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直流電気機関車:   EF58 60 お召予備機

 

実車プロフィール

 EF58 60号機は昭和28年(1953)7月、僚機61号機とともに発注段階からお召列車専用機関車としての指定を受けて誕生した機関車である。 車体は「ため色」と呼ばれる深紅色に塗装され、ステンレス製の飾り帯、無塗装・磨き出しの下回りとされ、美しい外観を誇っていた。 お召列車牽引は本務61号機、予備60号機と役割が別れ、60号機は後にお召指定も解除されて一般機となり数々の改造を受けたが、独自の塗色と装飾を維持し続けて浜松機関区のエースとして活躍を続けた。
 昭和54年(1979)愛知植樹祭に運転されたお召列車で予備機を務めたのが60号機の最後の花道となり、4年後の昭和58年(1983)に多くのファンに惜しまれながら引退した。

模型プロフィール

メーカー : KATO
商品名 : EF58 60 お召予備機
品番: 3050
車両番号: EF58 60
スケール : Nゲージ、1/150
発売日 :  2004年12月下旬
入手日 : 2010年2月25日 新品購入
定価 :  \6,825.-

分解調査

● ヘッドライト 点灯

● フライホイール搭載動力ユニット採用

● カプラーの交換: アーノルドカプラーからマグネマティックカプラーに交換する。 現在は、前方のみカトーカプラーNに交換している。

連結面間距離
 144.0 mm
車体重量
127 グラム
ギヤ比
 i = 21.53
動輪直径
D = φ8.4mm

 

● このモデルの台車は、特徴的な構成になっている。 先台車部分は台車のフレームとピポット結合されており、首振り可能になっている。 また、実車では動力台車に動輪が3軸有るのであるが、この模型モデルは2軸しかない。 中央寄りの1軸は動力無しの車輪となっている。

 また、軸受部は、集電子と兼ねるピポット軸受部が3軸が一体となっているため、線路の凹凸によっては、どれかの動輪が浮いてしまう恐れがある。 イコライザー機能は無いのである。 このような構造の最新モデルでは、「EF15 79 号機」の例のように、中間部の軸をバネ作用で支持し、模擬的なイコライザー構造にしてこの問題を改善しようとしている。

●全部品の分解状況を下に示す。

 フレーム構造はKATOの「第3期フライホイール型のモデル」で採用されている一体構造である。 ライトユニットもチップ化される前の砲弾形LEDを採用している。

 モータとウォーム軸との間には、何とか押し込んだ感じのジョイントによって連結されていた。

 ウォームはφ5.0mm のモジュール m = 0.4 一条ネジで、ホイールギヤはZ = 19、同軸の小ギャはZ = 15 の2段ギヤになっており、動輪軸のギヤは Z = 17 であったので、ギヤ比は i = 19×17/15 = 21.53 であった。 また、動輪の直径は D = φ8.4mm であった。

( 2016年2月20日 調査 )   

 

関連報告

◆ KATO製 EF58-60号機の動力特性の解析 (2018/9/1)
KATO製 EF58-60号機の動力特性の測定データをもとにして、「抗力係数に注目して解析する」にて報告した方法で解析した結果を報告する。

 

動力特性

 今回の測定は、有線通信方式による動力特性測定システムによって測定した。 測定実施日:2016年2月21日

 測定時の車両重量: 127.1グラム  ・・・・・・・・・・・測定のために車体を取り外したが、その分の重量7.7グラム分を重りで補完し、製品重量と合わせた。
 重り車両の重量: 126.4グラム (走行抵抗は1.0グラム)

 電圧測定端子と回転センサの取り付け状態を上に示す。 右の写真は、回転センサを取り外した状態を示すが、黒い四角の物体がセンサ素子であり、また、フライホイールにしるしたマーキングをライトユニットの窓から覗く事が出来る。 また、センサを取り付ける時、取り付け高さを調整するため、発泡シートを座布団のように敷き、両面テープで張り付けている。

