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鉄道模型調査室  KATO Allegra のライトユニット

 逆向き点灯の防止対策を検討しています。 先回、報告したようにメーカーでの対応は、スナバ回路ではなくて、CRローパスフィルタを使った回路構成であることに気が付きました。 そこで、メーカー品の照明ユニットについて、その内容を観察することにしました。

 

■ KATO製 Allegra車 のライトユニット

 最初は、なるべく最新の車両をと思ってキハ58系気動車の先頭車両キハ26-72号機を持て来て分解してみましたが、コンデンサが付いていない単純な回路でした。 そうです、モータを搭載していないトレラー車では、逆向き点灯の防止対策は不要だったことに、気が付きました。 トロイ!

 そこで、レーティッシュ鉄道 アレグラの3号車ABe4/4 35008 号機を分解して、その照明ユニットを調べることにしました。 「レーティッシュ鉄道 アレグラのモータ付き先頭車 ABe4/4 35008 号車」(2022/3/1)参照。 この時はまだ、外観だけの観察でしたし、回路構成をスナバ回路(用語も間違っているし・・・・・・・)と思っていたのですね。

 まず、照明ユニットの取り付け状態から観察しました。 前進時に点灯するヘッドライト用と、後退時に点灯する尾灯用のLEDが表と裏に設置されており、上下にずれている導光部材で光を導いています。

 照明ユニットの表と裏側です。 中央のコンデンサを取り外した跡が残っています。

 両面基盤で4ヶ所のスルーホールで表と裏を接続しています。

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 基盤のパターンを追って行って右のような回路図にしてみました。  表と裏のLED、およびコンデンサが並列に接続され、それに抵抗が直列接続されていました。 抵抗はLEDの電流制限用と判断していたのですが、よく見ていると、図の右に示すように抵抗とコンデンサで、CRローパスフィルタを構成し、それに二つのLEDが並列の接続されている回路とみることができることに気が付いたのです。

 そして、テスターで抵抗とコンデンサの値を測定しました。 抵抗は558.5Ωでしたので、表記の561 すなわち560Ωと一致します。 コンデンサの測定結果では0..87μFでしたが、無表記でしたので、1μFか0.9μFなのかは判断できません。

 

■ オシロで波形を観察する

 作動状態を観察するためにオシロを持ち出し、PWM制御のパワーユニット N-1001-CL からパルス電源を供給して電圧波形を観察しました。 上図のまる1の部分をチャンネル1に、まる2の部分をチャンネル2に接続し、まるGの部分をGNDとしました。

 

● モータなしの回路での波形

 まず、モータを接続していない照明ユニットだけの状態で観察しました。

 最初にゼロ点の確認のため電源をOFFした状態にした(上左の画面) 。 そして、電源をONして。チャネル1と2の波形を記録する(中央の画面)。 フィルタの上流側のCH1の波形は綺麗な矩形波を示し、また、フィルタの下流側のCH2の波形はほとんど一定値を示していた。 さらに、電極のプラスとマイナスを逆転させた状態を上右に示すが、セロ点を中心として上下が丁度が逆転している状態を示していた。 すなわち、電極のプラスマイナスを逆にしても、波形としては同じ型をしていことが分かる。

 そして、フィルタの上流側の矩形波において、パルスOFF時でもゼロボルトではなくて、2ボルト程度の電圧を示している。 この電圧はフィルタの下流側よりもわずかに小さいだけなので、コンデンサに蓄電された電気が逆流していると考えられる。 フィルタの下流側の矩形波は、パルスのON/OFFにほとんど影響されていないようであるが、拡大すると少し山形になっていた。 パルスON時に充電し、OFF時に放電しているのが分かる。 この電圧がLEDを点灯させているのだ。

 次に、PWMのデューティ比を変えてみよう。 

 フィルタ下流側の電圧はデューティ比によって多少変化している様子であるが、詳しくチェックする必要がありそうだ。 次にモータを接続している場合の様子も観察してみよう。

 

● モータ付き回路の波形

 実際の使用状態として、モータが並列の接続されている回路の場合の波形も観察してみた。 上記と同じように電極の向きを反転させた場合もチェックした。

   

 フィルタの上流側のパルスがOFFの場合、電圧がマイナスになっているのが観察される。 これはモータによるフリーホイール電流によってパワーユニットのフリーホイールダイオードによる電圧による影響と推察する。 電圧のスケールを拡大してみよう。

 出力側だけの電圧スケールをもっと拡大してみた。

   

 出力側の電圧は、パルスがONの時にコンデンサを充電し、OFFの時に放電している様子が観察される。

 

■ CRローパスフィルタの参考サイト

 抵抗とコンデンサの組み合わせ回路の特性計算さいとして「CRローパス・フィルタ計算ツール」を参照した。 ここで計算したボード線図を下に示す。 サイトの責任者のもとで使用可能とのことでしたので活用させていただきました。

 キャリヤ周波数が20KHzのPWM制御電圧はカットされてしまい、直流成分、すなわち平均電圧部分しか通さないものと理解しました。 このサイトにはPWM入力の場合も記述されていました。 でも、特殊な電流・電圧特性を持つLEDが負荷となっている回路の場合や、モータが並列で接続されている回路での挙動がどうなるのか、門外漢である小生にはチンプンカンプンです。

 そこで、先回の実験方法に倣って、ブレッドボードで回路を組み、抵抗やコンデンサの値を変えながら実験をしたいと考えています。 スパイク電圧の様子、あるいはPWM 信号への影響、また、常点灯機能の様子なども見てみたいですな。

 

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  2022/4/17