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モジュールレイアウト 小細工と試運転  

■ はじめに

 エンドレス・レイアウトとして一周出来るモジュールが揃ったので、早速試運転をしてみました。 それと、今回のモジュールで実施した小細工についても記録しておくことにします。

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■ レールのジョイント部の接触不良を何とかしよう

 まず、今回の通電不良対策として、その接触抵抗を測定してみたが、あらためてそのバラツキの大きさにびっくりした。 そこで、なんとか容易にメンテナンス出来る方法を試してみた。

 このためには、まずジョイントの構造を理解しよう。 TOMIXとKATOのレール・ジョイントを右の写真に示す。 TOMIXはジョイント単体で使用され、取り外し用の専用の道具があるが、ドライバ等でも充分代用可能である。

 KATOは、ジョイントを外すには専用の道具が必要であり、さらにジョイントはプラスチックのケースと金属部品に分ける必要がある。 これはケースの裏側からマイナスドライバで爪の部分を押さえながら外す必要がある。

 これらの部品の拡大写真を下に示す。 左側がTOMIX 製ジョイントで、右側がKATO 製ジョイントである。 ジョイント自身の形状は、TOMIX 製はやや複雑であるが、KATO 製は比較的簡単である。 どちらもバネ作用のある金属で出来ており、繰り返し使用や錆等には耐えられるような材料と見受けられる。

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 これらのTOMIX製とKATO製のジョイント部の断面を模式的に左のイラストに示す。 レールの断面形状も異なっているが、ジョイントの形状も大きく異なっている。

◆ TOMIX製のジョイントのメンテナンス:

 TOMIX製のジョイントは、レールの側面に設けられた幅の広い溝に平面的に接触しており、ジョイントの緊迫力でレールを連結しているようです。 道床を連結するスナップ部分も有りますがすぐに折れてしまい、連結作用はあまり期待できないので、結局はジョイントで連結することになるようです。 何度もレールを取り外していると、この接触面が開いてしまい、接触不良になってしまいます。 レールとジョイントが少しでもガタついていたら接触不良と判断しましょう。

 従って、TOMIX製ジョイントのメンテナンスは、ジョイントの開いてしまった接触部分を、きっちりと閉じる様に修正する作業となります。 まず、裏側からジョイントの爪を押し込んでレールから取り外します。 そしてラジオペンチなどで、変形しているジョイント断面を修正して行きます。 この作業は新品のジョイントと比較しながら行うと簡単に実施出来ますし、どうしても修正出来なければ新品のジョイントと交換しましょう。 また、相手のレール面も観察し、汚れているようでした小さなマイナスドライバで擦ったり、綿棒にクリーニング液を付けて汚れを取りましょう。

◆ KATO製ジョイントのメンテナンス

 KATO製のジョイントは、レール側面の幅の狭い溝にジョイントの端部がはまり込んで接触しており、線接触と考えて良いでしょう。 道床付きレールは、プラスチック製のケース部品でしっかりと連結されており、金属製のジョイント部分は、もっぱら電気的な通電機能に徹しているように思われます。 このため、通電性能に影響する金属部のガタの程度は外見や線路を動かしてみても分かりません。 このため、専用の道具を使って取り外し、さらにプラスチック製のケースから外さなければ金属製のジョイントのガタの程度を確認出来ないし、それを修正することは出来ません。 でも、金属製のジョイント部分はプラスチック製ケースの溝にはめ込まれているため、TOMIX製のジョイントのように接触部分が開いてしまうような形態にはならないようです。 このため、KATO製のジョイントのメンテナンスは、接触部分の異物噛みこみや汚れを取る作業を行う事になります。

 ジョイントの分解は面倒であるし、レールが固定されている場合にはこの作業は不可能です。 そこで、接点復活剤や集電性向上剤LOCOを持ち出し、試してみることにしました。

 モジュールNo.3のローカル線( 「レールの電気抵抗」を参照 )を対象に、これらのオイルをジョイント部に塗布して通電性が向上するかどうかをチェックしてみました。

 オイルの塗布方法は、LOCOオイルでは小さなマイナスドライバを使ってジョイントの接触部に滴下させる方法で実施し、接点復活剤ではガラスの瓶の中に噴霧させ、液体となったオイルを面相筆を使って塗布しました。

