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鉄道模型実験室 No.293  鉄道模型で引出し特性を再現できるのか

 いろいろな疑問を持ちながらでも、この引出し特性を観察しています、いや、遊んでいると言えます。どのような現象をどのような視点で見るべきなのか考えている時に、鉄道模型で引出し特性を再現できるのかという疑問も湧いてきました。そして、電圧制御では無くて、電流制御すれば面白そうだとの考えも浮かんだのです。

 

■ 機関車の引張力

 

 まず、機関車の引張力(=牽引力)について、色々な資料から振り返ってみることにしました。  ---- 資料は無断で転載していますが、ご容赦ください。

 動力車の特性を表示する特性図は、一般的に横軸を車速に、縦軸を引張力として表現しています。このため、ここでもその方法でグラフを表示します。

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 動力車が発揮する引張力は、その時の負荷抵抗に対応して、力がバランスした状態の速度を維持します。この時、引張力に余裕がある時は、移動体システム(=列車など一体となって運動する物体全体のこと)の慣性に作用して、移動体を加速させます。

 この様子は、左のような図でも説明されていますので、どこかの資料で見たことがあるはずです。でも、ここで注目して戴きたいのは、動力車の引張力の特性線です。低速ではほぼ一定値の値を示し、その後は双曲線を描いて右下がりに下がって行くのです。上の二つのグラフでも同様です。

 この特性は、動力車のモータあるいはエンジンの種類によって異なることに注目してください。さらに、その動力源で発生したトルクをどのように制御し、そのトルクを動輪によって機関車としての引張力として発揮させるのか、そのメカニズムもいろいろ異なるのです。

 たとえば、電車などではノッチ制御やスロットル制御など、自動車の場合ではアクセルペダルとチェンジレバーやオートマチックトランスミッション、蒸気機関車の場合ではレバーなどで調整しており、それぞれの原動機に合わせた制御方法がとられています。

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 さらに、ガソリンの爆発力をピストンとクランクで回転力に変換する自動車のエンジンでは、出力トルクは右のグラフのように回転数に関係なくほぼ一定値なのです。

 その力はガソリンの量を制御するアクセルペダルで制御します。このため、動力車として利用する場合には、変速機が必要となるのです。

 この特徴は、蒸気圧とピストンとクランクを使用する蒸気機関車でも同じ様子を示しますが、気体としての蒸気の供給特性によって、また違った状態となるようです。詳しくは未調査です。

 一方、電気モータを使用する電気機関車や電車、および鉄道模型に於いては、全く違う特性を示します。さらに、モータの種類によって特性が異なってきます。

 一般的な直流モータに於いてさえ、直巻式と分巻式とでも、異なってきますので、その制御方法も違ってくるのです。

 上記の資料に示す原動機の場合、多くは直巻式のモータを使用しているのですが、低速領域では電流が過大となって焼けてしまう恐れがあり、ノッチ制御や電流制御を実施して、モータの力を制限しています。このため、引張力が一定に抑えられているのです。

 では 鉄道模型の場合はどうでしょうか。鉄道模型に使われているマグネットモータは、分巻式の一種なので、上右のグラフに示すように、右下がりの一直線の特性を示します。そして、この直線は電圧制御によって左右方向に移動させる事ができるので、鉄道模型のパワーパックはこの電圧制御を実施して速度を調整しています。

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 模型用モータと言えども過大な力(駆動トルク、あるいは負荷トルク)は電流と比例するため、大電流によってモータは焼損する恐れがあるのです。この場合には、過電流防止のための何らかの対策が必要なのですが、低速域での制限をどうの様は方法で制御しているのでしょうか?

  ・・・・・・・・いいえ 何も制御していません。動輪をスリップさせて逃げているのです。  空転させることが安全弁なのです。

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■ 鉄道模型で引出し状態を再現させるには?

 では、鉄道模型で引出し状態を再現させるにはどのようにすればよいのだろうかを考えてみましょう。

 見た目での発進状態を実施するのはどのような方法でも可能ですが、現実と同じ状態を再現しているとは限りません。

 その違いを知るためには、何を見ていれば良いのだろうか。動輪の動きやモータの回転状態、あるいは動輪のすべり状態を観察していれば、分かるかも知れません。勿論、モータの回転数とトルクが把握できれば、動きの様子が分かるのですが、でも、それを知って何になるのでだろうか? だんだん、実験の目的が迷走し始めています。

 重い慣性体を加速させながら発進させていく時の、動力車の状態を観察したかったはずです。動輪が滑っていようが粘着状態であろうが関係ないはずです。極低速域での引張力と車速の関係を観察し、摩擦抵抗と慣性抵抗の状態を知りたかったはずです。

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 こんなわき道に迷い込んだ理由は、はっきりしています。それは、動力車への電力供給として、電圧制御では無くて、電流制御すれば面白そうだとの考えが浮かんだからなのです。そして、この制御の違いは何だろうかと考え始めたのが原因です。

 

■ 電圧制御と電流制御について

 Nゲージの鉄道模型の動力源は、DCマグネットモータです。そして、このモータの特性を理解しておく必要があります。供給源である電圧と電流、そして出力としてのトルクと回転数の関係において、「動力特性の概要 動力特性の基本式 電気系」(2019/3/25)にて示したように、モータトルクを Tm 、コイル電流を I 、トルク定数を Kt とすると、

       

の関係があります。さらに、外部電圧 E との関係では、回転数に起因する逆起電力が関係するため、回転数 Nm、とすると、

      

となます。即ち、電圧以外にも回転数が絡んでくるのです。そして、回転数との関係はマイナスの勾配を持っているため、上の特性図に示したように、右下がりの特性線図となります。

 一方、トルクと電流との間では他の要因が入り込まないため、トルク定数によって決まる比例関係のみとなりますから、直接的にトルク制御が可能なのです。回転数は無関係なのです。このため引張力と車速を示す特性線図は横一線になるはずです。この特性を極低速域で応用すれば、実際の電動車と同じような特性になるはずだと考えたのです。

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     電流制御の特徴:  車速に関係なく引張力を直接制御できるはず・・・・・・・・!

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 これって本当だろうか? 早速実験してみたくなりますね。

 

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 2026/3/28