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中型蒸気機関車:   18688 デフなし・箱形テンダー

 

実車プロフィール

 形式名は8620形。 「ハチロク」の愛称で親しまれた身軽な万能機で、「クウロク」の姉妹機である。

 明治時代末期に輸入された大形機関車の性能をおとさぬように小形軽量化して設計、製造された。 9600形とともに日本の蒸気機関車製造技術を確立した名機である。大正4年〜昭和4年の16年間で672両作られ、北は樺太から南は台湾まで当時の日本全国どこでも見ることができた。

 18688は、1919年2月汽車製造大阪工場で製造され、デフなし・箱型テンダーで千葉や長野機関区などで活躍した。 1971年廃車、その後、千葉県銚子市「前宿町公園」にて保存。 しかし、その末期は塩害により激しく腐食し、2003年3月に解体されてしまったそうです。

模型プロフィール

メーカー : MICRO ACE
製品名 :  8620形・デフなし・箱形テンダー
品番  : A6102
車両番号: 18688
発売日 : 1999年11月
入手日 :2009年3月21日 新品購入
定価 : \9,030.-

分解調査

● 主な諸元は下記のとおりである。

連結面間距離
120.0 mm
車体全重量
69.0 gr
 動輪車軸荷重
51.7 gr
動輪直径
10.0 mm
先輪車軸荷重
1.6 gr
テンダー車軸荷重
15.7 gr 

● この車両は、機関部にモータを持ち、三つの動輪にて駆動している。 トラクションタイヤは第3動輪に装着されている。 車両を分解して、内部構造を見てみよう。 この車両は、自分が所有しているマイクロエースのSLの中では古い構造の車両であるので、しっかりと観察しておこう。

● 下の写真は機関部の動力部分で、灰色の部分は重りである。 この状態で走行可能である。 ヘッドランプは麦球が使用されており、前進は勿論、バック走行でも点灯する。 モータはマグネットモータで、2P5S の構造で、回転子には約10°のスキューが見られ、緑色に塗られている回転子の一部には白色のマーキングが有った。 

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● 車両をさらに分解する。 エンジン部は車体を左右に分割する2個のダイキャスト部材で構成されており、伝達機構の歯車類は右側の部材に軸支されている。 この2個の部材は、車輪からモータに電気を通電させる導電体の役割も兼ねている。

● モータはこの二つの部材に挟まれて支持されており、それぞれに電極が接触している。 さらに、部材の細い溝がガイドになってモータの位置決めをしている。

● 動輪はロッド類が組込まれており、さらに分解出来るが、組付けるには微妙な調整などが必要なので、必要ない限り分解しない方が得策である。

● テンダー部は3軸の車輪を有しているが、後ろの2軸で集電している。 集電した電気はドローバーを介してエンジン部のダイキャスト部材に導電するようになっている。

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● 次に、駆動部の構成を見てみよう。

● モータ軸にはモジュール m = 0.3 の一条ネジウォームが圧入されている。 軸の支持はモータ本体の軸受けのみである。 ホィールの歯数 z = 24で、 2段ギヤとなっている z = 13 の小ギヤによって、動輪のギヤに伝達されている。 この間に2種類のアイドラギヤが介在している。 このギヤ付き動輪は、第1と第2の動輪のみで、第3の動輪はロッドで駆動している。

● 従って、この伝達機構のギヤ比は、i = 29.54 となる。また、動輪の直径は φ10.0mm であった。

● 後方のカプラーは、アーノルドカプラーからカトーカプラーNに交換している。

● また、この車両は、ミニレイアウト、即ち、TOMIXのミニポイントやクロス、および、R140mmの曲線でも、なんとか走行しているが、状態によっては脱線する場合がある。 最近のKATOのミニレールは、所有していないのでチェックしていない。

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、自動測定システムを使用して実施する。 測定実施日: 2013/4/15

 

暖機運転:

 動力特性を測定する前に暖機運転を実施するも、運転中の測定は実施せず。

 

速度特性:

 スケール速度の80Km/h を出すには、 4 Volt 必要であり、一般的なNゲージと言える。

 電流は、100 〜 160 mA でやや大きいほうである。 特性はバラツキがみられるものの、走行は安定しているようである。

 


牽引力特性:

 動輪荷重が約52グラムで、トラクションタイヤを第3動輪にはいている。 粘着領域での牽引力は約20〜26グラムもあり、SLとしては充分な牽引力を有している車両と言えよう。 

 牽引力特性は、バラツキが見られるが、電源も不安定なのでその影響もあるようである。 コントローラは触っていないのに・・・・・・・・・。  電流と牽引力の関係は、意外とバラツキが少ない。 ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は、- 15グラム前後で大きいほうである。

 また、牽引力/速度の勾配が大きく、負荷によるスピードダウンが大きいようである。

 

 また、この測定中の電流と電圧の関係を右のグラフに示す。 電圧変化は、1.0ボルト以下であった。

 

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 この86機は、牽引力/速度の勾配が大きい。 4.5ボルト前後の場合、-20〜+20グラムの負荷変化に対して、30 〜 120Km/h の速度変化が見られる。 これは、ゆっくりと坂道を登る力強い機関車と見る事ができるし、また、重連し易い機関車と思われる。

 しかし、粘着領域の牽引力を測定しようとしたが、低速になり過ぎて停車してしまい、スリップ状態にするには電圧を上げる必要があった。  このことは、電流を流した状態で停車してしまう危険性もあり、うっかりするとモータ焼損につながる危険な車両とも言える。 スリップ状態は過電流防止の安全弁の役割もあるのであるが・・・・・・・・・・。

 ********* ( 以下は 2011.2.14 更新のもの) *****

 

速度特性:

スケール速度80Km/hは、4.0volt近辺である。
1volt当たり 30 Km/hの増加を示す。
走行開始点は、2Voltを過ぎたあたりから。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ20弱であり、SLとしては一般的である。 ミニレイアウト用としては充分な力を持っている。