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鉄道模型実験室 No.131  パワーユニットを知ろう TOMIXのパワーユニット N-1001-CL

■ はじめに

 パワーユニットを知ろう の第4弾として、TOMIX 製のパワーユニット N-1001-CL のトルク特性を調べることにした。

 

■ トルク特性の調査

 測定装置は速度特性を調査した場合と同じ状態で測定した。 測定は、パワーユニットのダイヤルを一定位置に保ち、モータの負荷を変化させて、その時のモータ回転数や電流、および、モータ端子電圧を測定した。 そして、ダイヤルの位置、即ち、目盛に相当し、可変抵抗器の回転割合も測定している。

 この時の電圧波形も観察しているのでそれを下に示す。

 測定されたトルク特性について、トルクと回転数の関係、および、トルクと電流の関係を従来どうりの方法でグラフ化したものを下に示す。 パラメータはパワーユニットのダイヤル位置(目盛)のパーセントを示している。 

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 最も注目しているトルクと回転数特性の勾配について、安定化電源での場合のデータと比較したグラフを上の右端に示す。

 やはりその勾配は緩くなっているのが分かるが、もう少しその様子を解析してみよう。

 パワーユニットの電力供給能力によっては、電流が増加した場合には電圧が下がってしまう恐れがある。 このために生じる電圧降下なのか、あるいは、他の要因なのかを区別して置く必要があると考えていたからである。

 そこで、モータ端子電圧も測定していたのでこの値を縦軸にとってグラフ化してみた。 右のグラフ。

 このモータ端子(供給)電圧は、先回報告したようにローパスフィルターを通して測定しており、安定化電源の場合でも同じ位置で測定しているので、モータに対して同じ条件の値と判断している。

 安定化電源の場合には、電圧変化は無くて横に一直線であるが、今回の場合は右下がりに低下している。 その様子を横軸に電流を取ってみた右側のグラフでも同様である。 モータトルクは電流に比例しているので当然であるが、電流によって電圧降下が生じていると考えると、その時の抵抗値はいくらに相当するのか計算してみた。 グラフの直線近似式の勾配値をみると、パラメータによって値は多少異なっているが、平均して -0.003 volt/mA と読み取ることが出来る。

 この値は、3Ωの抵抗を通した場合の電圧降下と同じと考えると・・・・・・、もしかしてフィーダー線の抵抗ではないかと勘ぐってみた。 試しのテスターで抵抗値を計ってみると、片側の線だけで0.5〜1Ω程度の抵抗を示したが不安定であった。 新しいテスターで測ってみると0.3〜0.5Ωを示し、やはりプローブの当て方によって不安定であり、このような小さな抵抗は、測定の信頼性が無いと判断して、配線を短くして再測定することにした。 この方が確実である。

 

■ 再測定の実施

 配線による電圧降下の影響を少なくするために、配線部分を短くして測定する。 パワーユニットからモータまでの配線だけを取り出して比較した写真を下に示す。 左側の写真が上で測定した状態であり、右側の写真が今回細工した状態である。 モータの端子にはワニ口クリップにて接続している。 今回、測定用のシールドの入力端子部にオシロ用プローブの測定端を追加して測定するようにした。

 測定実施時のオシロ画面を下に示す。

 そして、トルク特性のグラフを下に示す。 上記同様に電圧値に関してもグラウ化した。

 注目していた勾配については、やはり同様の傾向であり、その勾配値について比較のために、上右端にグラフ化してみた。 今回の短縮回路の方が勾配は小さくなっているようにも読み取れるが、大きな違いはない事が分かる。

■ まとめ

 即ち、注目した電圧降下は、パワーユニット内部の電気的構成によるもので、電力供給能力に依存するものと判断できる。 カタログによると出力電流は 1.2A まで出力できるという事なので、この能力一杯まで電流を流すと 3.6volt も電圧が下がるということなのだろうか。

 ともかく、測定のための配線のよる違いは殆ど無い事が判明したので、次に考えている実験への影響は無いようである。

 また、この様な実験を始めた原因であるパワーユニット電源の電圧降下現象の原因は、まだ不明の状態である。 「XBeeを搭載したドクターカー その3 レイアウトでの測定」や、「XBeeを搭載したドクターカー その4 内回り線を測定する」での測定データに示されたTOMIX 製のパワーユニット N-1001-CLだけに生じている電源電圧の低下現象は、なぜ発生しているのかが分からに状態なのだ。 ドクターカーのモータ端子電圧が給電ポイントから離れるにしたがって低下するのはレールの抵抗の影響と考えれば理解できるが、それならばなぜパワーユニット側の電源電圧まで低下するの? の疑問が解けないのである。

 その原因として、レールの材質である洋白の電気抵抗が大きいとのことであるので、PWM制御とレールの抵抗、即ちインピーダンが影響しているのではないかと睨んでいるのであるが、電気関係の知識に未熟な小生にとっては未知の世界なのである。

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 2017/1/15 作成