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旧型直流電気機関車: EF15 79
第二次世界大戦終結直後の輸送需要に対応するために設計された貨物用機関車で、1947年から1958年までに202両 (1 - 202) が製作された。 旅客用のEF58形とは台車や電気機器など主要部品が共通化されており、共に事実上の標準型として大量に製作された。 製作直後から直流電化の主要線区(東海道本線、山陽本線、東北本線(、高崎線、上越線など)にあまねく投入され、EF60形やEF65形が製作された後も各地で使用された。 貨物列車の削減と老朽化などで1970年代後半からは急速に淘汰され、1987年のJR移行前に営業運転での使用は事実上終了となっていた。
79号機は、昭和29年2月東京芝浦電気で製造され、八王子、新鶴見で活躍後、昭和56年4月に廃車されている。
メーカー :KATO
商品名 : EF15 標準形
品番: 3062-1
車両番号: EF15 79
スケール : Nゲージ、1/150
発売日 : 2010年1月
入手日 :2010年2月12日 新品購入
定価 : \7,140.-
● フライホイール搭載動力ユニット採用
● サスペンション機構を採用
● ヘッドライト 点灯
● 主要諸元
連結面間距離 |
118.5 mm |
車体重量 | 72.6 グラム |
前台車動輪荷重 | 36 グラム |
後台車動輪荷重 | 36 グラム |
ギヤ比 | i = 19.0 | 動輪直径 | D = φ8.4 mm |
● 分解写真
車体を取り外すと、左右に分かれたフレームが現れる。 その中にモータなどが収められている。
車両の下側を見ると、6軸の動輪が見える。 さらに分解してフレームを割った状態を下右に示す。
左右のフレームは、先端の四角い箱型のプラスチック部材で保持する様になっている。 最近のKATO 製はネジを使用せず、ほとんどがはめ込み式で、パチンパチンと組み付けることが出来る。 これは、材料費、加工費、そして組付費も低減できる構成で、設計陣の努力をしっかりと感じさせられる。 このような努力により、価額を抑えた良質な製品が提供されていることは、我々一般ユーザーには有りがたい事である。 関水金属さんありがとう!
全部品を並べてみた。
次にモータを見てみよう。 モータ軸の左右にはフライホイールが取り付けている。 片方の表面には回転数検知用のために、白黒のマーキングをペイントした。 また、ウォーム軸の両側には小さなスラスト軸受をはめ込み、プラスチックのカバーにはめ込んで、台車の上部に取り付けられるが、ここでもパッチンとはめ込んでおしまいである。
台車のSUB-ASSY状態を下にしめす。 フレームに対する台車の回転中心は、ちょうどジョイントの首振り点に合わせており、合理的な設計である。
また、車輪との通電部を兼ねたピポット軸受は、中間部に細工がしてある。 中間の動輪軸は、上下には有る程度自由に動けるようになっており、線路の凹凸が有っても柔軟に対応できるようにするためであろう。 凸凹以外にも、登り坂や下り坂に入るときの勾配の変化部分に対して、前と後ろの動輪で支え、中間部が邪魔しない構造である。 これは、実車のSLではイコライザーで対応している構造であるが、模型的にはこういった工夫で対応しているのだ。 このため、集電機能は保持しているものの、車体を支える支持機能は無理であり、従って駆動力を担う力は無いものと推定する。 だって、車輪に掛る荷重がバネ作用で逃げてしまうからである。
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ウォームから動輪軸の歯車にトルクを伝達するアイドラギヤ類は、大小5個あり、上に示す台車フレームの中にすべてはめ込んである。 未分解のままである。 ギヤ比の調査は、動輪ギヤの歯数だけを数えれば良いからである。
また、先輪の保持方法は、左右に大きく移動出来るようになっているだけで、曲線路に対応しようとしている。 首振り機構は無いのである。 性能測定中も度々脱線してしまうので、この先輪は外して対応した。
前照灯はチップLEDを使い、さらに抵抗とコンデンサの簡素な回路で対応している。 (2016年2月17日 分解調査実施)
今回の測定は、有線通信方式による動力特性測定システムによって測定した。 測定実施日:2016年2月17/18日
測定時の車両重量: 72.6グラム ・・・・・・・・・・・測定のために車体を取り外したが、その分の重量7.8グラム分を重りで補完し、製品重量と合わせた。
重り車両の重量: 126.4グラム (走行抵抗は1.0グラム)
● 速度特性
まず、速度特性を示す。
スケール速度100Km/hは、電圧でみると、 6volt近辺であり、速度係数が約 25Km/h/Volt とやや小さめである。 また、電流消費も 50〜80mA 程度と少なめである。 電圧降下は、0.4〜0.6ボルト程度と低めである。 スリップ率が150Km/h を超える辺りから大きくなっているが、走行負荷が大きくなったためか、測定上の問題なのかはまだ定かでない。
●牽引力特性
牽引力特性は安定したデータを示している。 駆動側の牽引力の限界はおよそ18グラムで、制動側は20グラム程度か。 6軸の動輪があるが、実質はトラクションゴムを履いている2本だけと考えるべきであろう。 ウォームギヤの当たりが変化する遷移点、即ち駆動系の摩擦は4グラム程度を読み取れる。
牽引力を発揮している時の電圧降下は、やはり傘型のパターンである。 理由はまだ説明が付かない。
モータ回転数と車速から計算したスリップ率を下に示す。 データのバラツキが大きいが、測定方法の限界と考えている。 しかし、その概要は読み取れるであろう。 牽引力とスリップ率は、S曲線を描いているが、スリップ率が3%程度までは直線的である。 その後、曲線的に急激に増加している。 そして、10%を超えるスリップ率の測定は、わが自慢の測定法と言えども無理のようである。
また、駆動側のスリップは意外と安定的であるが、制動側のスリップはかなり不安定であるようである。 ハッキリと言いきれないのは、まだ測定法に自信が無いためであるので、あしからず。 上記の牽引力特性グラフをみると、駆動側の牽引力の限界はおよそ18グラムと言えるが、10グラムを超えると既にスリップは始まっており、トラクションタイヤは、ゴシゴシとレールを磨いている事と想定される。
(2016年2月19日 記)
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● 出力と効率
上記の牽引力測定データを基にして、右に示す様に、出力と効率のグラフを追加する。 2016/11/27
以下のデータは、2011年1月実施した測定結果である。
速度特性:
動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
スケール速度80Km/hは、電圧でみると、4.5volt近辺である。 速度係数は、約 25Km/h/Volt と小さめであり、電流消費も 60mA 前後と低く、最近の設計傾向の特徴を示している。
牽引力特性:
動力車の牽引力特性として、電圧4.0voltでの牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。 牽引力は 25gr 前後で標準的な値である。