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鉄道模型調査室   ポイントの通電特性を測定する その2

 

■ いきさつ

 鉄道模型のポイントは、切替作動が確実に動作する事も大切ですが、動力車に電力を供給するためにレールを介して通電させる機能も大切な機能です。 この通電性能を判断する方法や実際のデータを見た覚えがありません。 鉄道模型界ではこのようなテーマに対して、「通電不良だ」などの感覚的表現しかありませんでした。 そこで、データ的に特性を表現する方法を検討してみる事にしました。

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 先回測定したKATO 製ポイントに引き続き、今回は TOMIX 製のポイントを測定しました。

 

■ 測定方法の小改良

 測定方法は先回と同じですが、少し改良しました。 TOMIX の新しいタイプは、完全選択式の構造を採用しているてめ、レールの両側の回路にスイッチが内蔵されています。 このため、通電特性を測定する場合には、供給電力回路の往復状態での電圧降下量を測定するのが妥当と判断しました。

 このため、測定専用として電気回路に往復用の Uターン 線路 を設けて測定するようにしました。 下の写真。 ストック品の中から廃棄処分候補になっている線路を持ち出し、Φ0.9mm の銅線を使って両側のレールを通電させるようにしました。 どうせならとKATO 用も作りました。

 この場合の測定回路は、右のイラストのようになります。

 

■ TOMIX製ポイントの通電特性の測定

 小生が所有している TOMIX 製のポイントを下に示す。 レイアウトのヤードに設置したポイントも取り外してきました。 配線はそのままにしていますので、ソレノイド部分は置いて来た状態です。 下右の写真。

 上左の写真の真ん中の箱には、取り外して来たポイントを入れています。 左の箱には、ストック品のもので、右の箱にはミニ電動ポイントで昔のBトレ用レイアウトで多用しものです。 今後の使用予定は未定ですが、オークションで処分しようかな?

 取り外して来たポイントの通電特性を測定しました。 測定状態を下に示す。

 ポイントの切り替えは、TONIX のパワーユニット N-1000-CL を使用し、その側面に取り付けたポイントコントロールボックスN-S にて実施しました。 なお、駆動用のソレノイドは同じソレノイドを脱着しながら使っています。 測定したいくつかのポイントを下に示す。 TOMIXさんはさすがに種類がいろいろありますね。

 測定したポイントの仕様を下の表に示す。 TOMIX 製のポイントの裏側には、ロット番号と思しき記号がスタンプされています。 メーカーにはその記号を見れば何時、何処で作られたかはすぐさま判読できる筈ですが、ユーザーには分かりません。 また、完全選択式とそうでない古いタイプのポイントも混在しています。

品名 品番 ロット番号 回路の色 測定部位 ポイント切り替え作動 測定番号
電動ポイントN-PR541-15(F) 1241
55BJG
白色
 
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×
55BJG
白色
電動ポイントN-PL541-15(F) 1242
35DJG
白色
×
電動ポイントN-PR541-15(F)(完全選択式) 1271
U16AE
金色
F63AA
金色
電動ポイントN-PL541-15(F)(完全選択式) 1272
U17AE
金色
N55AD
金色
F64AA
金色
N89AB
金色
電動3方ポイントN-PLR541/280-15(F) 1262
R44AB
金色
1段目
10
2段目
11
電動ダブルスリップポイントN-PXR140-15(F) 1245
08XJD
白色
メイン
12
クロス
13
08XJD
白色
メイン
14
クロス
15
電動ダブルスリップポイントN-PXL140-15(F) 1246
07XJD
白色
メイン
16
クロス
17

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 また、ポイントを分解してみると、基盤の回路の色が異なっていることに気が付きました。 白色(金属色?)の物と、金色の回路の物がありました。 金色の回路の製品は途中から変更し、通電性(?)を改良されたのではないかと想定しています。 金色なので金メッキでは?と思ったですが、この様な部品に高価な金メッキを施さないと思いますので、それ以外の処理ではないかと思います。 知識不足です。

 3方向ポイントやダブルスリップポイントでは、チェックする箇所が複数在りましたので、測定部位を明示しています。 そして、ポイント切替を実施した結果、表に示す様に動かなかったものが2件、作動が不完全であったものが1件ありました。 〇と△で表示しています。 そして、100mA 時の電圧降下量の測定結果を右のグラフに示します。 横軸の番号は表に示した測定番号を示しています。 また、作動不良のポイントについては、手動によってポイントの切替操作を実施しています。

 このグラフを見ていると、興味ある事実が判明します。 200mV 近辺以下のグループと、400〜1000mV までバラついているグルプがある事です。 何故か?

 測定したいくつかのポイントに於いて、レイアウト設置前に、分解掃除を実施し、ポイントのメンテナンスを実施しています。 その個体がどれだったのかをチェックしていませんでしたので出来ません。 また、回路の色による影響でもなさそうですので、メンテナンスの効果ではないかと推定しています。

 

 次回は、このメンテナンスの実施方法と、その結果としての通電特性の変化具合を報告します。

     ***************    つづく! *************

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  2017/11/13