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鉄道模型 動力車の調査  GM製コアレスモーター動力ユニット 名鉄2200系 その1

 動力特性の調査として、GM製コアレスモーター動力ユニットの動力特性を調査する。 今回は、18.5m級用のNo.5714を名鉄2200系の車両に装着して、動力ユニットの動力特性を測定した。 今回は、分解してモータのフライホイールに回転センサ用のマーキング等を細工して、電圧降下とスリップ率などの項目も測定した。

 

■ 名鉄2200系空港特急の動力特性の測定

 今回の測定には、モータの回転数や端子電圧の測定も実施するので、有線式の装置としてセットした。 重り車両を牽引した状態を下に示す。

 さらに、度計測ゲートを確実に横切るようにアーノルドカプラーを外しカプラーポケットの先端を使うことにした。 そして車両重量を合せるために水草の重りを取り付けた。

 今回の2200系でこのシリーズの動力測定は最後であるので気楽に開始したが、思わぬ落とし穴に入ってしまった。 最初に実施したモータのフライホイールの回転マーキングが不十分であったために、スリップ率のデータがおかしな値を測定していた。 その原因に気が付かずあれこれ触っている時に、脱線が頻発して半日も無駄にしてしまった。 いや、無駄ではなくて思わに知見を得てのである。 失敗は成功のもとなり。 この件については別途報告しよう。

 

■ 速度特性の測定

 回転マーキングをやり直してやっと正常に測定できた。 最初に、単機平坦路走行による速度特性を報告する。

 今まで測定した他の個体と殆ど同じパターンと値を示していた。

 

■ 牽引力特性の測定

 次に、重り車両を牽引して牽引力特性を測定した。 車両重量は 54.9 グラム、重り車用は106.2グラムである。

 スリップ領域での牽引力は15グラム程度と判断する。 10volt での牽引力を測定中にスリップ領域に入ったとこで坂の上でスタックしてしまった。 この復元作業中に車両を脱線転覆させてしまい、再測定を始めたがそれ以後の測定値のパターンがずれてしまった。 何が影響したのか不明であるが、そのまま測定を継続した。 凡例に示すパラメータの上から順番に測定しています。 前後の勾配が微妙に異なっていることが分かります。

 中央のグラフは、モータ回転数から計算した車速を M と表記したパラメータでプロットしたもので、滑り率がゼロの場合に相当する。 このデータより、制動領域での現象がくっきりと表れている。 制動力が -5グラムを越えるあたりから、動輪は既に滑り始めているのが分かる。 これも今まで測定してきた個体と同じである。

 次に電圧降下をみよう。

 この電圧降下のパターンは今までの個体とは少し異なってきている。 原因の一つとして密かな細工をしているのであるが、その効果は期待した程では無かった。 その細工とは、下の写真に示すようにピポット形状の集電子を内側に曲げて、車軸の先端に強く接触するようにしたのである。

   

 牽引力との関係グラフでは “S字型” の様なパターンは消えたものの、電流で比例するようになった傾向を示している。 最大で1.5ボルトもここで失っているのは大損失である。 集電機構の設計ミスではないだろうか。

 右の写真に示すように、集電子は台車フレームとガッチリと固定されている。 一方で、車軸とフレームの間はφ2.7mm とφ2.4mm で、隙間は0.3mm しかない。 即ちガタが無いのである。 では、車軸のピポット先端は何をしているのだろうか? 軸受け? いや台車フレームが引き受けているので軸受けにはなっていない。 集電子と車軸は隙間があって常に接触しているとは限らないのである。 これは、KATOやTOMIXの場合とは設計思想が異なっている。 彼らの設計では軸受機能とともに、集電のための接触機能も兼ね備えているのである。 車軸と台車フレームの間はもっとガタガタにして、ここで接触してダメなのである。 必ずピポット軸受け部で力を受ける設計にすべきである。 この件は、上記に示したトラブル対策中に発見してしまった知見の一つである。

 このため、集電部分を内側に折り曲げて、強く接触するようにしたのだが、充分と言えるような効果ではなかった。 最初のうちは効果ありと見ていたのだが、だんだんともとにもどっていたのだ。 残念!

 スリップ率と摩擦係数を計算してグラフにした。 駆動側は揃ったデータを示し、上昇具合もなだらかである。 しかし、制動側は急激に変化していることが分かる。 やはり構造上の問題の様である。

 

 動力調査の次のステップは、モータ単体を取り出し、車両特性の解析を実施するためにモータ特性を測定することである。

 

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  2019/7/26