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大型蒸気機関車:   C55 62

 

実車プロフィール

 昭和10〜12年(1935〜1937)に62両が製造され、全国各地で活躍した急行旅客用蒸気機関車です。 このC55は近代的な旅客用蒸気機関車の草分け的な存在で、水かき状の補強が付いた大きなスポーク動輪と細身のボイラーの組み合わせが優美です。 それまでは、2つに分かれていたボイラー上のドームを一体化したことを始め、国鉄の蒸気機関車の形態を確立しました。 この機関車は、SL晩年期まで使われ、今だに高い人気があります。

 C55 62号機は、1937年に汽車製造大阪工で製造され、C55の最後のSLとなる。梅小路、福知山、豊岡で活躍し、1966年に廃車となる。

模型プロフィール

メーカー : KATO
製品名 : C55
品番  : 2011
車両番号: C55 62
発売日 : 1997年
入手日 :2010年1月 中古品購入
定価 : \9030.-

分解調査

 

● このC55形は、1983年に発売されたC57(品番:2007)をもとに、1997年に新しく設定されたシリーズである。

● 車輪の向う側が見える水かき状補強付スポーク動輪や汽笛、蒸気放熱管などのディテール、独特のドーム形状や美しい車体プロポーションなど、C55の特徴を表現している。

● 麦球式ヘッドライト装着。
●  アーノルドカプラーからかもめナックルカプラーに交換するも、現在はKDカプラーに交換している。
● ミニレイアウト走行不可。

連結面間距離  151.5 mm 先輪車軸荷重
2.1 gf
動輪車軸荷重
55.2 gf
ギャ比 i = 27.79
車体全重量   89.7 gf 従輪車軸荷重
10.1 gf
テンダー車軸荷重
22.3 gf
動輪直径 D = φ12.0mm

● ボディを外した状態と、先台車、従台車とテンダーを取り去った状態を上の写真に示す。 さらに、動輪ユニットを外した状態とフレーム単品を下にしめす。 フレームに刻まれた刻印は7007Lで、品番と左右を示すRとLと解釈される。 品番の7007は、1983年に発売されたC57の品番であり、フレームは共通使用されている事を示している。

● この製品のASSY一覧表(1997印刷)を見ると、ボディ、テンダー、動力ユニットは新しい品番2011が付与されているので、新しく構成されたものと判断されるが、先台車、従台車ロッドセットなどは、2007の品番のままであるため、C57と共通使用である。テンダー台車は2006であるため、D51のものである。

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● モータ軸とウォーム軸は、上の写真に示す様に、ジョイントを介して連結している。 ウォーム軸は両側を軸受で支持されている。

● 先台車は、その中心に設けられたピンとフレームのピンとをリンクで連結する構成である。

● 動力機構は、ウォームと動輪のギヤの間を、ウォームホイールと一体となった2段ギヤで連結するシンプルな構成である。

● 動輪は、第2と第3動輪がギヤ駆動され、第1動輪はロッドにて駆動されている。 トラクションタイヤは第3動輪に履いている。

● 動輪を1回転させるために必要なモータ回転数、即ち減速ギヤ比は、

 ギヤ比  i = 24×22/19 = 27.79

である。

        ( 2013.6.29  分解調査実施 )

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。

 測定実施日: 2013/7/8

 

速度特性:

 分解調査後に、測定した時のデータは、右のグラフの「組付け不良品」のデータである。 電流値が大きいようだし、低速での動きが「ギクシャク」していた。 良く観察すると、動輪の一回転毎に引っかかるように回転で遅くなっていた。 これは、ロッド類の組付け不良と判断し、動輪回りをチェックすることにした。第3動輪のクランクピンを外して、動輪の穴とロッドの穴を観察すると、どうもギヤの歯の1枚分ズレているようである。 そこで、第3動輪だけ浮かして、ギヤの噛合いをズレして再組付けを実施する。 その後の測定データを「正常品」として、グラフに表示する。 電流値は30mA 近くも低下し、さらに低速でもスムースに走行するので、正常状態と判断した。

 今後の分解組付け時の要注意ポイントである。

 

◆ 再組付け後の測定データ

 スケール速度の80Km/h を出すには、 4Volt 弱必要であり、一般的なNゲージと言える。 電流は、80〜 140 mA である。 特性は意外とバラツキがあるものの、走行は安定している。

 速度と電圧のパターンは、線形ではなくて、すこしうねっている様なパターンとなっている。 電流と電圧のパターンも少し上に凸のパターンである。 これは、動力伝達部の摩擦が、速度項にたいして非線形ではないかと推察するがモータ特性との絡みで分析してみないと何とも言えない。

 

牽引力特性:

 動輪荷重が約55グラムで、トラクションタイヤを第3動輪にはいている。 粘着領域での牽引力は約18グラムであり、SLとしては普通と言えよう。

 また、駆動領域側の粘着領域は明確であり、15グラム辺りから滑り始めている様である。 電流と牽引力の関係は、綺麗に揃っている。

 制動側において、ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は - 8 グラム前後であり、その前後での牽引力/車速勾配に明確な変化が見られないパターンである。 また、制動側の粘着領域は、-20グラム付近から滑りはじめているようである。

 このような綺麗に揃っている牽引力特性線図は珍しく、それだけ安定した性能を発揮していると言うことか

 *********** (以下は 2011.2.11更新時のもの) ****************

 

速度特性:

 動力車の速度特性を測定する。 速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。 速度係数が34 Km/h/Volt と高く、 通常の電源ユニットをフルスロットさせると新幹線並みのスピードが出てしまう。 古い設計仕様のものか。

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性を測定する。 牽引力の粘着限界はおよそ25グラムである。