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大型蒸気機関車:   C57 135

 

実車プロフィール

C57形蒸気機関車は、1937(昭和12)年に誕生し、 その均整のとれた美しい姿は「貴婦人」とも呼ばれ、SLファンに人気の高い機関車です。

 C57 135号機は、1940年に三菱重工業神戸造船所にて製造され、高崎、小樽築港、室蘭、岩見沢第一で活躍、1976年に廃車され、東京都須田町「交通博物館」で静態保存された。 その後、埼玉県大宮市の鉄道博物館に移管され、メイン展示物として、博物館の転車台に鎮座展示されている。

模型プロフィール

メーカー : TOMIX
製品名 :  国鉄 C57形蒸気機関車(135号機)
品番  : 2003
車両番号: C57 135
発売日 : 2009年9月
入手日 :2009年9月28日 新品購入
定価 : \16,170.-

分解調査

 

● TOMIXが満を期して発売した蒸気機関車再挑戦モデルで、KATOの最新モデルを参考にして各所に最新設計を盛り込んでいる。
● フライホイール付モーターをボイラーの中に搭載する。
● 第2動輪と第3動輪にトラクションタイヤを履かせて、牽引力を確保している。
● ヘッドライトおよび炭水車のライト点灯
● アーノルドカプラーからKATOのナックルカプラーに交換する。

● 主要諸元は次の通りである。

連結面間距離
140.0 mm
先輪車軸荷重 2.5 gf 動輪車軸荷重 43.9 gf ギャ比 i = 37.71
車体全重量 77.4 gf 従輪車軸荷重 1.5 gf テンダー車軸荷重 29.5 gf 動輪直径 D = φ11.2 mm

 なお、先輪車軸荷重には、バネ力も含む。

● まず動力部を取り出す。 分解方法は、KATOのC62などと同じ方法で分解できた。 ランボードはボイラと別体であるが、先端部分がはめ込み式で固定するようになっているので、一体物として扱う方がベターであろう。 機関士と助士も配置している。

● 動力ユニットを左右と上下から見てみよう。 モータ等が一直線に綺麗に収まっているのが判る。

● 全部品をほぼ分解した状態を下にしめす。  それにしても沢山の部品から構成されていますね。

● 動力ユニットの左右のメインフレームについて、表側と裏側を示す。 左右のフレームの間には、いろいろな形の黒色のプラスチックスペーサが設けてあり、電気的絶縁と機械的な固定を担っている。 そしてこれらは左右の外側からネジにて固定される。 下の写真の中で、右上に示す右側フレームの内側には、変わった形のスペーサが有った。 当初はその目的が理解出来なかったが、位置からしてアイドラギヤの側面に設置されていることから、ギヤの位置を確保するスペーサと判断する。 でも、なぜこの様なスペーサが必要になったのだろうか?

● 次にウォームを示す。 ウォームはフライホィールと一体に切削されており、さらに軸部も一体で切削形成されている。 モータ側には、樹脂製のジョイントが連結されていた。 モータはφ10.0mm のカンモータで、二面幅は8.0mm と小型であった。 軸にはフライホィールが圧入されており、その端部の内側には、ジョイントの4本の角と噛み合うための細い溝が彫られていた。 フライホィールの直径は、両方ともφ8.0mm であった。

● 次にウォームギヤとアイドラギヤを示す。 ウォームギヤは歯数が14枚の小ギャとの段付き歯車になっている。 歯車に付いている白色のマーキングは、歯数を数えるために自分が付けたマークである。

● 動輪とロッド類は、もう自由に分解することが出来るようになった。 しかし、分解時は簡単であるが、再組付け時には、拡大鏡を使いながら、四苦八苦して組付けている状態である。 これも練習なり!

● 動輪の軸受部は、KATOを参考にしている様で、同じ形状で寸法もほぼ同じであった。  但し、KATOの様に、動輪の上下動は許されず固定されていた。

● ロッド類を分解した際に、クランクピンとロッドの穴の寸法を確かめてみた。 第2動輪のピン部の嵌め合いは、穴と軸が、φ1.25とφ1.2mm で殆んどガタの無い嵌め合いであった。 しかし、第3動輪のピン部は、φ1.1とφ0.8mm であり、少しガタのある組合せであった。 第1動輪のガタの感じも第3動輪と同じようであった。 TOMIX の設計方針では、ギヤ駆動されている第2動輪を中心としてロッド類を制約し、第3動輪と第1動輪との連結はガタを設けて寸法誤差の逃げを設けている様である。

● 次に動力伝達機構のイラストを左に示す。 ただし、この下絵となった写真は、左側のフレームの内側を撮影し、左右を逆転させる横反転の処理を実施しています。 従ってウォームのねじれ角が逆になっています。 この様な処理をしたのは、他のモデルと比較できるように、左方向が前側になるようにするためです。

● ウォームギヤのトルクは、ウォームホイールに伝達され、ウォームホイールの裏側に成形されている小ギャと、それと噛合う第2動輪のギャによって第2動輪に伝達される。 さらに、アイドラギャを介して第3動輪にも伝達されます。 第2動輪と第3動輪はトラクションタイヤを履いているため、ここで主に牽引力を発揮します。 そして、第1動輪はサイドロッドによって駆動されています。