 この路線はKATO製の短いレールを多数使用し、電気抵抗が3.0 Ωと7.0 Ωも有りましたので、通電性の改善を期待して塗布したものの、何の変化も有りませんでした。

 少しガッカリして、小さなマイナスドライバでジョイントとレールの接触部分を押さえて見ましたら、抵抗値が大きく変化しました。 そこで、レールの溝とジョイントの端面の間を何やらゴリゴリと擦れば接触抵抗が改善出来る様なので、この隙間を掃除出来る道具を探す事にしました。

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 すぐに思いついたのが、以前から何かに使えないかと思っていた万引き防止用のタグ(上左の写真)の中に入っている薄い金属板です。 この板は上右の写真のように、厚さが 0.05mm の薄い板ですが、バネ材としても使えそうな腰があるので接触部ゴリゴリ用道具には持って来いでした。 万引き防止用のタグを分解し、クリーナ液で接着剤を拭き取るともう立派な道具になりました。 磁石によって引き寄せられるので13Cr 系のステンレス材の様です。

 この薄いステンレス板をレール側面の溝とジョイントの端面の間に挟みこんで ( 左の写真を参照下さい ) 左右に動かし、接触部を擦る事によって、そこのゴミとか汚れを綺麗に取り去る事が出来ると勝手に思い込んでいます。 確認出来ません。

 しかし、結果的には改善効果は明確で、3.0 Ωとか7.0 Ωも有った電気抵抗が、0.8 Ω と 0.6 Ωまで改善させることが出来ました。 ジョイントのすぐ脇の両側でチェックしても 0.2 Ω 程度まで下がるので、ワニグチ・グリップの接触抵抗などを考慮して、この値は誤差内と考えています。 接触抵抗は殆んどゼロと考えても良い様です。

 この方法は、固定されいるレールでもKATO製であれば実施出来ますが、TOMIX製レールには応用できないと考えています。 それは、TOMIX 製レールでは接触部が開いてしまうために接触不良になると考えているからです。 このため、TOMIX製レールでは分解してジョイントを整形する方法が最善です。

 

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■ 接続レールの脱着方法

 モジュールとモジュールの間をつなぐ接続レールは、モジュールの分解時には取り外さなければなりません。 この時、3本のレールを同時に外すことになるのですが、それが容易では有りません。 1本のレールの場合の様に、コジリながらの分解が出来ないのです。

 そこで、次の様な細工をしています。 それは、レールの道床の端部を少し削っておき、レールがピッタリと接続しても、その部分に隙間が出来るようにしておきます。 そして分解時には、右の写真に示すように、その隙間にマイナスドライバを差し込み、接続しているレールを離します。 さらにドライバをこじるとレールは更に広がり、容易に接続を外す事が出来ます。 分解する全部のレール端面を、ルータで軽く削っておけば、モジュールの分解作業も楽々です。

 

■ ホーム延長ユニットの接続

 最後に残った工作として、「モジュールの作成 その2」で紹介したホーム延長ユニットを接続するために、少し細工をしなければなりません。 このユニットのレール部分は、ちょうどTOMIX の基本長さ 280mm の4本分あり、 モジュール2枚分です。 このため、接続レールとして、33mm のレールを3本使用すれば、ちょうどピッタリの寸法になります。 と言うことは、33×3=99 となり、TOMIX には丁度この寸法のレールが有るではないですか! ラッキーとばかりにこの S99 のレールを使う事にしました。

 もう一つの問題は、ユニットの高さです。 このユニットは 20mm の高さしか有りませんので、かさ上げが必要です。  ユニットの裏側は下左の写真の様に、ベニヤ板の裏側に角材が通っていますので、これを挟んで位置決めし、かつかさ上げが出来る部材を3個作りました。 下の写真を参照。 木材では畳を傷つける恐れが有りますので、紙と発泡スチロールで出来たプレートの切れ端を利用し、指定の高さになる角材を両面テープで張り付けて作っています。 これは全てストック品を利用しています。 要するに廃材利用です。 そしてこの部材の上にユニットを載せ、規定の高さにユニットを保持します。

 次にレールの接続部ですが、ホームの左側は、レールが27mm も飛び出していますので、 モジュールNo.6 の制御モジュールに直接接続することにします。 反対側の接続には、丁度 99mm 足りませんので S99 のレールを使って接続させます。 下の写真。

