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鉄道模型 動力車の調査   KATO製 C56-149号機の動力特性

■ いきさつ

 KATO製 C56-149号機の動力特性について、新しい測定方法で測定した。 しかし、今回の調査では、ドジばかりやらかし、測定は失敗であったのだ。 「失敗は成功のもと」の格言に従って、あえて、ここに失敗例として記録を残しておく。

 

■ C56-149号機の概要

 このC56-149号機は、 2012年10月に発売されたモデルで、コアレスモータの採用や、1/150スケールでのモデル化が実施された話題のモデルである。 小生も発売されてすぐに2台購入している。 このC56-149号機とC56-144号機である。 その分解調査と性能測定結果は、マイコレクションの「C56 149」と「C56 144」を参照ください。 今回はこのモデルを、新しい測定法で実施したものである。

 

■ ドジの内容

 まず最初に、ドジってしまった内容を列挙しておこう。

  1. 分解中にモータのリード線と接触端子の接続部を切ってしまった。 この部分は非常にデリケートなので、分解組付け時には注意しているが、チョットした不注意によって、赤線側を切ってしまった。 以前にもここで切っているので、弱くなっていたとも考えるが、早速ハンダを持ち出して修復した。 しかし、短くなったリード線と接触端子のハンダ付けは補助銅線を使いながらのハンダ付けとなり、山盛りのハンダ付けとなってしまった。 これが後から分かった失敗原因でもあるのだ。
  2. このリード線の端部を修理する際に、切り取った被覆線の赤い切れ端も菓子箱の蓋の中に入れて置いた。 これも失敗だったのだ。
  3. 回転センサの取付けが不安定があったので、計測不良が発生した。
  4. モータ端子電圧を測定するために貼り付けていた端子部分が浮いてしまって、測定途中からその電圧が測定出来なかった。
  5. モータリード線のイモハンダ部分が邪魔してランボードがきちんとはまっていなかった。 この浮いていたランボードと第3動輪の裏側がと接触し、動輪の摩擦抵抗を増やしていたようだ。 これは測定後に、車体を元の状態に戻す時に気が付いたのである。 
  6. 今回も、ロッド類の再組付けに四苦八苦する。 組付け順を検討する必要がある。

■ 空転回転特性の測定

 測定は、先回と同様に、車体を分解して実施する。 測定状態を下の写真に示す。

  

 測定結果の一部を右に示す。 「モータのみ」、「ウォーム軸」、「ギヤ付き」と測定は順調に進んだが、「ロッド付き」になってからトラブルが始まった。

 最初は、やけに電流が大きいなと思いつつ測定していると、右のグラフの赤色プロット点で示す様に、途中からだんだん下がって来た。 不思議に思いつつも、どこかの当たりが付いて来たのかなと、軽い気持ちで測定を続行した。 当たりがついて摩擦が減ったのだから、これでOKなのだと思っていたのだ。 この軽い気持ちが、重要な原因を見落としていたのである。

 安定後のデータだけを取り出して測定データとした。 下のグラフ。 

   

 

■ 速度特性の測定

 動力車の車体にモータ電圧を取り出す検出端子をセロテープで貼り付けて、先回同様に重り車両を牽引しながらの測定を実施した。

 最初の時点で、スリップ率がおかしい事に気が付いた。 参考として見ているモータのパルス数の推移グラウをみると、右に示すように、車体の走行速度を測定するゲート間の走行時間中に測定したモータパルス数の値が、変化していることに気が付き、これよりセンサの異常と判断した。 グラフの横軸は測定順番を示しているのである。 これは走行中にセンサ部分が移動して、白黒模様を正確にセンシングしていないと考えられる。

 1クールの測定は、30個のデータを収集するようにプログラムされているので、ここで測定を中断して、センサも取付け部の補強を実施した。 その後はモータパルス数も一定となっており、センサは正常に作動している事が確認できた。 スリップ率がほぼ一定である時は、このパルス数も一定になるのである。

 この部分の回転数データを除いてデータを整理した。

 電流値が大き目だなーーー? と思いつつも測定を続けました。

 

■ 牽引力特性の測定

 速度特性に続いて測定台を傾けながら牽引力特性を測定した。 データを下に示す。

 この牽引力特性を測定中も異変に気が付きました。 上右の牽引力・電流特性のグラフがおかしいのです。  いつもの様に制動領域で出現する遷移点が現れないのです。 制動力が増えていくにしたがって、電流がさらに下がって行くのみなのです。 4.5volt と 6volt での測定を終えたところで、測定を一旦中止して、車両を観察した。

  最初に、ロッド関係を疑ったのですが異常は見つかりませんでした。 しかし、第3動輪とフレームの間に数ミリの赤い異物が挟まっていたのを発見したので、原因はこれだと決めつけて異物を取り除いて測定を再開しました。 そして 7.5voltnの測定を実施したのですが、少しは変化があったようですが、状態は改善されませんでした。

 なお、異物はモータのリード線を修理した時に切り離した赤い被覆線の切れ端でした。 何故か組付け時に紛れ込んだようです。 不用品はさっさと破棄すべきだったのですが・・・・・・・・。

 参考に「KATOのC56-149号機の断層特性」 ( 2013/8/9 ) で報告した時の測定データを掲載して、比較してみよう。

   

 牽引力と車速の関係はほぼ一致しているが、牽引力と電流の関係は遷移点もはっきりしており、パターンが異なっているのが一目瞭然である。 これは、動輪側の摩擦抵抗が極めた大きい事を意味しているのですが、原因が不明なのです。

 とりあえず測定を続行したので、残りのデータを下に示す。

   

 電圧降下のグラフに於いて、7.5volt 時のデータが飛んでしまっていますが、これは上記のチェック中に弄っていたため、電圧測定端子が浮いてしまって、電圧測定が出来無なかったためです。

 スリップ率のグラフなどから判断して、動輪のスリップ限界はおよそ 12 グラム程度と判断する。

 

■ 負荷時の速度特性

 負荷が掛かった状態では、速度によって電流値どのように変化するのかを測定した。 測定台の勾配を一定にし、供給電圧を変化させて測定したデータを右のグラフに示す。 勾配は一定であるが、上り坂と下り坂があるので駆動側と制動側に分けてデータを整理している。 駆動側では負荷無し( ただし、重り車両の走行抵抗分 1.0グラムが負荷として掛かっている。) の状態からほとんど平行移動している様子であるので、各特性は直線的でり、平行移動とは言えるようだ。

 

■ 今後の対応

 兎に角も失敗続きの測定となってしまった。 このデータは破棄して再測定する必要があるが、その前に、同時期に購入したもう一台の C56 型である 144号機の測定を先に実施して、データを比較する事を優先することにした。

 このため、このC56-149号機は一旦元の状態に戻して置くことにした。 この再組付けの最中に、右側のランボードが浮いていることに気が付いた。 このモデルのランボードの一部は、第3動輪とフレームの隙間に入りj込んでいる部分があるため、ランボード部品が浮いていると動輪の内側に接触して抵抗となっている恐れがあるのだ。 ランボードが浮いていた原因は、これまたモータリード線のお粗末な工作結果なのだ。 イモハンダの部分が邪魔して、接触端子が溝の奥まで差し込まれておらず、これが邪魔してランボードが浮いてしまった状態になっていたのだ! ドジ・・・・・・・・・・・・・( ̄□ ̄;)

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  2018/6/29