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鉄道模型調査室   KATO製ポイントスイッチの調査

 

■ いきさつ

  鉄道模型で使用しているいろいろな製品の内容を知る事は、使用する場合の知見として参考になると考え、あらためて手持ちの製品の分解調査や性能特性を調べることにした。 一部の製品については、これまでも調査してきたが、小生が所有している範囲内で対象を広げることにした。 今回は、KATO製のポイント関係に関する製品群を対象として調べようと考えているが、今回はポイントスイッチの分解調査を実施した。

 KATOではポイントスイッチと呼んでいるが、TOMIX ではポイントコントローラと呼んでいる。 他のメーカーはどうだろうか?

 

■ KATO製ポイントスイッチの調査

 このスイッチは、ポイントを切り替えるためのスイッチで、パワーユニットの側面に取り付けて操作するように設計されている。 ポイントスイッチを重ねて使用できるようにパワーユニットに接続する側に凸のボタンが有り、反対側に凹のボタンがある。 家庭用コンセントと同じように、電力の上流側が凹になっているのは、安全への配慮と思われる。 常識かな。

 ここには DC12V と記されているが、実際はmax 22.8Volt もある脈動波形で、実効値が 14.5ボルトもあるのである。

 スイッチの出力端子は、フィーダー線と共通なので、フィーダー用の分岐コネクタを便利に使用している。 一つのポイントスイッチから3方向に分岐出来るので、3個のポイントを同時に駆動できるのである。 下左の写真。 ボタン部のネジを外すと分解できる。 下右の写真。

 スイッチの構成を理解しておこう。 下左の写真のように組み立てられている。 部品をバラスト右の写真に示すような部品に分解できる。 左右にある丸い柱が入力側の電極で、表裏の電極を連通させる役割と共に、スイッチの固定側の端子にもなっている。 出力端子からは、四角に折り曲げ加工されたリン青銅線がバネ作用と可動電極の役割を担っている。 そして、中心部にこのバネ線を挟んでいるプラスチック製の可動部品がケースの穴で軸支されており、上部にはコロを介してレーバーの三角山と接触するようになっている。 あれ! なんだか特許明細書を記述しているようだ。 とにかく写真を見てもらえば理解出来よう。

 ポイントスイッチの正位位置と反位位置を下に示す。 この時のバネの状態はどちらも同じ状態であり、二つの電極柱には接触していないように構成されている。 即ち、出力端子は、入力側とは電気的に接続されたいない状態なのである。

 作動を説明する前に、各部品の形状を下の写真に掲載しておこう。

 二つの電極柱は、なかなか工夫された構造になっており、機械設計屋としては感心して観察した。

 特にネジやスリーブに対する回り止めの工夫は興味津々であった。 でもなぜスリーブが要るのかは理解できなかった。

 さて、スイッチの作動を説明しよう。 バネを抱えている部品に注目してください。 バネがあるとその状態が維持できなかったのでバネを外して撮影していますが、スイッチの位置を移動する間は、レバーの三角上の突起がコロを介してバネを抱えている部品を傾けています。 この時、抱えたバネ線が二つの電極柱に同時に接触して、入力側と出力側が電気的に導通するのです。

 レバーが定位置まで移動すると、バネとコロと三角突起で構成するスナップ作用により、パチンと固定されますが、この時はバネ線と電極柱は離れてしまうので、電気的には遮断されます。 さらに、スイッチの操作方向が変わると、上記のようにバネを抱えている部品の傾きが異なるため、バネ線と電極柱の接触関係が逆転します。 これによって入力側と出力側の接続関係が逆転するスイッチとなるのです。

 レバーのスナップ作動と移動中のみ通電するスイッチ機能を同時に達成する巧妙なメカですね。 何か参考にした製品があったのか、あるいはKATO独自の考案機構なのか分かりませんが、興味あるメカニズムですね。

■ ポイントスイッチの出力波形の推定

 このポイントスイッチは、そのプラスマイナスの方向を切替た上に、切り替え時のみ通電する構成なので、パワーユニットからの脈動直流をON/OFF した波形となるものと推定されます。 実際の波形をオシロで確認してみましょう。 次回につづく・・・・・・・・・!

 

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  2017/10/31