 この部分は、30mm 厚さのスタイロフォームを使い、ユニットが収まる部分を削って高さを合わせました。 架線柱のための固定台をスタイロフォームに接着剤と紙粘土を使って固定し、S99 のレールは固定台によってスライド可能に保持させます。 また、ローカル線は、TOMIX製レールからKATO製レールに変換させると共に、長さを合わせなければなりません。 しかし、今回ばかりは長さ調整がピッタリと行きませんでしたので、20-050のスライド線路を使いました。 上右の写真は、隣のモジュールに接続した状態です。

 

■ 試運転の実施

 それぞれのモジュールが出来あがりましたので、取りあえずエンドレス・レイアウトとして組立てて見ました。 6畳間の端に10枚のモジュールを並べて見ました。

 制御モジュールにはホーム延長ユニットをつなげ、ヤード側にはKATO製の直線線路 S248 をどんどん接続して行きます。 この時の高さを保持するモジュールはまだ作っていませんが、取りあえずスタイロフォームの切れ端を使っています。 レールも固定していません。

 パワーユニットは上の写真のように3台揃え、配線も一ヶ所にまとめる事が出来ました。 ポイントの操作を確認しながら、スイッチボックスに接続していますが、何時もの様にポイントとコードに目印を付けておく必要が有りそうです。

 なお、ホームのある退避線へのポイント動作は入口と出口を同時に操作出来るように、コネクタ端子が2個設けられているボックスを使用しています。 また、3台のパワーパックを使用するため、ポイント操作に依ってはシュートする恐れが有りますので、TOMIX製ポイントは完全選択式のポイントを使用しています。 さらに、複線に設けた片渡り線は、二つのポイント間を絶縁ジョイントを使用して接続しています。

 レイアウトの設置が出来ましたので、電車を走らせて見ましょう。 試運転は名鉄電車にお願いしました。

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 上の写真は、ホームとトンネル部分に勢揃いした状態です。 勿論走行は問題無く順調に走らせる事が出来ました。 心配した速度の低下なども気が付かないので、接続部等での電圧降下の影響は少ないと判断しています。

 3本の線路で同時に運転出来ますので、見ていても楽しいです。 そして、ヤードにも入線させて見ました。 左の写真。

 ヤードへの入線などの操作は、全てコントロール部分で実施しましたが、シュートや脱線などのトラブルも無く操作が出来ました。 しかし、どのポイントを操作してどっちの方向に走らせるのか、恥ずかしながら少しウロウロしてしまいましたので、操作表示に工夫が必要です。

 でも、賢い孫達はいっぺんで覚えてしまうので心配はないと思っています。

 

 

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■ モジュールの収納方法

 最後に、モジュールの収納方法を考えなければなりません。 お座敷レイアウトを楽しんだ後は、右の写真のように、一時的に部屋の隅に重ねて置くことが出来ますが、モジュールにストラクチャ等を設置して行くと、この様にはいきません。

 また、何時までも部屋に置いておく訳にはいきませんので、下の写真のように専用の棚を用意しています。 しかし、厚さ関係が心配です。 高さのあるストラクチャは脱着可能にするなどの工夫が必要かも知れません。 そして、パワーユニットや接続レールなどは段ボール箱に入れて置くことにします。

 さらに、孫達の自宅への出張運転会を想定して、運搬方法も考えておく必要が有ります。 そこで、一番下の段に有るような段ボール箱をホームセンターで探し出してきました。 何枚かのモジュールを重ねて収納できますが、今後はこの箱の中に、綺麗に収納する工夫が必要になって来るでしょうし、また、コーナーモジュールも角部を切断して、この箱に入る工夫が出来ればベストです。

 最終的には、同じ段ボール箱3個の中にモジュール全部を収納出来れば、コンパクトな収納性、自家用車でも気楽に運べる運搬性、そして保管時の埃対策などがバッチリであると考えています。

■ 今後の予定

 このモジュールはまだ完成していません。 線路回りの風景作りが必要です。 何を作るかも決めていませんので、暇を見つけては工作して行きます。

 そして、モジュールの組合せも自由度がありますし、モジュールを使わずに自由に線路を設置して、このモジュールに連結させることも出来ます。 孫達と一緒にお座敷レイアウトのいろいろな楽しみ方を工夫して行きたいと思っています。