HOME >> 鉄道模型実験室 > C58-127号機の再測定

鉄道模型実験室 No.179  C58-127号機の再測定

 先回は、新しい測定装置について、今までの測定データと比較しながらどこまで改善されたのかテスト測定を実施したのですが、装置の差異なのか、測定モデルの状態の変化なのか判断が付かないままの結論になってしまいました。 このため、問題となったC58-127号機を分解掃除して再測定を実施した。

 

  .

■ 分解掃除の実施

 C58-127号機の不調は、動力機構のコジレか油切れを想定して、分解を実施した様子を右に示す。 破損や異物の噛み込みなどは見受けられなかった。 そこで、モータとウォームギヤの状態で、消費電流を測定した。

 測定のための道具は以前より使用している下に示す道具である。 「走行中の電流を測る」(2010/5/26)で作った道具に少し手を加えているが、この様な時には有用である。

 まず、8voltでの電流は200mA近くもあったので、オイルを注油した。 すると145mA 程度に低下し、リンク系を組付けると150mA程度であった。 これでも少し大きいので、モータのブラシ部をねらってクリーニング液をたっぷり注いでモータを回した。 本当は良くない行為であるが、モータのクリーニングとしてたびたび実施している。 モータを回転させると黒くなった液が零れ落ちると共に、電流は120mA まで低下した。 しばらく回転させたのち、再びオイルを注油すると130mA程度に落ち着いた。 クリーニング液でオイルまで流れてしまう恐れがあったからである。 なお、麦球式前照灯は装着したままの状態で測定している。

 車両は1991年製の古いものであるので、再組付けには少々苦労したが無事に完了でき、作動は異常無いと判断して再測定を実施した。

 

■ 重り車両の追加

  先回のデータより重り車両の重量が不足していることが分かったので、新たな重り車両を工作した。 オーディオ機器に使用する鉛板を使て鉄コレ用シャシーに積層しました。 目標は150グラムです。 出来上がりは 153.7 グラムで、走行抵抗は 1.1グラムでした。

 出来上がってから試運転した時、間に光ビームをカットする専用台車を連結したのですが、下り坂に於いて、後ろから重り車両に押されて専用台車が脱線するケースが頻発しまいた。 牽引状態では引っ張られるので問題無いのですが、制動状態では車両が座屈して脱線してしまうのです。

 このため、ビームカッタを新しく作った重り車両に取り付ける事にしました。 その様子を下に示す。 使用した板は昔廃棄した3.5インチのフロッピーディスクの部品で、廃棄時に、金属とプラスチックを分別した時の残り部品です。 

 また、今回の測定装置でセンシング出来る最大傾斜角は、 sinθが 0.1215 までです。 これはオペアンプの設定限界です。 「傾斜台の傾斜角測定ユニットの較正」(2020/10/2)参照。 つまり、牽引力が 30 グラムを超える場合、即ち 35 グラムまで測定可能にするためには、測定車自身と重り車両の合計が、35/0.1215=288 グラムの重さが必要です。 今回の C58-127号車は 81.9グラムの自重ですので、288−81.9 = 206 グラムの重り車両が必要となります。 新しく作った重り車両でも不足しますので、重り車両を2両連結して測定することにしました。

 

■ C58-127号機の再測定

 この車両は、今までの測定データより、データが綺麗に取れた車両であったので今回の比較測定に使用した。 以前の測定データは、「C58 127」(2013/6/26)に示す。

 測定実施: 2020/10/8    重り車両:2両連結する。  153.7(1.1)+65.3(0.7) グラム  ()内は走行抵抗です。

 測定結果を下に示す。
  新しい測定方法での再測定 以前の測定方法  
速度特性

バラツキは小さく安定した走りであった。

以前のデータより少し速めである。

慣らし運転が不足していたのかバラツキが出てしまったが、以後はラインに乗っている。

以前のデータより全体的に高めである。

牽引力特性

一部バラツキがあるものの、以前ンと同じように綺麗なデータと取れた。

やはり、牽引力値は大きく出ている。

データは綺麗に揃っているが、消費電流は以前より高めである。

設定電圧による消費電流の差が広がっている。

 先日のデータより格段に向上している。 これは車両のメンテナンスの効果と言えるが、以前とのデータは少し異なっている。 ホビーで実施しているので細かい点は目をつぶるとしても、牽引力の測定値の違いは、やはり気になります。

 牽引力は車両の重量傾斜角から計算している。 重量測定は以前と同じ計器を使用しており、数値も同じであるので、疑いは傾斜角の測定値の違いである。 昔の装置は分解してしまったので、どちらが悪いのか今となっては検証できなくなっている。 どちらもしっかりと較正したつもりであるのだが・・・・・・・・・・・・。 スマホによる測定値とも比較しているで、今回の較正値のほうが信頼性は高いと考えているのだが・・・・・・・・・・・。

 

■ まとめ

 車両の分解掃除によるメンテナンスは、確実に効果が出ている。 改めてメンテナンスの大切さを認識した。 また、新しい測定装置も問題無い事が分かったが、ただ傾斜角のより正確な較正が必要なのだろうかと迷っている。

 

ページトップへ戻る  .


 2020/10/9 作成