■ 内容
aitendo のLED組立てキット、LED電子サイコロ (AKIT-109)を組みたてた。 そして、その回路構成が勉強になったので紹介しよう。
参考資料: aitendo > 組み立てキット > LED > LED電子サイコロ
http://www.aitendo.com/product/4072
■ キットの組立て
E-6の電子ルーレットが孫たちに好評だったので、今度はサイコロに挑戦すべく、参考とする回路をネットで探してみた。 するとこのキットの公開されている回路を見つけたが、キットの価格が安かったのサンプルとして購入し組立てた。
製品説明によると、ボタンを1秒ほど押して放すと、七つのLEDが点灯して流れる、流れる速度がだんだん落ちでやがて一つの点灯状態で止まるとのこと。 動作電源は9.0Vとある。 使用しているIC は、 NE555NとCD4017である。 内容の詳細はaitendoのホームページをご覧ください。
キットを組みつけた状態を下に示す。
電源との接続は、立派な端子台が付いていたが、他の電子工作と同様に2ピンのピンヘッダを裏側に半田付けしてした。 いつもの乾電池3個の4.5ボルトでも立派に作動した。 本当に動作電源は9.0Vも必要なのだろうか疑問になった。
■ 回路の理解
なぜサイコロの目の様な表示が出来るのか不思議であったので、公開されている回路図を眺めることにした。 すると、
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などのを読み取ると共に、疑問もわいてきた。
◆ サイコロの目の表示
まず、サイコロの目の表示方法について、回路を追っていった。 そしてLEDの点灯状態を右にイラストに示す。 サイコロの目はイラストの右回りに変化していくのである。
◆ テスト用回路を組みつける
サイコロの目の表示マジックは理解できたが、他の疑問点については回路を組み付けて実験してみた。 オリジナルの配線図に示された部品そのものを持っていなかったので、キットの部品を外す方法もあったが、同等の機能と思われる代わりの部品を使用した。 実験した回路を下に示す。
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ブレッドボードに配線した状態を右に示す。 配線がゴチャゴチャしていますが、まずは正常に機能しました。
● 充電回路について
まず、充電回路をチェックしてみました。 プッシュボタンを押すとコンデンサのマイナス側がGNDに接続されます。 すると、トランジスタのベース電圧が低下してコレクタ電流が流れるようになり、タイマーIC が作動するようになる。 一方、コンデンサは、+電源側との電位差によってコンデンサの充電が始まる。 プッシュボタンを放すとGNDの接続が遮断されるので、今度はコンデンサのマイナス側に電気が流れ込み、トランジスタのベース電圧がだんだん高くなってくる。 そして、ついにはベース電流が止まってしまうとコレクタ電流も止まり、タイマーIC も作動を停止する。
オリジナルの回路では、PNP型トランジスタ 9012 のベースには、電源側から 3.3M の抵抗をを介して接続されいたが、この抵抗を取り去った上の回路でも、充放電の機能を果たしていた。 無くても良いのにと思ったが、トランジスタのベース回路が不安定になるのを避けるためと推察するのであるが、良く理解できなかった。
● タイマーIC のコンデンサと並列に挿入された抵抗の役割
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次に、タイマーIC のコンデンサと並列に挿入された抵抗の役割について実験してみました。 この抵抗を外してテストすると、サイコロの目が止まる状態がピシット決まりません。 ふらふらと止まる様な感じで、場合によっては止まるかと思ったら、コロリと次の目に移る場合もありました。 体操の選手がフィニュッシュでぴたりとポーズを決める感じにするためには、ここに抵抗を必要とするようです。 また、小さな抵抗では発振機能が発揮できない場合も有りますので、有る程度の抵抗が必要のようです。
● タイマーIC の6番ピンと7番ピン
タイマーICのカタログに示されたアプリケーション情報によると、このピンの間を直結する回路の例として、単安定動作やパルス幅変調回路の例が示されていますが、これらの回路では2番ピンとは連結していません。 どの状態パターンで動作させているのか疑問になったので、オシロで確認してみました。 測定した状態を右の写真に示す。
オシロのCH1は7番ポート、CH2は3番ポートに接続して観察した時のオシロ画面を下に示す。
左の画面は配線図の状態で、右の画面は6番ピンと7番ピンの間に100KΩの抵抗を挿入した状態です。
左の画面では出力ポートの3番にパルスが出ていないように見えますが、ときどきひげのようなダウンパルスが観察されました。 10進カウンタが正常に機能している様子なので、ここからパルスが出ていることは間違いにはずですが、観察出来ないということは、使用している簡易オシロの限界以下の短い時間で、ロー出力のパルスが出ているものと推察する。 右の100KΩの抵抗を挿入した状態では、このロー出力のパルスがハッキリと確認できますし、7番ポートも同様に確認出来ます。
この事より、「無安定動作」のパターンで動作しており、6番ピンと7番ピンの間の抵抗がゼロの場合として計算すると、
左の画面の場合: 出力ハイの時間 t1= 7msec、 出力ローの時間 t2 = 0 msec
右の画面の場合: 出力ハイの時間 t1= 14msec、 出力ローの時間 t2 = 7 msec
となる。 抵抗値やコンデンサの値を呼称値で計算しているので、値は少し異なっていますが、大体の値は合致していると判断しました。即ち、ゼロΩの抵抗を挿入している無安定動作のパターンと解釈することにしましょう。 でも、回路が不安定になるのではないかと思うのですが、問題無いのでしょうか? 回路の安定性に配慮した設計と思っていましたが、ここでは逆に不安定な設計にわざわざしている理由は何でしょうか? 素人には良く判りません。
■ まとめ
このキットより、10進カウントの新しい使い方や、PNP型トランジスタの応用例など、勉強になりました。 有難うございました。