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中型蒸気機関車:   C50 78

 

実車プロフィール

 「大正の名機」8620(国産初の標準形旅客機関車)を引き継いで、昭和の初めに作られた中形のテンダー式蒸気機関車です。9600などよりひと回り大きな動輪はスピード感があり、当初は準幹線の旅客列車などに活躍したが、その後支線の旅客用機関車として使われ、晩年は入換用などで都市近郊にも配置され、鉄道ファンに親しまれました。オハ31系客車とよく似合います。

 C50 78号機は、1929年に川崎重工兵庫工場で製造され、高崎、小山、桐生で活躍後、1958年に廃車される。

模型プロフィール

メーカー : KATO
製品名 : C50
品番  : 201  C50二代目リニューアル品
車両番号: C50 78
発売日 : 1981年
入手日 :2009年5月7日 中古品入手
定価 : \6.000.-

分解調査

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● スポークの無い先輪、細いリード線、つかみ棒無しの形態より、歴史あるKATOの C50 の二代目リニューアル品です。 (ホームページ「Nゲージ蒸気機関車」を参考にして判定する。) この車両は、自分が所有しているカトーのSLの中では一番古い構造の車両であるので、しっかりと観察しておこう。

● C50-142の様に、ドローバの加工をしなくても半径140mmの曲線を走行出来ています。 製品のバラツキを思い知らされた製品の一つです。
●カプラーの交換:アーノルドカプラーからカトーカプラーNに交換する。
●ミニレイアウト走行可能。 ミニポイントやクロス、および、R140mmの曲線でもなんとか走行しているが、状態によっては脱線する場合がある。

連結面間距離 123.6 mm 車体全重量 73.5 gf 動輪車軸荷重 53.0 gf
    先輪車軸荷重 1.9 gf テンダー車軸荷重 18.6 gf

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● このモデルは、二代目リニューアル品の特徴を示しており、一番悩ませたのはモータへの細いリード線である。 左の写真のように、分解途中で、容易にハンダ付け部が切れてしまうのである。 ハンダが取れるのではなくて、線が屈曲によってすぐに折れてしまうのである。 このため、今回の分解後に、太い線に交換した。

● ドローバーの連結は、スナップ式になっており、組付けは楽ではあるが、分解時には折ってしまわないかとハラハラしながら作業している状態である。

● 左右のフレームのネジ止めは、前方は横から、後方は下から実施するという変わった構造をしている。

● テンダー車での集電は、後ろの2軸で実施している。

 

 

 

● 動力部の構造を右のイラストに示す。 ウォームとホイールギャ、アイドラギャ、および動輪のギャの4点で構成され、至ってシンプルな構造である。 動輪を一回転させるには、動輪ギャの歯数が 28 枚なので、ギャの歯を28枚送る必要がある。 このため、ウォーム軸は28回転必要なので、ギャ比は i = 28 となる。

● モータは、左右のフレームの小さな溝とモータ端部の押さえで保持するのであるが、その保持力は弱く、ウォームは容易にねじれてしまう。 これで大丈夫だろうかと心配になるほど、不確実な固定方法である。

● アイドラギャの中心位置が動輪の軸と殆んど一直線になっており、バックラッシュの確保などには有利であるが、組付け時にはテクニックが必要となってくる。 一般に最初の組付け以外は、上の写真のように、動輪のリンク系をASSY状態にして分解・組付けを実施すると思うが、この状態でフレームに組付けようとすると、第2動輪と第3動輪の角度位置(位相)がリンク側で決まっているので、アイドラギャと合わなくなってしまう。 歯の噛合いがズレてしまうのである。 一度、連結ロッドのピンを外して動輪を組み込み、その後ピンを組付ければ済むことですが、分解・組付け毎にこれを実施するのは、面倒であり、ガタなどが発生する心配もある。

● 改良された構造のものは、アイドラギャの位置が高い位置にあり、動輪のASSYを下からはめ込めば、ギャは自然と噛合う構造となっていますのでこのような問題は解消されている。 いろいろトライした結果、次の様な方法で実施すれば組付出来るようになった。

● まず第3動輪を軸受にはめ込み、リンク位置を前方に持ってくる。 そして、第3動輪を指で押さえた状態で、第2動輪を回転させると第2動輪の軸芯が前後に移動するので、この第2動輪の回転を利用して軸芯を移動させながら軸受けにはめ込みむのである。 リンクとギャの位相が合えばぴたりと組込まれるはずである。 第1動輪はリンク連結だけなので、容易に組込む事が出来る。

● 最後に切れた細いリードを交換する作業を実施した。 やや太くしたリード線の端部を小さな銅板の切れ端にハンダ付けし、銅板を接触部の隙間にはめ込む様に細工し、分解組付けを容易にできるようにした。

● C50の初代の車両を所有していないので、どのような構造なのか不明であるが、この二代目リニューアル品は初期のカトー製SLの構造を知るサンプル品として、大切にしておこう。 (以上の分解組付けは、2013.6.21に実施する)

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、自動測定システムを使用して実施する。 測定実施日: 2013/5/19

 

暖機運転:

 動力特性を測定する前に暖機運転を実施するも、運転中の測定は実施せず。

 

速度特性:

 スケール速度の80Km/h を出すには、 3.5 Volt 必要であり、一般的なNゲージと言える。

 電流は、100 〜 150 mA でやや大きいほうである。 特性はバラツキがみられるものの、走行は安定しているようである。

 

牽引力特性:

 動輪荷重が約53グラムで、トラクションタイヤを第3動輪にはいている。 粘着領域での牽引力は約17〜20グラムであり、SLとしては充分な牽引力を有している車両と言えよう。 

 牽引力特性は、バラツキが見られるが、電源も不安定なのでその影響もあるようである。 コントローラは触っていないのに・・・・・・・・・。  電流と牽引力の関係は、意外とバラツキが少ない。 ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は- 8グラム前後で通常の値のようである。 この制動領域は典型的な垂直パターンを示しており、動力伝達部が、構造的に無理のない機構ではないかと思われる。

 また、牽引力/速度の勾配が大きく、負荷によるスピードダウンが大きいようである。

 

 また、この測定中の電流と電圧の関係を右のグラフに示す。 電圧変化は、1.0ボルト以下であった。6Volt設定での測定中に、ドリフトが有った様であり、途中から電圧が下がってしまっている。 もっと安定した電源を探す必要がある様である。

 

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 このC50-78号機は、マイクロの8600機と同様には、牽引力/速度の勾配が大きい。 5ボルト前後の場合、-20〜+20グラムの負荷変化に対して、50 〜 160Km/h の速度変化が見られる。 これは、ゆっくりと坂道を登る力強い機関車と見る事ができるし、また、重連し易い機関車と思われる。

 また、粘着領域の牽引力は、4〜6ボルトでもほぼ同じ値を示しており、安定した粘着力を発揮している。

 ***** ( 以下は 2011.2.14 更新のもの) *********

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
 スケール速度80Km/hは、電圧でみると、3.5volt近辺である。 速度係数は、1volt当たりで 32Km/hの増加で、MICRO製のC50と良く似ている。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ20であり、SLとしては一般的である。 ミニレイアウト用としては充分な力を持っている。