● 速度特性

 平坦路の単機走行による速度特性を下に示す。 バラツキの少ないデータを示しているが、これは性能が安定しているモデルという事が言えるであろう。

 少し古いモデルなので、電圧に対する車速の設定は、やや高めの設定になっている。 このモデルでスケール速度が 200Km/h は必要無いと思われる。

● 牽引力特性

 重り車両を牽引した状態で傾斜路を走行させ牽引力特性を測定する。 速度特性よりバラツキが大きくなったように感じられる。

 線路からモータまでの電圧降下量が 0.3〜0.9 ボルトと大きく変化し、そのバラツキも大きい。 これは、供給電圧の値からするとその割合が大きく、電圧降下の不安定さがそのまま速度のバラツキに現れているような気がする。 また、電圧降下量は牽引力が大きくなると低下する傘型のパターンであるが、ピポット軸受部で集電する方式の特徴ではないかと考えている。

 しかし、このような特性のバラツキは、見た目には気が付かないので、走行を楽しむ鉄道模型には問題ないと考えるべきであろう。

   ・・・・・・・・・・ だったら、何のためにこのような面倒な測定を実施しているの? ・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・・・・・・・・・ そこはただ単に、ホビーとして楽しんでいるのである ・・・・・・・

             ・・・・・・・・・・・・・・  皆がやっていないことを実施して、新しい知見を発見した時の喜びは、本人にしか解らないかも? ・・・・・・・・・・

 スリップ率に関する特性は、最近には珍しく綺麗なパターンを得ることが出来た。 このようなデータを得られると、嬉しくなりますね。 重量の割に牽引力が少なく、その重量に対する牽引力の割合を示す摩擦係数が小さいのは、動輪の構造によるものと思われる。 

 

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● 出力と効率

 上記の牽引力測定データを基にして、右に示す様に、出力と効率のグラフを追加する。 2016/11/28

 


        ( 以下の記述は、 2010.11.22 作成 2011.8.23 追加修正したものである  )

 

速度特性:

  動力車の速度特性として、速度・電圧特性と電流・電圧特性を右に示す。
  前進と後退は、少しズレてはいるが、構造上から考えてもほぼ同じ特性と判断される。スケール速度 80Km/h は、電圧でみると、3.5 volt 近辺である。 1volt を超えるあたりから動き出し、低速走行も安定している。 ゆっくりと走る姿は、貫禄充分である。

 

牽引力特性:

 動力車の牽引力特性として、電圧 4.0 volt での牽引力・車速特性と牽引力・電圧特性を右に示す。 重量もしっかりあるため、牽引力は 35 gr 以上ありそうである。 また、負荷に対しての速度低下は意外に大きく、上り坂でのスピードダウンは大きいと思われるが、一方では重連には対応しやすい特性を有している。

 制動側での測定は安定を欠き、測定に苦労する。 制動状態の中間部は、円盤の回転速度と車両の走行速度のバランスが安定せず、データが取り難かった。 レイアウト上での走行は何ら異常は見当たらないので、 測定方法の改良を要す。

 消費電流は、 200 mA 前後あり、動力車両としては大き部類に入る。

 
     

 

◆ 傾斜法による測定結果

 制動領域での不安定な測定状態を改善するために、回転円盤を使用するのではなく、固定された傾斜台を使用した方法で測定してみた。 測定方法の詳細は「傾斜台式測定法」を参照下さい。

 測定速度について、円盤の回転速度の制約がないためおよそ 250Km/h のスケール速度まで測定したが、速度特性は直線性を示している。 同様に電流特性も直線的である。 測定は直線路で計測しているので、こちらの方式の方がよりベターであるようである。

 牽引力については、連続的に測定出来たので、きれいなS字カーブを描いたデータを示している。 問題とした制動領域に於いても、安定してデータを取る事ができた。

 なお、この方式では、粘着領域での牽引力を測定出来ない。 なぜなら、車輪が空回りして車両が止まってしまうからである。 傾斜用のブロックは 10mm 毎に変化させたが、さらにこの上のブロックでは車輪が空転して坂を登れなかった。 グラフの値が上限と判断している。