E231系 モハ E231-601 号車

実車プロフィール

 E231系は、老朽化および陳腐化が進んだ首都圏の通勤車両などの置き換え用として開発された。 500番台は2002年より山手線に投入された。

 その後、E235系が開発され、2015年11月30日より営業運転を開始した。 しかし、トラブルが続発したため一時中断したものの、2016年3月7日から営業運転を再開している。 そして旧型車両となったE231系は順次この新型車両に置きかわっているようだ(・・・・・未確認)。

 

模型プロフィール

メーカー : KATO
セット品名 : E231系500番台 山手線色 5両基本セット
セット品番 : 10-258
車両品名 : モハ E231-601 6号車(モータ付動力車)
車両品番 : 4472-1
発売日 : 2005年 再生産品
入手日 : 2007年5月3日 新品購入
定価 :  \13,545.-

   

諸元と分解調査

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●このモデルは、 2003年に発売されたモデルの再生産品である。

● カプラーはKATOの伸縮密連カプラーを装着。

● 主要諸元

連結面間距離
135.0mm
車体全重量
69.9 グラム
ギャ比
i = 12
台車中心間距離
91.0mm
台車軸距離
14.0mm
動輪直径
φ D = 5.5

● このモハ E231-601 号車は編成の中間車両で、5両編成の動力車であり、実際の山手線編成では6号車に該当する。 まだフライホイールは未搭載であった。 

● この動力ユニットは、品番が 4472-1B のユニットであり、 トラクションタイヤを履いている。 車体はボギー車構造になっており、車両の重さは4本の動輪に均等に掛かるものと想定できる。 そして、トラクション・タイヤは、この8輪の中の2輪に装着されている。

● 部品を大まかに分解した状態を示す。

● 動力ユニットは、シャシーと床部品、および集電材で構成されている。 下の写真はその表と裏を示す。

● 前後の動力台車を少し分解した状態を下に示す。そして、モータを下右に示す。 モータの外見から見ると、313系と同一品と推測され、フライホイールはついていなかった。 

● ウォームやギヤ類も、313系と同一品と思われるので、必要な諸元は測定しなかったが、減速ギヤ比は i = 12 と判断し、動輪の直径は、φD = 5.5mm であるので、モータが1回転すると滑りがゼロの場合には、1.44mm 進むことになる。

● シャシーの床下の部品とボディマウントのカプラーを下に示す。 床下部品には、4472の刻印があるので、この動力ユニット用に設計された部品と思われる。

● ライトユニットは白色室内灯セット(品番:11-209)を取り付けた。

 

動力特性

 有線式の動力特性測定装置を使用して動力特性を測定する。 この測定装置では、走行中のモータ端子電圧とモータ回転数の測定を可能にしている。

● 測定実施日: 2016/6/4 連結した重り車両: 85.1グラム、摩擦抵抗 0.85 グラム 
 測定時の状態を下に示す。

 尚、室内灯は外した状態で測定している。

1)速度特性:

 動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を下に示す。 測定中のデータをチェックしている時に、データが2重になるようなバラツキをしめした。 そこで、測定回数を増やし、さらに測定回数が30回毎のグループ分けを実施して表示したのが下のデータである。 1回目の30回の測定中と、3回目の30回のデータを直線近似させて、近似式も表示させた。

 これらのグラフの中で、モータ回転数のグラフに注目しよう。 測定が進むにつれて速度がアップしているのだ。 これは回転抵抗が減少したためにモータの負荷が小さくなり回転数が増加したと考えるべきであろう。 回転の当たりが付いてきたのか? それならばもう少し変化が滑らかになるはずである。 再組付け時のこじれか、ゴミの噛み込みが、運転中に解消されたのではと考えるのが妥当と思われる。

 先回、同じ時期に発売されている313系の電車と比較すると、電圧に対する速度の上昇勾配が約4割も減少していることに注目する。 これはモータ回転数でも同じである。 外観的に、また青いマーキングをみても同じ仕様のモータと思っていたが、それは間違いであった。 巻き線仕様などが大幅に変更されているようである。 先に開発されて313系の「カッ飛び」仕様の走りを改良したのではないのかな? 再生産品にはその改良が及ばす、発売時期に前後しても改良が波及しなかったのではないかと想像する。

2)牽引力特性

 いつもの通りに、スケール速度が100Km/h 前後になるような電圧値を設定して牽引力を測定する。

 牽引力は 24グラム程度と判断され、摩擦係数も0.35程度か。 駆動系の摩擦抵抗は6〜7グラムでやや大きめであろう。 また消費電流も313系と比較して、4割以上低減している。

そして、電圧降下量は電気機関車で多く見られた傘型のパターンを示しており、負荷が大きくなると電圧降下量が小さくなる傾向は、集電部を兼ねるピポット軸受け方式の特徴ではないだろうか。

3)考察

 この動力ユニット(品番:4472-1B )は、一般の電車類を想定した動力ユニットの仕様となっているようだ。 そして313系のように新幹線並みの 300km/h のスケールスピードを出すことは想定していないものと思われる。 これは、キッツ連中がレンタルレイアウトで暴走させないようにした対策ではと勘繰られる。

 このE231系500番台 山手線色 5両基本セットとして編成を組んで走行させた場合、、総重量が 170.8 グラムとなり、トレラー車の抵抗が 1.4 グラムなので、モハ E231-601 号車の動力によって、106パーミルの勾配を登坂できることになる。 十分なパワーである。