HOME >> 動力車の調査 > KATO製 C56-144号機の動力特性
■ いきさつ
動力特性の調査として、KATO製 C56-149号機と同じモデルのC56-144号機についても測定を実施した。 今回はトラブルも無くスムースに実施することが出来た。
■ 空転回転特性の測定
測定は、先回と同様に、車体を分解して実施する。 測定状態を下の写真に示す。
先回の失敗を反省して、慎重に分解組付けを実施した。 また、回転センサの取り付けは、右の写真に示す様に、モータの上に貼り付けるような形でしっかりと固定するようにした。
また、以前の性能測定にて、前進と後進の場合に特性が変化していたので、今回は、モータの回転方向を変えたデータも測定してみることにした。
その測定データを下に示す。 F が前進の場合で右側プラスの状態であり、R が後進の場合で、右側マイナスの状態で測定している。 右の写真に示すワニぐちグリップを交換しただけであるのだ・・・・・・。
前進と後進を比較すると、微妙に違うようにも見えるが、同じと言っても良いと思われる。
また、C56-149号機との比較では、ロッド付の状態での電流値が、大きく増加する様子は見られないのだ。 これはやはり、C56-149号機が異常だったと考えるべきである。 また、ウォーム軸を取り付けた場合やギヤを取り付けた場合も、大きな電流増加は無いと判断する。 これは、モータ側から見ると、減速ギヤ比の影響で摩擦抵抗の影響が小さい事を意味しているのである。 即ち、ギヤやロッドを動かす抵抗よりも、フライホイール付きのウォーム軸を 2万回や3万回/分の高速で回転させる抵抗の方が大きい事が分かる。
■ 測定のための準備
動力車の車体にモータ電圧を取り出す検出端子や、光ゲート用遮蔽板を取り付け、重量調整用の重りを付加した。 右の写真。
電圧検出端子は、細い裸銅線を使ってフレームにぐるぐる巻きにして固定し、容易には外れないようした。 下左の写真。 遮蔽板は重連用アーノルドカプラーを加工して他のモデルでも使用できるようにした。 下右の写真。
また、因縁のランボードは取り外した状態で測定している。 おもり車両を牽引している状態や、測定台上での様子を下に示す。
■ 速度特性の測定
測定結果を下に示す。
電流値はバラツキがやや大きいものの、安定した小さな値を示しています。 先回まとめた他のモデルのデータと比較しても遜色ない値を示しています。
■ 牽引力特性の測定
速度特性に続いて測定台を傾けながら、牽引力特性を測定した。 データを下に示す。 遷移点は明確に表示されており、正常な状態で測定されていると判断できる。
参考として以前測定したデータと比較してみましょう。 マイコレクションの「C56 144」 (2013/9/3 測定実施) より。 遷移点での段差に注目してください。
今回の測定では、遷移点での段差は発生しませんでした。 原因究明の手掛かりになるのではと期待していたのですが、ちょっと残念です・・・・!
この現象は、分解&組付けを実行すると直るのだろうか? オイル切れによる摩擦力の増加と推定していたのであるが、やっぱりねと言う感想です。
全体の摩擦抵抗も大幅に低下しています。 今回の組付け時には、充分な注油を心がけています。 やはり、機械部品にはオイルが必要ですね。 他のデータについても下に示す。
電圧降下は、0.1ボルト以下と安定した状態を確保しています。 また、スリップ率のグラフなどから判断して、動輪のスリップ限界はおよそ 10 グラム程度と判断する。
■ 負荷時の速度特性
負荷が掛かった状態では、速度によって電流値がどのように変化するのかを測定した。 測定台の勾配を一定にし、供給電圧を変化させ測定したデータを右のグラフに示す。 勾配は一定であるが、上り坂と下り坂があるので駆動側と制動側に分けてデータを整理している。 駆動側では負荷無し( ただし、重り車両の走行抵抗分 0.8 グラムが負荷として掛かっている。) の状態からほとんど平行移動している様子であるので、各特性は直線的でり、平行移動とは言えるようだ。
■ まとめ
測定に失敗したC56-149号機に対して参考となるデータを得る事が出来た。 やはり、C56-149号機の再測定を実施することにしよう。