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鉄道模型実験室  小型蒸気機関車の重連 (その2) 2120号機と2157号機

■ はじめに

 小生のコレクションでは、ミニレイアウトにマッチする小型の蒸気機関車が揃ってきた。 小さいスペースでぐるぐる巻きの路線や、高低差のあるレイアウトで、機関車を重連させたり補機を連結させて楽しんでいる。 その小型の蒸気機関車の幾つかの重連組合わせについて紹介しよう。 今回は河合製のB6 の2両を重連させてみた。

 

■ 2120号機と2157号機の重連

 小型蒸気機関車の重連組合わせについては、「小型蒸気機関車の重連」(2013.12.6作成)にて紹介したデータをもとに検討した。 今回は速度の揃っている河合製B6の2両を重連させて見ました。 2120号機と2157号機である。

ミニレイアウトを走行状態の動画

 この河合製B6モデルは、速度が低く設定されていると共に、「ゼイゼイ」と言う走行音が特徴である。 「じぇじぇじぇ」と聞こえて来るようでもあるが、私には青息吐息で走る「ゼェーゼェー」と聞こえるのである。 小型ながら重連させると意外と力持ちなのである。

 右にその走行状態の動画を紹介するが、走行音と共に、時々突っかかって止まりそうになる場面も観察して頂きたい。 単独で走行させた場合には、ここで多くの場合止まってしまうが、重連させているとそれを乗り越えて運転できているのである。

 

 また、ここでは重連時の動力特性を測定し、単独での特性と比較しながら重連時の色々な動きを考察することにする。 それぞれの車両の特性データは、「マイコレクション」の「2120 B6 機関車」と「2157 B6 機関車」のにも示しているが、そのデータは安定化電源を使用する前のデータであるため測定し直した。 即ち今回は、安定化電源を使用した自動測定システムにて再測定を実施している。

● 速度特性の測定

 平坦路を客車などを牽引しない状態の無負荷状態で、線路への供給電圧を変えて、速度と電流を測定したグラフを右に示す。

 平坦路単機走行状態に於いて、2120 号機と2157号機では、殆んど同じであり速度差はないのである。 あえて言えば2157号機の方がすこし足が早そうなので前に連結させることにする。 即ち、本務機を2120号機とし、2157号機を前補機として重連させることにした。

 車速・電圧特性を見ると、重連時の速度は、単独走行の場合と殆んど重なってしまうのである。 

 測定中の走行状態の動画

 また、電流特性を見ると、重連時の消費電流は、各車両の消費電流の合計とほぼ同じであり、余分に電流を消費していないようである。 これらの理由は、次の牽引力特性からも理解出来るであろう。

 この測定時の走行状態について、特に低速での状態を動画で左に紹介する。 最初に写す電圧計の表示と、走行中のロッドの動きに注目して下さい。

 

 



● 牽引力特性

 各車両単独の牽引力特性については新しく再測定を実施しました。 その測定テータを右に示すが、供給電圧は、およそ50Km/h のスケールスピードを狙って6Volt の場合だけを測定している。

 また、重連させた場合の牽引力特性も単独データをして示す。

 2120号機は、速度データや電流データがかなりバラツイているが、動力機構の摩擦抵抗がバラツイテいるものと思われる。

 

 

 一方、2157号機は比較的安定したデータを示しており、これは個体差によるものであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に、重連時の牽引力特性のデータを右に示す。 相変わらずデータはバラツイテいるが、見た目にはスムースに走行しているように見える。

 重連させると牽引力は倍増しているのが判り、速度特性が揃っているので全体的な特性も綺麗な傾向を示している。

 これらの個別のデータを見比べてもよく解らないので、データを重ねて見ることにしよう。

 データの見方については、先回の「小型蒸気機関車の重連 (その1) 2286号機と2272号機」の説明を参考にして下さい。

 まず、牽引力・車速グラフから見ると、牽引力は綺麗にたし算されていることが判る。 牽引力・電流値グラフでも電流値がたし算になっている。 従って走行中の「引張やっこ」や「押しやっこ」は」殆んど無いと思われる。

 しかし、重連しても、各車両の特性のバラツキによって、速度や電流も当然バラツイテしまうのは当然かもしれない。

 駆動側の粘着領域での牽引力は15グラム以上もあり、なかなかの力持ちで、勾配のあるレイアウトでもかなりの客車や貨車を牽引出来そうである。

 速度特性が揃っている車両を重連させると問題が少ないと言うのもこれらのデータからうなずけるのである。

 

■ まとめ

 小型の蒸気機関車を単独で走行させた場合、その集電性能によってポイントなどの無給電区間で止まってしまう場合が多いが、動力車を重連させる事によってこの問題をクリアし、ストレス無く走行を楽しむ事が出来る。 今回は、その重連させる場合に考慮すべき項目についてより理解を深める事が出来た気がする。