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小型蒸気機関車:   2120 B6 機関車

 

実車プロフィール

 2120形とその同系機は、一時期の国鉄蒸気の主力となって活躍する。 明治のSLとして、印象深いが意外と昭和の戦後まで、ローカル線などで活躍していたようだ。
 2120号機は、分類上、2120形式の基本となる車両で、1899年国鉄神戸工場で製造され、中部局、品川、沼津、福島、郡山を経1958年に廃車される。

 

模型プロフィール

メーカー : 河合商会
品番: KP-152
車両番号: 2120
発売日 : 2001年9月11日
入手日 :2010年6月23日 ジャンク品入手
定価 : \6,500.-

分解調査

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● 閉鎖された河合商会の蒸気機関車シリーズの中の一台で、オークションで入手した2台のひとつ。 もう一台は有名なフレーム不具合品に該当し、作動不良で分解すると、フレームがバラバラになってしまった。 今は、部品取りに使用している。

● カプラーはシンキョーカプラーを装着する。

● 主な諸元:

連結面間距離 75.0 mm ギャ比 i = 40
車体全重量 42.2 gf 動輪直径 D = φ8.4 mm

● ヘッドライト等は未装着。

● 従輪の車軸は首振り機能が無い。 さらに、車軸のスラスト移動量も少ないためミニレイアウトの走行はカーブで脱線するため不可。 このため、僚機の2157号機と2286号機は従輪の首振り加工を実施している。   ⇒ 「 KAWAIのB6をミニレールで走らせよう 」

● キャブ&ボイラーを取り外した状態を下に示す。 モータは角型モータがきっちりと組込まれており、コンデンサもハンダ付けされている。

● 取り外したキャブ&ボイラーについて、側面と斜め前面から見てみる。 見る角度によって少しウエザリングをしているのが判る。 後付けパーツ部品により、細かい細工がしてあるが、エアホースや解放テコはサボっている。 また、タンク部の胴体には、しっかりと重りが詰め込まれていた。 このためヘッドライト加工は無理のようである。

● 動力ユニットについて、3方から写した写真を下に示す。 最後の写真は、動輪押さえを取り外した状態である。

● 全部品を分解した状態を下に示す。

● 問題のフレームを下に示す。 左右のフレームの表側と裏側を示す。 同時代のKATOやMICROと比べて、作りがやや雑な感じがする。 また、中間部には肉の薄い個所があり、強度的にも問題がありそうな構造である。 バラバラになったもう一台のフレームを見ると、何処でつながっているのかと思える様な所で破断しており、設計上の不具合のような気がする。 現在ではFEM解析により、一発で「真っ赤々」となってしまうような応力集中が予想される。 さらに亜鉛ダイカストの湯流れ不良も重なってフレーム破損の不具合が生じたのではないかと思われる。

● また、左右のフレームはねじで結合されるが、そのねじのナットは右上の写真に示す白色(現在は黄変している)の丸いフランジ付きナットがつかわれている。 しかし、脆化しているため写真でも分かるように、フランジ部が破損した状態となっている。 その断片は、上記の分解写真の中央部に丸いリング状の部品として証拠写真のように撮っている。 再組付けはどうしょうかな?

● 次に動輪と動輪押さえを示す。 リターンクランクが無いためすっきりとした構成である。 動輪押さえを見ると、第2動輪部の穴が塞がれており、かってここにギヤが有ったことを想定される。 また、第2動輪の軸を見ると、中心部に盛り上がり加工された部分があり、ギヤを圧入固定させるための細工と思われ、ギヤ駆動の名残だろう。

● モータを見てみよう。 上と下からの写真を下に示す。 角型モータで、2P5S形式でスキューが施されている。 さらに記号が 223 、即ち0.022μF のコンデンサが半田付けされている。 

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● 次にウォーム軸を右に示す。 ウォームの両側には軸受けがあるが、フランジ付きの円形で円周の一部に鶏冠のような出っ張りがある。 フランジでスラスト方向の位置決めとし、鶏冠部分で左右のフレームの隙間に嵌め合って回転止めとしている。 また、モータとの連結部には大きなお皿が圧入されており、その内側には、内歯ギァが切られている。 このギヤはモータに圧入された小さな平歯車(ピニオン)と噛合い、歯数が12/24であるので、1/2の減速機構を構成すると共に、ウォーム軸とモータ軸を平行移動させる効果もある。

