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小型蒸気機関車:   C11 227

 

実車プロフィール

 動輪3軸に先輪1軸・従輪2軸(1C2)という軸配置を持つC11は、わが国のタンク式蒸気機関車を代表する車両で、昭和7〜22年(1932〜1947)に381両が製造されました。
国鉄時代は小形で客貨両用に使用できるために重用され、全国で活躍しました。現在でもJR北海道、JR東日本、真岡鉄道、大井川鉄道などで運転が行われており、人気を博しています。

 

模型プロフィール

メーカー : KATO
製品名 : C11
品番: 2002
車両番号: C11 227
発売日 : 2007年 再生産品
入手日 :2007年3月12日 新品購入
定価 : \5,775.-
 


分解調査

 

● ヘッドライト(前・後)点灯
● 製品状態のままでは、従台車の制約により、ミニレールは走行不可。
● 従台車の加工: ミニレール走行対応のため、従台車を回転かつ揺動可能に動けるようにドローバを作成して連結する。  ⇒  下記参照
● カプラーの交換: 後方のカプラーは、アーノルドカプラーからカトーカプラーNに交換する。 前方は、写真のように、カトーカプラーNを加工し、先輪台車に揺動可能に取り付ける。 しかし、格好が良くないので、現在は取り去り、ダミーカプラーに戻している。

 

連結面間距離 98.5 mm 車体全重量 53.1gf 先輪車軸荷重 0.9 gf
    動輪車軸荷重 34.0 gf 従輪車軸荷重 18.2 gf
    動輪直径 D=φ11.0mm ギャ比 i = 28

● 上記の従輪車軸荷重について、従台車自身の重さは、たったの 2.8 グラムしかないのであるが、軸荷重を測定すると18.2 グラムもあった。 この測定値は不安定なので信頼性は薄いが、重さの何倍もある軸荷重になるのは、特殊な形状をした板ばねによる押し下げ力が働いているからである。 そして、板ばねの曲げ具合によって、この荷重は大きく変化するので、その変化した分が、動輪荷重の増減に影響っしている。 測定のたびに変化しているので当てにならない数値であることを断わっておきます。

● ボディと重り、および先台車や従台車を取り去った動力ユニットを下にしめす。 この車両は、いろいろいじくり回したので、その痕跡が残っている。 モータの回りやシリンダ・ブロックのあたりが白くなっているのは、牽引力アップのために、水草の重りをペタペタ貼り付けた後である。 あまり効果が無かったので、今は取り去っている。 また、2007年の再生産品なので、前照灯がLEDになっている。 右の写真はモータなどを取り去った状態である。 また、ウオーム軸回りのコの字形のプラスチック部材は、重りとフレームの接触によるシュート防止のための絶縁用と、重りを固定するための部材である。

● 次に分解状態を下に示す。 汚れなどは綺麗に掃除しました。 

● 下の写真は、左右のフレームの外面側を示す。 内面側には、2002R と 2002L の刻印がされていた。 でも、この形状はどこかで見たような形状だなと・・・・・・・。

● 動輪と特殊な形状の重りを示す。 動輪の歯車の幅が広いのが目に付いたが、古いタイプのモデルを見ると、幅の広いギヤが使われているので、2007年生産品と言えども古い設計のようである。 右に示す重りは真中でフレームにネジ止めされる。 そして、右側の部分でコの字形のプラスチック部材を間に挟み、モータ支持部を挟み込んで、モータをしっかりと固定している。

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● 上にモータと歯車の写真を示す。 このギャも幅広である。

● 動力部の構造を左のイラストに示す。 ウォームとホイールギャ、アイドラギャ、および動輪のギャの4点で構成され、至ってシンプルな構造である。 動輪を一回転させるには、動輪ギャの歯数が 28 枚なので、ギャの歯を28枚送る必要がある。 このため、ウォーム軸は28回転必要なので、ギャ比は i = 28 となる。

● モータは、左右のフレームの小さな溝とモータ端部の押さえで保持するのであるが、その保持力は弱く、ウォームは容易にねじれてしまう。 これで大丈夫だろうかと心配になるが、コの字形のプラスチック部材と重りによって、ガッチリと保持している。

● アイドラギャの中心位置が動輪の軸と殆んど一直線になっており、バックラッシュの確保などには有利とおもわれるが、動輪の組付けには、一苦労しそうである。 ここまで来てハタと気が付いた。 見たことがある構成だと気付き、前に調査したC50 の内容と比べて見ると、ムム・・・・・・・! 一緒ではないか!

