HOME >> 鉄道模型実験室 > 慣性円盤の慣性モーメントを大きくする
先回の実験より、慣性力と摩擦力の差が少ないようなので慣性力を増やして実験しましたが、その結果は疑問だらけのデータとなってしまった。
■ 慣性モーメントの増大方法
わが工作箱の中のストック品を漁って写真左のような物を探し出した。これは古いカータンの裾に重りとして縫い込まれていた鉛の玉の鎖である。鉛の玉をソーセージのように布の袋で包んだ連続した鎖です。そして、Nゲージ車両の補強用の重りとして使用していたものであり、ストック品として残しておいたものである。写真にはその切れ端が示されているが、鎖は長いものがあった。
慣性円盤として使用している重量戸車の溝の部分に、この長い鎖を巻き付け、紙テープを使って固定した。さらに、回転バランスをとるため、回転具合をチェックして停止位置が一定の位置にならないように、短く切り取った鎖を使って回転のバラスを取りました。右下の写真です。
■ 実験の方法と結果
まず、実験を実施している状態を動画で紹介しよう。重りは44.5グラムに増やしていますし、慣性体も重くなっていますので、今までの挙動とは異なっています。
重りが一度床に直床した後、回転の慣性によって反対側まで回転しています。この時に重りを持ち上げて行きますが、その後、回転方向を変更して再び落下していきます。慣性体を増やした効果が表れています。
この時のデータを先回と同様な方法でグラフに示しました。



count は累積パルス数なので、回転位置を示しています。冂ount は、その差分を取って前後の9個の平均を示しています。これは回転速度を示しているので、状態の変化具合を見ることが出来ます。この2つのデータを右に示すグラフのように重ねて表示しました。回転が加速しているのか、減速しているのか、さらには回転方向も示しています。
つぎに、この冂ount平均の値について、さらにその差分を取ってみました。下の左のグラフです。このグラフからは何も読み取れないので、同様に前後の9個のデータの平均を計算してグラフにしたのが下の中央ののグラフです。



このグラフは、速度データの差分ですから加速度を示すことになります。もし、加速度を示すのであれば、重力の加速度をしめし、時間軸とは関係なく一定値になるはずですが、その傾向が観察できません。なんだk右下がりの傾向があります。 ・・・・・・・・なんでだろうか?・・・・・・・・・・。
原因は回転抵抗しか思い浮かびません。固定値と想定しているのですが、時間と関係するものとしては、速度項しかありませんので、速度との関係を示すグラフを作ってみました。上右のグラフです。横軸が速度項で縦軸が加速度項です。もし、速度と関係するながらその傾向がわかるはずですが、速度に従って大きくなったり小さくなったりと傾向がつかめません。・・・・・・・・・・・もう、私の頭ではついていけません!・・・・・・・・。

■ 近似式による解析
そこで、先回と同様に近似式をあてはめて加速度を求めることにしました。
まず、落下の様子を観察し、各フェーズに分離することにします。これは、重力の影響の有無、即ち、重りの状態や、慣性体の回転の方向の方向、などをチェックしました。何故なら、フェーズごとに対応させる運動方程式が異なって来るからです。
その結果を右の表にしめします。第5フェーズから第8フェースの間は、ビデオを何度も観察したのでうが様子を分析出来ませんでした。このためこのゾーンの解析をやめにしました。
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分解したフェーズごとに count データに近似式を当てはめていきました。その結果を下のグラフに示します。

このグラフより、近似線がプロット点にしっかりと対応しているのが分かります。
また、最初の着床点の回転位置と第6フェーズ前のポイント、即ちcount 値が( 1289と1282 )殆ど同じである事、また、重りを再び持ち上げて場合の、持ち上げ開始と着床ポイントでも、2239と2232 のようにこちらも同じである事が分かります。
これは、ロータリエンコーダによる回転位置計測が正確に作動していることを示していると判断できます。
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● 運動方程式から計算する
まず、単位系をSI単位系の基本単位に換算しておくことにします。ドラム径はφ17.5mm であり、エンコーダ1回転当たり 32×4 = 128 パルスなので、パルス数を距離に換算すると、1パルスで 0.430mm になります。距離の分解能はかなり向上しました。
そして、SI単位系の基本単位であるmに換算すると、1パルス=0.000430 m となります。また、時間に関しては 1msec = 0.001 sec ですね。
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次に、質量M は秤で測った重さと同じですから、0.0445kg です。そして力F ( = Mg )は 0.0445×9.807 = 0.4364 N となります。そして、上記のグラフより求めた各フェース毎に2次項の係数より加速度αを求めて上記の表に記入してあります。
これらの係数を用いて、未知数であるm と f を求めればよいのですが、 式が5個もあるので、有効に使用することにしました。それは、それらの式を横軸をm に、縦軸を f にして直線を引いたグラフを右のように作成しました。
答えは、これらの直線の交点なのですが、誤差の関係で一点に集まりませんでした。 m = 2.1 の辺りと、m = 1.8 の辺りが怪しいです。
どちらのデータを優先するのかも問題ですが、それよりも、先回の報告では慣性を増やす前の値が、m = 2.15 Kg だったのに・・・・・・・・・・増えていないのです!・・・・・・・・・・。これにはショックです。
先回が m = 2.15 Kg 今回が m = 1.8 Kg or m = 2.1 Kg だって? うそだ・・・・・・・・。
測定方法が拙いのか、計算方法が間違っているのか・・・・・・・・・・・分かりません。
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ここで、この実験方法に対する確信が持てなくなってしまいました。これだけ苦労したのに・・・・。
■ 冷静になって考え直す
怪しいと睨んでいるのは摩擦抵抗の値です。今回の実験では、摩擦抵抗は個体摩擦として、速度やラジアル力に対して一定値であるとの仮定で解析しています。これが間違いではないかと考えています。
また、この速度によって変化する抵抗力は回転方向と反対側に作用するので、重力の方向とは一致しません。従って加速項に対する影響もプラスマイナスあるので、分離して解析する必要があるようです。
そこで、実験方法を単純な形にして、摩擦力に対して詳しく観察することにしました。
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その結果を次に報告致します。
2026/3/7