● ウォームホイールとアイドラギァを下に示す。 ウォームホイールは歯数が Z = 12 の小さなギヤである。 うっかりと見過ごすところであったが、これらの平歯車には、わずかにリードが付いていた。 ハスバ歯車となっていたのである。 下右の噛合い状態をみても、歯筋がギァ軸に対して僅かに傾いているのが判る。 これは、ウォームのねじれ角に合わせて、ウォームホイールにリードを付けたため、これらに噛合う歯車の全てに同じリードを付けたものである。 他のメーカでは、ウォームギァの噛合いにおいても、このリードを無視して片当たりの状態で作動させている。 さらにひどいのは、ボギー台車の場合である。 台車に取付られているホイール側が左右に首を振るので、ますます片当たり状態となる。 リード角なんて無視しているのである。 でも、ギァの幅を1mm程度の薄くしているので、その影響は少ないのである。

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● この河合のモデルは、ウォームギァの基本にそって、律儀にリードを設定しているし、その分、歯車の幅を大きく取っても何ら問題は無い。 ちなみに歯幅は 2mm もあった。 また、歯車の軸は歯車側にあり、それをフレーム側の穴に差し込んで支持する構成である。

● このモデルの動力伝達機構を右のイラストに示す。 第1動輪と第2動輪はサイドロッドによって第3動輪から駆動される。 また、第2動輪にギヤを付ければギヤ駆動も出来る構成である。

● 動輪を一回転させるために必要なモータ回転数、即ちギヤ比は、

  i = 24/12 ×20 = 40

である。 一般的なNゲージ車両としてはギヤ比が大きい部類であろう。

● ウォームギヤと動輪の間は単純な構成であるが、内歯歯車の構成は無理が有った様であり、作動音は独特のギリギリとしたうるさい音を立てて走行している。 この内歯歯車を採用して理由として、ギヤ比のためか、あるいはモータを納めるために軸芯を上方に移動させるためなのかは判断出来ない。

( 2013.10.17 追記 )   

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、自動測定システムを使用して実施する。 測定実施日: 2013/3/25

 

 

暖機運転:

 動力特性を測定する前に実施した暖機運転の経過も、自動的に測定した。負荷の掛った状態で走行させたもので、その時の速度と電流の変化を記録する。 他の項目は殆んど変化なし。

 性能が安定するのは意外と早く、2〜3分程度で安定する様である。 途中では少しふらつきやや安定性に欠けるようである。 

 

速度特性:

 河合商会のこのシリーズの特徴として速度が非常に遅い事が挙げられるであろう。 スケール速度の80Km/h を出すのに 8Volt も必要であり、一般的なNゲージと比較して、モタモタと走っている感じがする。

 電流は、50 〜 70 mA で小さいほうであるが、途中で電流が20mA 近くも跳ね上がる状態が発生する。 この時には、スピードも低下しているので、伝達機構の中の状態が変化し、摩擦抵抗が増えたためと思われる。 この現象はこの個体だけにみられるので、どこかの歯車などがこじれるのではないかと推察する。原因は不明。 走行状態を見ていても、その違いを判別することは出来ないので、見ていても分からない。 ギリギリと怪しい音を立てながらも、低速走行は可能である。

 


牽引力特性:

 車両重量が40グラム強であるものの、トラクションタイヤが無いため、粘着牽引力は10グラム以下が限界のようである。

 また、南薩鉄道 5号機と違って、牽引力勾配は立っており、負荷による速度変化は少ない。

 5ボルト近辺での低速走行時に、途中から速度がグーと下がり、走行が不安定となった。 測定は、7、9、5ボルトの順で測定した。 モータの過熱?・・・・。

 さらに、電流値のバラツキが大きいため、ロッド類を含めて駆動機構の作動がギクシャクしている様である。 これは、分解組付作業を実施したした人(自分)の技術不足か、あるいは部品の不良かも知れない。

 

 また、この測定中の電流と電圧の関係を右のグラフに示す。 電圧変化は、0.5ボルト以下であった。

 

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 この機関車の特徴として、 電圧に対する速度が遅いので種類の異なる機関車との重連は無理のようである。 重連させるなら、同種との機関車同士に限定されると思われる。

 この2120号機は、近いうちにトーマモデルワークスから組立てキットが発売される予定とのことであるので、期待している。

                                      ( 2013/3/25 追記 )