● C50-78号機(品番:201)と構造や寸法が同一である。 KATOのマークや品番の刻印などが追加されているものの、フレームの形状は同じである。

● これは、2007年 - 1981年 = 26年間 も同じ構成のモデルを使用していたと言うことであり、歴史あるKATOの息の長い生産活動の一端を知ることが出来る。 勿論、何度かの改良が施されたと思われうが、基本設計は脈々と受け継がれて来たと言う事であろう。 「Nゲージ蒸気機関車」によると、その様子が詳しく説明がされています。

● その改良例として、後ろのバックライトを紹介しよう。 品番2002が示すように途中からLED式のライトが採用されている。 表側と裏側を下に示す。

● ロッド類は、昔のままの様ですね。 1978年の金属ロッドへの改良から、D51と同様に合併テコが有りません。

● 次に失敗工作であった従台車の加工を紹介します。

 この車両を入手した当時は、鉄道模型を始めたころであり、昭和の「鉄道模型」をつくるなど、ミニレイアウトを作っている最中でした。 そして、このミニレイアウトで走らせるSLを探していましたが、小型蒸気機関のくせに、140mm のミニレールが走行出来無いこのC11にはガッカリしていた次第である。 そこで、ミニレールへの走行対応のため、従台車を回転かつ揺動可能に動けるようにドローバを工作したのである。

 このC11型モデルがミニレールを走行出来ない理由は従台車の構造が原因である。 下の写真は、手を加えていないC11-155号機の写真であるが、従台車の旋回中心はネジの部分である。 この旋回中心を軸に従台車が回転したとしても、従台車の車輪は横スライド量が少なくて、レールの曲率に対応出来ないのである。

 そこで、従台車の旋回運動をもっと自由にするために、下右の写真に示すようにドローバを作り、台車の中心で回転出来るようにした。 左はC11-155号機の台車で、右がC11-227号機の台車である。 これによって、台車は横運動と回転運動が自由となり、140mm のミニレールも問題無く走行出来るようになった。

 でも、幾つか問題が発生した。 まず、ネジ止めしたネジの頭が特殊形状の左右の集電板に振れ、たびたびシュートするのである。 そこでネジの頭にセロテープを貼って絶縁した。 また、台車があまりにも自由に動くので集電板の端から外れ、線路に乗せるまでに正常位置を保持する必要であった。 チョット油断すると引っかかってしまうのである。 このため、回転中心の位置を急遽変更し、ドローバの中央辺りに変更して、台車の運動量を制限したのである。 右の写真を参照。

 このようにドローバ自作により、ミニレイアウト走行可能となったが、曲線走行時の車体後部のはみ出しが大きく、レイアウトの車両限界を大きくする必要があり、折角のミニレイアウトをあちこち修正する必要があった。 このため、この工作の効果は半減してしまっているので、あまりお勧め出来ない工作例となってしまった。

                                                                                 ( 2013.7.14 分解調査  7.17 追記 )

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、自動測定システムを使用して実施する。 測定実施日: 2013/3/30

 

暖機運転:

 暖機運転を実施するも、測定せず。 

 

速度特性:

 KATOの標準的なSLシリーズの一つで、スケール速度の80Km/h を出すのに 4.5 Volt 程度で一般的である。

 電流は、80 〜 130 mA で一般的である。 また、速度や電流のバラツキはまあまあか。

 なお、測定は前進時のみ実施し、LED 式のヘッドランプが点灯している状態である。

 

牽引力特性:

 小型車両とは言え、粘着牽引力は10 グラム程度でやや少ないと言えよう。 これは、マイクルのC12 と比較しても小さいので、動輪への重量配分が最適ではない様に思われる。

 牽引力特性は、一部分に二重の線図を示しているが、これは電源電圧の変化によるものと思われる。 コントローラには手を触れていないものの、何故か変化しているようである。 電流値は安定したデータを示している。

 

 

 

 

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 また、この測定中の電流と電圧の関係を右のグラフに示す。 電流増加による電圧変化は、少ないものの、コントローラの電源電圧の変動が有る様である。

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 この機関車の牽引力特性は、0 から 10 グラムへの負荷増加に対して、速度は 50Km/h 程度も変化している。 これは、同じシリーズの再生産品であるC11-155 号機と大きく異なる特性である。 この勾配は、モータ特性とギヤ比、動輪径で決まってくるので、何か仕様が変更されている可能性が有りそうだ。

 また、ギヤの作動形態が変化する遷移点も大きくなっている( -4 から -6 グラムに)ので、この車両の駆動系の摩擦が何処かで大きくなっている、即ちこじれている可能性がある。 これは整備不良による(・・・・・・・・・自己反省!)個体差の様だ。 でもそれを整備する腕が有りませんが・・・・・・・。

 下に示す以前のデータよりも速度が落ちているので、いろいろ分解組付けでいじくり回した結果ではないだろうか。

          ( 2013.3.31追記 )

 ********( 以下は 2011/2/14 更新のもの) ********

 

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
 スケール速度80Km/hは、4.0volt近辺である。1volt当たり 30 Km/hの増加で、大きい部類である。 走行開始点は、2.0voltを超えるあたりから動き出す。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ10グラム前後であり、SLとしてはかなり小さい。 ミニレイアウト用としては使用できるが、曲線走行時の車体のはみ出しも大きく、牽引力もさして大きくないので、わがミニレイアウトでの出番は少ない。