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鉄道模型実験室 No.204  逆向き点灯の防止 予備実験

 逆向き点灯の防止対策を検討しています。 スパイク電圧の測定実験について報告する予定でしたが、その前に、最初に実施した予備実験を記録しておきます。

 

■ 予備実験

 逆向き点灯の状態を把握するため、次のような予備実験を実施しました。

 

● 実験装置

 実験装置は鉄コレの動力車を使用し、前照灯と尾灯の回路をブレッドボード上で構成した。 そして電源としてTOMIXのパワーユニットを接続し、回路の状態をオシロで観察しました。

 パワーユニットはPWM制御方式のN-1001CL と、通常方式のN-401を使用しました。 電源遮断時のパルス波形を観察するためには、電圧がダウンする時点を波形測定のトリガとして設定する必要があります。 しかし、常時パルス状態であるPWM制御方式の場合はこうした設定が出来ないので、通常方式のパワーユニットを使用しました。 スパイク時の波形状態を観察したいのですが、このトリガ設定方式ではPWM制御状態と電源遮断時との区別がつかないのです。

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 スナバ回路の構成は、ブレッドボード上に抵抗やコンデンサを設置して実験しました。 使用した抵抗やコンデンサを右に示します。

 抵抗は、手持ちの物の中から発熱を考慮して 1/4W の仕様のものを使いました。 なお、12Ωのものは、「12m級のEF58の製作」(2010/7/3 )で使用した12Ω×1W のストック品ですし、 中央の一本線の入ったものは、何かの電子キットに入っていた抵抗値がゼロのジャンパー線です。

 コンデンサに関しては、電極の極性が変わるので、このスナバ回路では電解コンデンサは使えないのです。 そこで、他の種類のコンデンサを集めて実験しました。 セラミックコンデンサ、マイラコンデンサですが、セラミックのチップコンデンサも有ります。

 

● スパイク電流の観察

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 一定電圧を印加した状態で、ブレッドボード上のジャンパー線を引き抜く方法で回路の瞬断状態をつくって、その後の電圧の変化状態を観察しました。

 その時の波形は、先々回報告した通りです。 実験結果としてスパイク電圧の測定値を左に示します。 マイナス側に大きく振れた場合は、LEDが点灯するのでNGとしました。

 スパイク電圧の低減にはコンデンサの容量の大きい方が良さそうだが、抵抗は大きいとその効果がないようです。

 

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● パルスの平均電圧の観察

 今度は、20KHz のパルス波を使って、パルスの平均電圧の変化を観察しました。 スナバ回路のコンデンサによってパルス波形が鈍ってしまい、その平均電圧が上昇します。 これは、並列で接続されているモータが暴走することを意味しており、低速制御のためのPWM制御の効果を打ち消してしまいます。

 測定は、オシロの平均電圧測定値を読み取って行きます。 この時のパルスのデューティ比を30%に設定しています。 測定結果を右に示します。 抵抗が小さいとPWM波形が乱れ、モータは暴走する事が分かります。 実験していても、モータがうなり始めるが分かります。 100Ωの場合は微妙ですが、どの程度許されるかが判断基準となります。

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● まとめ

 スパイク電圧の防止に効果があっても、即ち、いくら逆向き点灯が防止できたとしても、PWM制御によって車両が暴走しては本末転倒です。 そこで、まず、PWM制御に影響を与えない範囲を把握しておく必要があるようです。

 また、コンデンサは、例の直流電圧印加特性という項目 (右のDCバイアス特性のこと、「改良型室内灯ユニットは失敗作なり」(2020/7/27)を参照下さい。)の影響があるので、使用する時のことを考えて同じ種類のコンデンサで実験する必要があります。 逆向き点灯防止ではチップコンデンサを使いたいので、このセラミックコンデンサの使用で統一することにします。

 

■ チップコンデンサを使った実験道具

 使用するコンデンサをセラミックタイプに統一するため、専用の実験装置を工作しました。 チップコンデンサは基板にハンダ付けして置き、ジャンパー線を使って選択するようにしました。 選択方法は、DIPスイッチを考えましたが、25mA以下という電流制限を心配し、16ピンのICソケットを使うことにしました。

 また、実際の車両に搭載して機能を確認出来るようにと、コンパクトに収めることにしました。 手持ちのチップコンデンサは、0.1μF、1.0μF、10μF、22μFの4種類だけでしたので、他の種類でも実験出来るように、フリーのポートを設けています。 抵抗用のポートは、2種類の抵抗w並列の接続して、中間的な値も設定できるようにと、ポートを2ヶ所設けました。

 抵抗、コンデンサとジャンパー線をセットした状態を下に示します。 基板の周りは、絶縁と安全のためにマスティングテープを貼って保護しています。

 工作後に、コンデンサの容量をテスターで測定しましたが、殆んど呼称値と変わりませんでした。 抵抗に表示されている模様については未だに覚えられませんので、装着前にテスターで確認しながら実施しています。

 

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 2022/4/9  作成