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 Tinkercadについて

■ はじめに

 最近は、何をするにも意欲が薄れてしまい、齢を感じるこの頃です。そして、もっぱらYouTubeにはまっており、ROM状態でした。しかし、ふと目にしたTinkercadのページが目に留まり、なんだか面白そうなので使ってみることにしました。

 と言うことで、このTinkercadを使ってみた感想などをレポートすることにします。昨年の11月依頼、4か月ぶりの報告です。

 

■ Tinkercadについて

  

 Tinkercadは、有名なAutodesk社が提供する無料のWebアプリです。パソコンもしくはタブレットとインターネットの環境があれば、誰でも簡単に3Dモデリングや電子回路シミュレーションなどが出来るのです。 特に自分は電子回路のシミュレーションに注目しました。

 このアプリは、学校などでも教材として使われているようですが、機械屋の自分が苦労して覚えた電子回路について、そのシミュレーションが簡単に出来るなんてなんて便利なアプリと思い、いろいろ試してみました。

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 でも、結果は半分裏切られたようで、無料のWebアプリの限界を認識した次第です。

 Tinkercadへのアクセスは、

   https://www.tinkercad.com/ 

です。また、使い方などについては多くの方が解説していますので、そちらを参照してください。自分は、使ってみての結果や感想を報告することにします。

 

■ まずは基本のLED回路から

 まず最初に、「LED電子工作集」に記載したトランジスタを使った回路である「C-1 LED点滅回路」について、シミュレーションを実施してみました。

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 回路は下左の図に示すように組んでみました。 NPN型とPNP型のトランジスタを使い、見栄えが良いようにと黄色のLEDを使用し、さらにLEDの電流制限抵抗を配置しました。 期待をもってシミュレーションを開始したのですが、LEDは点灯した状態で止まってしまいました

    点滅回路なのに・・・・LEDは点滅しません・・・・!  何で・・・・・・・・?

 Tinkercadの共有リンクは、https://www.tinkercad.com/things/0WdTD0ahOVw-led?sharecode=_3bGNUSIFoDOkOsm7yvbRKmQ6RyO1RYAWaydOW2lQUU 

 と、https://www.tinkercad.com/things/d4IHzuzPERe-copy-of-led?sharecode=rVVVMZ5lPnnztK33A3hXzU2RMyxLbxqGeV6bOdo-KZk です。

 

 てっきり条件が合っていないと思って抵抗値やコンデンサの容量を変更しましたが、やはり、LEDは点滅しませんでした。 コンデンサを電解コンデンサに替えたり、電流制限抵抗を取り外したり、電源を3Vにしたり、黄色から赤色に変更しましたが・・・・・・

   無駄な努力でした。

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 自分の頭に浮かんだ疑問は「このアプリでは 発振回路のシミュレーションが出来ない! シミュレータの限界である・・・・」 との疑問点でした。

 

■ 疑問点の検証

 にわかに、目が覚めたように活気付きました。技術屋の解析魂が動き出したのです。N増し調査として、「C-5 マルチバイブレータによるLED点滅回路」についても検討しました。この回路は、2つの増幅用部品と、抵抗とコンデンサを使って、たすき掛け形に接続することを特徴とするもので、増幅用部品としてトランジスタを使用した回路の発振作用を利用してLEDを交互に点滅させる回路です。

 回路モデルは下図のように構成しましたが、結果はやはり 点灯はするものの、点滅はしませんでした。

 

 この回路でも、発振現象を再現させる事は出来ませんでした。

 Tinkercadの共有リンクは、https://www.tinkercad.com/things/l7piIjV9kRb-led?sharecode=DIBQrNBEnCYo-ufKsN3NiPLWujZfNcgYMJQngsh2t70 です。

 

● 点滅回路は不可能だろうか

 そもそも、このWebアプリにおいては、このような点滅回路の動作を再現させるのは不可能なのだろうかと考えて、「D-1 タイマーICによるLED点滅回路」について検討しました。この回路は、タイマーICの発振作用を利用した発振回路でLEDを点滅させるものです。参考資料やネットなどで多くの事例紹介を見ることができます。

 タイマーICは LM555 を使用して下図のような回路を組みました。 シミュレーションを開始すると、LEDは見事に点滅を始めました。 この回路は正常に機能するのです。

 その様子は、下右の画面をクリックすると YouTube の動画にて確認することが出来ます。

 

  何で? トランジスタ回路では機能せず、タイマーICによる回路では異常なく作動する?・・・・・・・・・・。

 Tinkercadの共有リンクは、https://www.tinkercad.com/things/boRi7Kp1s7h-led?sharecode=INNO1x6oHhSwVvroEQvuLMOXSjqMrs3nVKmf-rgZI30 です。

 

■ いろいろ推論してみよう

 つたない知識でこの理由を考えてみることにしましょう。

  1. トランジスタによる発振回路では機能せず、タイマーICによる発振回路では異常なく作動するということは・・・・・・・。
  2. これってアナログ部品とデジタル部品のモデル化の問題では無いのか・・・・・・・。
  3. シミュレータアプリとしてプログラムを記述する場合、対象とする部品特性(物理的特性)をどれだけ正確に記述(モデル化)しているのだろうか? さらに、時間軸、すなわち作動の時間経過、すなわち過渡応答をどれだけ正確に再現するように記述しているのだろうか?
  4. 単に変形や歪を求めるFEM解析(静的解析)だけでなく、過渡的な応答が必要となる時刻歴応答解析(動的解析)のような機能がこのアプリに備わっているのだろうか・・・・・。
  5. デジタル部品はArduino のようにプラグラムで記述すれば動作状態をシミュレーション出来る。結果はON/OFFのデジタル値が求められるようにモデル化すれば良いと考えます。 しかし、アナログ部品による発振回路では、時間軸も考慮しなければ正確には再現できないはずである。
  6. そもそも、この無料のWebアプリの目的は、そこまで正確なシミュレーションを実現させるソフトでは無いと思われる。これで充分なのだ。

■ まとめ

 このアプリは、簡単なシミュレーションが楽しめるソフトとして使ってみることとする。そして、何が出来て、何が出来ないかを探っていってみよう。