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小型のターンテーブル式実験装置を作ろう EF58-150号機のメンテ

 先回の報告にて気になっていたEF58-150号機の異常パターンについて、動輪とウォームギヤ間の摩擦抵抗が大きいためと推定していたので、分解と調整を実施しました。

 

■ EF58-150号機の動力ユニットの分解と調整

 EF58-150号機の動力ユニット No.74 の異常パターンについては「小型のターンテーブル式実験装置を作ろう チビ凸用動力ユニット搭載車を測定」(2023/10/12)にて報告しています。そして、その原因は、ウォームギヤ部の駆動状態から制動状態に移行する遷移点が認めらないことより、動輪とウォームギヤ間の摩擦抵抗が大きいためと推定していました。

 そこでこのユニットを分解して、摩擦抵抗が大きい原因を探ることにしました。まず車体を取り外した動力ユニットの状態を下左に示します。

 ユニットの側面の隙間にマイナスドライバを差し込んで裾を少し広げながらこじって上下に分解します。さらにモータ端子を慎重に溝から外して取り出します。上右の写真です。端子の配線と半田付けは非常に弱いので、慎重に作業しました。以前に配線を切ってしまった失敗があるからです。

 そして、動力部の側面を見たのが左の写真で、上から見たのが右の写真です。

 この状態では、モータ軸と一体となったウォームが外れていますので、動輪はスムースに動きます。少し期待外れです。もっと重くてゴリゴリではないかと思っていたからです。車輪から回しても見ても軽くスムースに動きます。これぐらいの軽さでも問題になるのかと心配して、右の写真に見えている前後の動輪を結ぶギヤ列に、ユニオイルをたっぷりと注油しました。平歯車がズラリと並んでいる部分です。

 左の写真に見える集電子は、中央部の凸部がシャシー部に接触しています。このため動輪部のピポット軸受けはシーソーの様に動くことができますが、これってイコライザー機構ですよね。このサイズのモデルでのイコライザー機構って珍しいですね。・・・・・・・・・・・・素晴らしい!

 イコライザー機構は、線路のゆがみなど不整路でも車輪がしっかりと柔軟に追従して、脱線などのトラブルを防止してくれるのです。

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 再組付けは慎重に実施しましたが、幾つかトラブルも経験しました。ネジ無しの機構ですので、どこかでパチリとはめ込み機構になっているのですが、どこで保持しているのかを把握しておく必要があるのです。また、組付け方向も注意する必要がありますね。部品をこじれた状態で組付けると車輪が動かなくなったり、重くなったりします。このため何度か分解と再組付けを実施しました。

 簡単な構造ですが、再組付けには注意が必要です。何とかスムースに動くようになったので、再測定を実施しました。

 

■ 測定の実施

 再組付け品を再測定した結果を下にしめします。まず、速度特性を測定しました。前回のグラフに重ねて表示させました。

  

 同じ電圧でも車速は速くなり、消費電流は半減するという状態になり、他のモデルと同等のレベルに改善されました。 また、牽引力特性についても、下に示すように劇的に(?)改善されましたね。左側がメンテ前で、右側がメンテ後の状態です。

  

  

 劇的に変化したのは牽引力・電流パターンですね。懸念していた遷移点がはっきりと表れるようになりました。これは「特性線図から何が読み取れるか」(2014/7/8)にて説明しているように、遷移点はウォームギヤの噛合い状態が遷移するポイントを示しており、この時の力は駆動機構の摩擦抵抗値なのである。

 メンテ前は10gf 近くもあった摩擦抵抗値が 2gf 程度まで減少した事を表しています。最初は注油の効果か!と思いましたが、組付け時のコジレなど組付け不具合による影響ではないかと判断しています。

 

■ まとめ

 EF58-150号機の異常パターンは、メンテ作業によって解消しました。そしてその原因として、メンテ作業と言っても注油を実施したことぐらいなので、再組付けによる組付けコジレを解消したのではないかと判断します。このユニットを分解した記憶がないので製品初期の段階からこじれていたのではないかと思いますが・・・・・・確証はありません。

 

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2023/10/21