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鉄道模型調査室   TOMIX製信号機を調べる その3

■ いきさつ

 TOMIX製信号機調査の第3弾として、信号機ベースが発する信号線波形を観察することにした。 先回の調査にて、5561の4灯式信号機の場合、橙2と緑を同時点灯させるためには、1番線と4番線をプラス/マイナスの関係にして、さらに4番線とと3番線をプラス/マイナスの関係にしなければならない事が分かった。 即ち、4番線は、プラス側とマイナス側を同時に発生させる必要があるのだが、自分は中間電圧になっているのだと推定した。 しかし、TOMIXの該当する特許では、中間電圧の代わりに、プラスマイナスの電圧を交互に掛けていたのである。 早く変化させれば目に見えないので、両方とも点灯しているように見えるとの説明であった。

 信号機のシーケンス具合を観察するには、この交互に電圧を掛ける様子を観察し、その周波数をチェックする必要があると感じて、オシロスコープを持ち出して信号波形を観察することにした。

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■ 実験の準備

 波形観察の様子を下に示す。 先回の報告で紹介した道具を使い、信号機ベースからの信号を取り出してオシロで観察することにした。

 そして、信号機本体も取り付けて、点灯具合も常時に観察できるようにしている。 オシロのプローブのグランドは、信号機TCSコード線の短い方のコネクタから取り出している。 TCS電源コードのマイナス側は白線であるので、こちらのソケット穴にジャンパー線を差し込んで、プローブのグランドと接続しているのである。

 

■ テスト観察

 まず、テスト的にオシロ波形を観察してみたが、色々な問題に遭遇した。 オシロ波形をハードコピーした図で説明しよう。 まず、オシロのCH1を 4ピンに、CH2 を3ピンに接続して、オシロ画面を観察した。

 最初に驚いたことは、綺麗なパルス波形である事であった。 二つのLEDを点灯させる工夫として、極性を交互に付加するとのことであったので、その様子と周波数を知りたくてオシロを持ちだしたのであるが、制御波形はパルス波形が主体の信号形態であることがわかったのである。 これでは、テスターで電圧を測定しても、実態は掴まなかったのであり、オシロを持ち出したことは正解だったのだ。

 最初に示す画面コピーは、TCS電源を投入直後であり、暫くすると真中の様な波形に変化した。 周波数が変化しているのが分かる。 270Hz から1KHz にアップしているが、スイッチを逆方向にすると右の画面のように、2KHz のパルス波形となる。

 暫くすると、上の様な波形に変化していくのが分かるが、ただ茫然と眺めているだけであった。 信号波形が意味するところがすぐには理解できなかったので、色々な状態にして観察したのだ。 その結果、得られた知見をまとめてみた。

  1. 信号波形の基本は、2Kz のパルス信号である。
  2. TCS電源の投入直後は、初期設定のためだろうか、低い周波数である。
  3. 待機時に青信号が点灯しない場合があった。 これは、オシロのプローブを接続した状態でTCS電源を投入した場合に発生し、プローブを外した状態でスタートした後に接続すると正常に点灯することが分かった。 これは、プローブを接続することにようる影響が初期設定の状態のチェックに影響するものと判断し、以後の実験ではプローブを外した状態でスタートさせるようにした。 この事に気が付くのに、なぜ?なぜ?と自問しながら検討してやっとわかったのことなのだ。 上記ののオシロ画面のうち、下段の右側の画面が緑点灯状態で、上段の中央が緑消灯状態である。
  4. 単なる電圧変化では、この信号機のシーケンスを観察することが出来ないのだ。 このためには、パルス波形をなました状態にしてArduino に取り込む必要があるのであるが、そのような技術力はないので、オシロで観察するしかないのである。 しかし、オシロでは同時に2チャネルしか観察できないので、工夫する必要がある。 当初は1と2、3と4の組合せで観察したが、1と4などのタイミングが分からなくなってしまったので、コモン線である4ピンを1チャネルに固定して、1ピン、2ピン、3ピンの信号をチェネル2に接続して観察することにした。
  5. 信号は、極性反転だけでなく、中間電圧も使用しているようです。 また、ON 時の電圧も、5ボルトだったり、4ボルトだったりしていますが、回路構成によるもののようですが、知識不足で分かりません。
  6. 同時に2灯を点灯させる場合には、信号を交互に発している。 しかし、中間電圧を使うのであればその必要は無い気がする。 同時発光にすろと何か不具合があるのだろうか?

■ 観察結果

 四苦八苦して観察した結果を、EXCELに画像を貼り付けてまとめてまいました。 全体図を下に示す。 詳細版はPDFファイル にしていますので、こちらを参照ください。

 

 上の表の最初の部分を拡大して説明します。   4ピンを基準にしてCH1に表示し、CH2 には、1ピン、2ピン、3ピンの信号波形を表示しています。

 波形より、電位差のあるピンを抜き出してみました。 ⇒ は全電圧の電圧差があり、→ は半分の電圧差があることを示しています。 そして、この電圧差によって点灯するLEDを点灯状態の欄に示しました。 自分が所有している3種類の信号機だけを取り出していますが、他の種類の信号機についてはご自分で確認下さい。

 

■ まとめ

 やっと、信号機の点灯具合を把握することが出来たと思っています。 多数の信号機をひとつのロジックで制御するために工夫されたシステムと推定しますが、自分にとっては、何故この様なロジックを採用されたのか理解できていません。 Knou How !は摘めましたが、Know Why ? は分かりませんでした。

 ここまで首を突っ込んで調べた理由は、以前にブログで述べたアイディアが頭にあったからです。 「自動運転停止装置 ATS の検討 分散式制御方式」 です。 そしてこのアイディアを実現させるには、8ビットPICマイコンと信号機が必要となってくるであろうと考えていたのだ。
 でも、自弁が考えている信号機は1種類だけなので、TOMIX さんのような複雑なロジックは必要ないのである。 単なるON/OFF 制御のシーケンスで充分なので、今回の調査結果は参考にはならなかったようである。
 しかし、調査中は、なぜ? 何故? と謎解きの様で楽しかったのだ。

 そろそろ、寄り道を止めてジオラマ作りに戻ることにしよう。

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  2018/2/11