうちに上の写真の状態にすると快適に作動することが分かったのだ。 平行リンクは、14.5×21mm の寸法で、マイクロスイッチを作動させるアーム長さは 4.5mm であった。 これより力の倍率は約3倍となる機構であった。

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 作動テストのための実験状態を上に示す。 電気回路は、右のイラストような回路とし、ブレッドボード上に構成した。

 右のイラストの回路では、コントローラから直接電力を供給しているが、本来はホーム部分の入り口にレールのギャップが必要である。 今回は省略している。

 マイクロスイッチの NC と NO 端子を使用して、入線時には通電させ、エンド部を作動させた場合には電力供給を遮断する回路としている。 そして、出発時の逆方向の通電は、マイクロスイッチを介さずにダイオードを通って通電させるように構成している。

 3色のLED は添えぞれの状態を表示するように構成した。

 この作動状態の動画を下に紹介しよう。 やはり、Bトレ1台(補重済み)では力不足のために、車止めレバーの作用力には打ち勝てなかった。 Bトレの場合は、補重した2台での牽引力が必要であった。

 

■ 少しばかりの改良 試作2号

 基本作動は確認できたので、もう少しスマートな形になるように真鍮板を使って試作2号を工作した。 平行リンクは、18×14mm の寸法とし、マイクロスイッチを作動させるアーム長さは 4mm で力の倍率は 4.5 倍となる機構であった。 

 作動テストの実験装置を下にしめす。 電気回路は組みなおしたものの、同じ回路構成である。

 リンクは軽快に作動し、マイクロスイッチの調整も簡単であった。 作動状態を観察していると、スイッチを押す部分は何もコロにする必要は無かったようである。 φ1.0mm の真鍮棒の先端で、そのまま押せば良さそうであった。 勿論、棒のガイドは必要ですが。 作動状態の動画を下に示す。

 

■ 最適なマイクロスイッチを探す

 作るなら、もう少しコンパクトな構成にすべく、最適なマイクロスイッチを探すことにした。 ポイントは小型化と小さな作動力のスイッチであることだ。 ネットで検索すると、オムロン製では、D2F系とSS系があり、D2F系は小型であり、SS系では作動力が 0.08N と言う微小操作力の製品が発売されていた。

     (例) 超小形基本スイッチ 0.1A ヒンジ・レバー形 0.08N (SS-01GL-E)

 しかし、この製品は 0.1A 仕様とのことであるので、実際のモデルを走らせて消費電流を測定してみた。

 その結果、鉄コレ電車では、60〜80mA、Bトレでは約20mA 、箱根登山電車の旧モデル(スプリングウォーム式)では、約130mA、最新モデルでは 80mA であった。 この消費電流がマイクロスイッチを流れる場合は、入線時である平坦路のホーム区間のみであり、そして短時間であるのだ。 それ以外はLEDを点灯させるために流れるので10mA以下と考える。 このため、仕様オーバーする場合もあるが、まずは問題無いと判断し、微小負荷形の01系仕様のスイッチを使ってみることにする。

  この車止めの操作力と、マイクロスイッチの作動力を簡単に測定できる工夫をしてから、試作3号を作ってみよう。 なお、停止信号を発信するセンサは、リンクの移動によって反応する反射式フォセンサで検知させてるつもりである。 これによってPWM制御によるノイズからも開放されるものと期待している。

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 2017/6/27 作成  M.T.