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小型のターンテーブル式ジオラマを作ろう 構想を練る

 先日、Nine World さんのYouTube 「風景だけ動くジオラマを作る」を拝見させて頂きました。かなり苦労されていたようでしたが、このアイディアを頂くことにしました。さてさて、どうのようなジオラマになうのでしょうか!

 

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■ 小型ターンテーブル式のジオラマ構想

 まず、ピンと来たのが、以前から頭の隅に残っているあるアイディアなのです。それは「鉄道模型工学概論 定置実験装置の製作」(2010/12/15)や「特性解析 今後の課題」(2019/6/27)などで考えていたアイディアです。回転するテーブルを如何に作って、それをどのように応用するのかと言う思いなのです。

 最初に思いついたのが右のイラストです。ただ単に回転可能な円盤の上に線路を設置し、動力車の駆動力を使ってテーブルを回転させるものです。その方法は、動力車の後ろを棒やひもなどを使って引っ張ておき、給電をこの線を通して実施すれば、動力車はその場所にとどまり、動力車の駆動力でテーブルが回転するのです。 簡単、簡単!

 

● 具体的な構想を始める

  

 工作のポイントは、テーブルの支持方法です。簡単な木工用道具しか持ち合わせていない自分としては、どのような方法でテーブルを回転支持させる構造にするのかが、今回の工作のキモとなります。軸は垂直であり、テーブルの回転振れは 1mm 以下にしたいので工夫のしどころです。さらに、テーブルの回転抵抗は小さくしておく必要があるのです。動力車の牽引力を活用するので、牽引力が 1gf 程度でも滑らかに回転する必要があります。一円玉一つを引き上げる程度の力です。

 活用しようとした部品は、タミヤの楽しい工作シリーズのストック部品です。ストック品の箱の中をさばくって、利用できそうな部品を見付けては、いろいろ検討しました。

 そして目をつけたのは、2個の小型のボールベアリングでした。内径がΦ4.0mm 、外形がΦ16.0mm 、 幅が5.0mm で、643 サイズの物です。このベアリングは、「モータ特性の測定とモデル化 負荷反力式測定装置の開発」(2019/5/24)にて使用した時の、予備品なのです。 そして、内径がΦ4.0mm なので、タミヤの楽しい工作シリーズの軸に対応できるのです。

 左のイラストは、いろいろ工夫した第3案である。円盤と回転軸の垂直支持はタミヤのケースを活用し、軸の回転はベースに固定したベアリングで支持する構成である。

 

● 自転するターンテーブルを作ろう

 検討を進めるうちに、同じ作るなら自転できるターンテーブルを作ろうと欲が出てきました。これは、動力車の駆動力で回転させることも出来るし、土台に仕組んだモータを使ってテーブルを回転させることもできるという構成なのです。

 その狙いは、上記の「特性解析 今後の課題」(2019/6/27)のアイディアが実現できるのではないかと期待しているからです。モータ駆動の回転軸と、ターンテーブルの回転軸の間を固定したり、フリーにしたりし、さらにブレーキ機構を設けて一定のトルク状態で連結させると言った方法が可能となるからです。その組み合わせを使えば、いろいろ面白そうな事ができるのではないかと睨んでいるのです。機構的にはそれぞれの工夫が必要ですが、夢が膨らんできます。

 そのための、基本構造となるモータ駆動部を設計図にしてみました。

 下記のような部品を使用して構成しています。

  1. モータと減速部はタミヤのテクノクラフトシリーズNo.4 ウォームギヤボックスHEを使用。
  2. 減速比は、216とする。トルクは充分な様子である。軸を指で摘まんでみても、負けていないのだ!
  3. DCモータはRE-260タイプで3V仕様である。過大な電圧をかけると燃えてしまうので、乾電池電源とし、回転制御はPWM制御とする。
  4. ボールベアリングは、643サイズ、内径がΦ4.0mm 、外形がΦ16.0mm 、 幅が5.0mm
  5. シャフトはΦ4.0mm のものは短かったので、アルミパイプと6角棒を使う。ただし、その後、Φ4.0mm のステンレス棒に変更した。
  6. ベースはストック品の角材 45mm×24mm を使用し、中央部の梁に駆動モータ部を取り付ける。
  7. 線路は、KATO のR150 を使用するため、円盤の直径は、Φ380mm とし、ベースは 400mm の正方形とする。
  8. 駆動軸とテーブルの回転固定は、上部に設けた回転固定アームを使って、ピンを差し込めば回転止めとなり、テーブルをモータで駆動させることが出来る。
  9. このピンを外せば、テーブルと駆動軸はフリーとなる。
  10. この間に摩擦機構を組み込めば、さらに複雑な動きをさせる事が出来そうだ。
  11. 線路への給電は、円盤の下側とベースの間に集電機構を設置して実施する。未検討ですが・・・・・・隙間は確保しています。
  12. 回転テーブルのスラスト力やモーメントを全てウォームギヤボックスで受ける構成である。このため、やや心配であるので改良案も検討しておくこと。

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■ モータ駆動部の特性

 PWM制御回路の選定のために、モータの消費電流を調査した。

 使用しているRE-260タイプの特性は、「RE-260RA」の特性線図で見ることが出来ますが、ウォームギヤボックスに取り付けた時の消費電流を簡単にチェックしておきます。

 まず最初に、モータ単体でフリーの状態での消費電流を測定した。右の写真に示す。測定装置は、簡単に使える「走行中の電流を測る」(2010/5/28)で工作した測定器を使用した。その後、手を加えているが「XBeeを搭載したドクターカー その4 内回り線を測定する」(2016/12/27)などで活用したものである。

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 2本の単2乾電池を電源として測定器を通してモータに結線し、無負荷時の電流を測定した。

    電圧=3.0volt、 電流=165mA

であった。逆回転時も同じであった。

 次に、ウォームギヤボックスに取り付けた時の状態で同様に測定した。下の写真。

    電圧=3.0volt、 電流=180〜220mA

 かなり大きな音がするが、シャフトを握ると 300mA以上に跳ね上がるが、0.5Aには達しなかった。また、テスターでモータの内部抵抗値を測定すると、

    内部抵抗値=0.8Ω

であり、勿論テスターの電圧は小さいためモータは回転していない状態である。乾電池で動くモータは、内部抵抗は小さいのだ。低い電圧でも多くの電流を流すためなのだろうか。

 モータの様子がつかめたので、PWM制御用のモータドライバを選定することができる。3volt×1A の仕様で選定しよう。

 回転数の測定は出来なかった(しなかった)が、30rpm、即ち1秒で半回転程度なので、このままで行けると判断した。タミヤの楽しい工作シリーズの歯車は、プラスチック製なので精度は期待出来ず、かつ整数比のギヤ列選択なので騒音に対しては期待出来ないとあきらめています。上手く行けば、金属製ギヤの使ったギヤードモータに変更する手もあります。

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 次回は、上の写真に示すように、土台部分の工作を報告する。

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2023/8/19