● 動輪を1回転させるために必要なモータ回転数、即ち減速ギヤ比は、

        ギヤ比  i = 22×24/14 = 37.7

 である。

● 動輪押えを下に示す。 またドローバも押し込んで連結させる方式を採用している。

● 先台車と従台車を下にしめす。 先台車のレバーには小さな突起が設けられており、取り付け時にコイルバネによって軽く線路に押しつける構造になっている。 また、従台車の車軸がゆるゆるで外れていた。 そして、車輪は回転していなかったようで、一部分が擦り減っていた。 車輪を外して、台枠を変形させたが、そのうちもとに戻ってしまいそうである。 今後要チェック部分である。

● テンダー車の分解状態を右上に示す。 中間部の部材が、いつもより多いので再組付け時に戸惑ってしまった。 ライトユニットはどうやって組付けるのだっけ? など迷ってしまったのである。 特に導光部材の組付け方向が判らなくなってしまい、しげしげと部品を見つめてしまった。 すると細い溝が有るのに気が付き、相手部材と合わせてみるとスムースに組付けられた。 しっかりと「ポカ除け」が設けられているのであった。

● 危なくネジをバカにする恐れのあった失敗例を一つ紹介する。 左右のフレームは下の写真のようにその側面からネジ止めされている。 動輪を組込んでしまうと見えなくなる位置にあるが、このネジをうっかりして間違えてしまったのである。 動輪押さえを下から止める方のネジを使用してしまったのである。 同じ寸法のサラネジであるが、ピッチが異なっていた。 動輪押さえを止めようとした時、そのピッチが大きいのに気が付き、あわてて取り替えたのである。 もしフレームの金属部分にピッチの大きいネジをネジ込んでいたら、ネジはバカになってしまった恐れがある。 幸いプラスチックにピッチの小さなネジをネジ込んでいたので、ダメージが少なかった様であり、フレームはなんとか固定出来ている。 やれやら、要注意である。 ネジの大きさを変えるなどの「ポカ除け」の配慮が欲しかったね。 同じ様なネジでピッチだけ変えて使用するのは、組付けミスを招くヤバい設計と思います。

● モータの配線は工夫されており、パチンとはめ込むだけで完了する超簡単な構成となっていた。

● ライトユニットは前後同じ物を使用していた。 その表と裏を下左に示す。 また、前方の装着状態を右下にしめす。

● このTOMIXのC57形は、2年前に発売されたKATOのC62 東海形を参考にされていると思われ、それに負けないアイディアも盛り込まれているが、翌年発売されたD51-498号機のコアレスモータ型の登場によって、影が薄くなってしまったようである。 しかし、低消費電力の小型モータを使用して、低速での滑らかの走行を実現するなど、意欲的なモデルある事には間違いないようである。

● 最近発売されたC61形モデルについて、未入手なので(軍資金不足による)改良内容を知ることが出来ないが、さらに発展しているものと期待している。

( 2013.7.30 〜 31 分解調査  8/2 記述追加 ) 

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。

 

 測定実施日: 2013/8/22

 

速度特性:

 スケール速度の80Km/h を出すには、 5.5Volt 必要であり、Nゲージとしては遅い言える。 低速から安定して走行しているが、データで見ると 6Volt 以上でバラツキがやや大きくなっている。 共振現象などが発生しているのではないだろうか。 

 電流は、20〜 50 mA で非常に小さいと言える。 

 車速と電圧、電流と電圧の関係は殆んどリニアな関係となっている。

 

牽引力特性:

 粘着領域での牽引力は 16 〜18 グラムであり、SL としては普通と言えよう。トラクションタイヤを増設した効果であろうか。

 安定した走行の割にはデータのバラツキが大きく、意外な感じがした。

 また、軽い制動領域( 0 〜 -6 グラムの辺り)では、ヒステリスのような特異なパターンを示している。 特に 7volt の場合に明白に出ているが、速度の低下と共に電流も下がっている上に、制動負荷が大きくなると、この現象が解消しているのでので、ギャ伝達機構での作動形態が変化していると考えるべきであろう。

 その要因は思い付かないが、制動負荷が大きくなると解消しているので、2本のトラクションタイヤが何か悪さをしているのではないかと想像する。 サイドロッドを外したり、第2動輪を外すなどして測定すると少しは分かるかも知れない。 重箱の隅を突く様なのでここまでとしておこう。      ( 2013.8.22 追記)

 

 

**** (以下は 2011.2.11 追記時のもの) ******

 

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。

 最新の設計仕様を織り込んでいるため、速度係数が17 Km/h/Volt と低く、かつ摩擦抵抗が低いために走り始めの最低電圧も 1Volt 以下であった。 あまりの低速で、我が測定装置では計測不可能である。

 スロー走行が売りの製品と言えよう。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力特性は明確な線図を描き、我が鉄道模型工学の模範的データとも言えよう。

 牽引力の粘着限界はおよそ20グラムである。ライバルのKATO C57 180 号機と比べて、重量が軽いのに、トラクション車輪を増やして同程度の牽引力を確保しているのは、設計陣の苦労を思わせる。 

 牽引力と電流値の関係をみると、勾配はほとんど一緒なのにその絶対値が圧倒的に低い。 この勾配は物理的理由で同一となるのは当然かも知れないが、絶対値の低さは技術力向上の成果と推察する。 

    ( 2011.2.11 追記 )