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鉄道模型調査室   KATO製ポイントの動作特性 その2

 

■ いきさつ

 KATO製ポイントについて、分解調査や特性測定を実施している。 先回の続きとして、複数のポイントの同時駆動の場合について作動状態を観察することにした。

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■ 複数のポイントの同時駆動の場合の影響

 待避線やヤードでは、複数のポイントを同時に駆動させることが必要となる場合が多い。 KATOの場合、分岐コネクタを使用すると容易に3個のポイントを同時駆動させる配線が容易に実現できる。 しかも、切り替えは着実に実行できることを経験的にしっているが、実験でも確かめておこう。 

 測定は、3個のポイントを順次接続して、その時の電圧と電流波形をオシロで観察し、オシロ波形より値を読んだ。 このパワーユニットは、交流を全波整流した状態なので、直流と言えども脈動波形なのである。 さらに、ポイントスイッチにより通電時間が 50ms 〜 100ms 程度なので、テスターで測定するには無理なのだ。 このため、オシロ波形から読み取る方法しか無いので、ピーク値のデータを使って検討している。

 測定は、ブレッドボード部で電圧と電流を測定し、分岐コネクターを使って複数のポイントへの配線を実施している。 測定部と分岐部の位置を変えることによって、ポイント側と電源側(ポイントスイッチ側)の影響具合を観察した。 右の写真は、測定部が上流にある場合である。

 

■ ポイント側への影響

 あるポイントを駆動する場合、他のポイントと同時に駆動させると、そちらにも電力が取られ、ポイントを駆動する電力が減少し、駆動力が小さくなる事が考えられる。 測定は、電動ポイント4番(右)を駆動する電圧と電流の波形を観察するために、この配線上で測定している。

状態 方向 駆動波形 最大値

電動ポイント4番(右)

のみ

反位へ

電圧: 20V

電流: 0.90A

定位へ

電圧: 20V

電流: 0.95A

電動ポイント4番(左)

も同時駆動

反位へ

電圧: 18V

電流: 0.86A

定位へ

電圧: 19V

電流: 0.90A

電動ポイント6番(左)と
電動ポイント4番左)
も同時駆動

反位へ

電圧: 16V

電流: 0.72A

定位へ

電圧: 17V

電流: 0.81A

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 複数のポイントを駆動する場合にはやはり電圧と電流が減少しているのが分かるが、いずれの場合も、すべてのポイントは軽快な音と共に確実に作動していたので問題無いと判断する。

 電圧と電流の関係を右のグラフに示す。 電動ポイント4番(右)の抵抗値 20.3Ωの場合の電圧と電流の特性を赤線で追加しているが、ほぼこの直線状に乗っかていることが分かる。

 この現象は、どれだけの電力を供給出来るのか、即ちパワーユニットの能力に関わってくるので、今度は、測定部分を分岐コネクタの上流側に置き、その出力能力の具合を観察してみよう。

 

 

 

■ パワーユニットの能力

 複数のポイントを駆動する能力がどの程度なのかを見てみることにしよう。

       

電動ポイント4番(右)

のみ

反位へ

電圧: 20V

電流: 0.90A

定位へ

電圧: 20V

電流: 0.95A

電動ポイント4番(左)

も同時駆動

反位へ

電圧: 18V

電流: 1.67A

定位へ

電圧: 19V

電流: 1.72A

電動ポイント6番(左)と
電動ポイント4番左)
も同時駆動
反位へ

電圧: 16V

電流: 2.17A

定位へ

電圧: 18V

電流: 2.26A

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 複数のポイントを駆動する場合には、電流がそれだけ必要となり、パワーユニット側の能力の影響により電圧が減少しているのが分かる。 しかし、いずれの場合も、すべてのポイントは軽快な音と共に確実に作動していたのでパワーユニットの能力としては、問題無いと判断する。

 この時の電圧と電流の関係を右のグラフに示す。 電流が増加するに従って電圧が下がっているのがわかる。 これが前記のデータにも現れているのだ。

 また、先回測定したポイントの抵抗値をもとに、電圧と電流値もグラフ化してみた。 電気関係は詳しくないので、これらのグラフから何が読み取れるかと言われたら返す言葉もない。

 ただグラフを眺めているだけなのだが・・・・・・・・・・。  定位へ変換する場合と反位へ変換する場合の違いも何故なのかも理解していない。 データ的にこうなりましたという幼稚な報告で申し訳ないが、とにかく問題無く作動するのは確かである。

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  2017/11/5