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小型蒸気機関車:   2272 B6 機関車 空制化前モデル

 

実車プロフィール

 2120形とその同系機は、一時期の国鉄蒸気の主力となって活躍する。 明治後期から戦後まで、国鉄から私鉄まで各地で活躍した蒸気機関車です。 実機は200輌以上製造され、外見上多くのバリエーションがある。

 この車両のは、一部の私鉄において同系機が空制化されずに活躍してたので、この空制化前のモデルをイメージして、ストレート煙突、砂箱増設、自連・解放テコを装備した姿を模型化したモデルである。

模型プロフィール

メーカー : トーマモデルワークス
品名: B6 2120形 蒸気機関車〔空制化前〕キット #0452
車両番号: 2272
発売日 : 2013年5月
入手日 :2013年5月26日 新品購入
定価 : \22,890.-

● 真鍮製組立てキット  組立て: 2013年5月  

分解調査

 
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● 真鍮製組立てキットの組立て工作の状況は鉄道模型工作室の「トーマモデルの B6 2120形を組立てる」 を参照。

● 車両番号は、河合製B6で残っていた番号プレート(2272号)を拝借して取り付けている。 このため、2272号機の実際の車両と、この模型車両の形状は一致していません。

● カプラーはKDカプラーを装着。

● ヘッドライト等は未装着。

● 従輪の車軸は首振り機能が無い。 そして、車軸のスラスト移動量も少ないためミニレイアウトの走行はカーブで脱線するため不可。

● 140mm、 177 mm のカーブはNG、 245mm はOKである。 従輪部のフレーム幅を無理やり凹ますと、177 mm はOKとなるも、140mm はまだ脱線する。

● 主な諸元:

連結面間距離 75.5 mm ギャ比 i = 34
車体全重量 46.4 gf 動輪直径 D = φ8.2 mm

● 部品をサブ・アッシーまで分解した状態を下に示す。 動力部は車軸の分解が伴うため、これ以上の分解は止めにする。

● キャブ・ボイラー部を下に示す。 ハンダ作業はまだ未熟であり、曲がり歪みなどあちこちに散見する。

● 動力フレーム部。 モジュール 0.2 のギヤで、全軸ギヤ駆動となっている。 サイドロッドは、第2動輪と第3動輪がピン結合されているが、第1動輪とはピン穴が無く、勿論ピンも無しである。 クランク・ロッドは河合製のものを流用している。

● 次にダミーフレームです。 モータはネジで固定されているので分解できますが、いろいろ苦労しましたのでこのままです。 スライドバーも河合製です。

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● 何時もなら動力機構のイラストを掲載するのですが、動力フレーム部が分解できませんので、塗装前に撮影した動力部の写真で代用致します。

● トーマのホームページに依ると、

低速重視の高精度ギヤを採用。 モジュール0.2、ウオーム1段、全軸ギヤ駆動、減速比1:34です。 普通のNゲージ(※)よりもゆっくりと走らせることができます。 ※M0.3, 1:13などと比較した場合

とのことである。 モジュール0.3、減速比1:13 の普通のNゲージとはどの車両を示すのであろうか? m = 0.3 は多くのモデルで採用されているが、ギヤ比 i = 13 のモデルは思い当たら無い。 通常は20〜30 と思っているので小生の知らない領域のモデルを対象とされているようである。

****************  追記:  2015/2/20  *************

 ミニレイアウトの改造工事(雪景色工事)にて、走行させようとしたが、走行途中で止まってしまうなどのトラブルが発生した。 原因は、サイドロッドが他に干渉してロックしてしまうからである。 やはり、第1動輪との固定が無い事が要因と判断した。

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 そこで、クランク・ロッドと同様に、サイドロッドも河合製のものを流用しする事にしたが、幸いにも、3個のピン穴の位置がピッタリであったので容易に工作が可能であった。

 ただし、第1動輪のピンは、このトーマ用にはもともとから無いので、これも河合製の物を使用したが、動輪側の穴は、φ0.7 からφ0.9 に拡大する必要があった。 そして、第1動輪をロッド駆動としたため、ギヤ駆動との干渉を防止を考えて、第1動輪駆動用のアイドルギヤを撤去する事にした。 上左の写真。 しめしめとほくそ笑んで、走行させたが、ロックしてしまうのである。 原因はサイドロッドが車体にぶつかっていた。 そこで、車体を上右の写真の様に、干渉部分を削る事にした。

 ついでに、いつもモータとの通電調整を苦労していたので、エナメル線を使ったシャシーとハンダ付けする事にした。 分解時を考えて線に余裕を持たせている。 右の写真。

 この結果は、安定した走行をさせる事が出来た。

 

動力特性

 ここに示す動力特性の測定は、安定化電源を使用した自動測定システムにて実施する。

 測定実施日: 2013/10/15

 

速度特性:

 速度特性を右に示す。 なんと綺麗に揃ったデータではないか! このことは測定中も実感していたが、安定した走行特性を持っていることをデータとしても示しています。

 スケール速度の80Km/h を出すのに 5.5 Volt が必要であり、一般的なNゲージと比較して、やや遅めである。

 トーマさんがホームページにて述べられている 「普通のNゲージよりもゆっくりと走らせることができます。」 と合致しています。 そして、電圧による速度勾配も小さいく、特性としてはKATOのC56とは近い特性を示している。

 河合商会でもこのシリーズを出しているが、河合製は速度が非常に遅く、トーマ製と重連させるのは、無理と思われる。

 このトーマのモデルは、特性が非常に安定しており、KATOのC56と比較しても何ら劣るところが無い様です。 電流値も低く、低速でも安定して走行しています。 河合製とは雲泥の差が有りますね。

 

牽引力特性:

 この牽引力特性についても驚いてしまった。 これほど綺麗に揃ったデータはブラボーと言いたい。 正直言って、このようなキット製品の動力特性にはあまり期待していなかったが、考えを改めます。

 粘着牽引力は9グラム近くあるが、トラクションタイヤを履いていないためか、滑り出したら一気にスタックする様である。

 ウォームギヤに掛る力が逆転する遷移点は、- 2 グラム付近と非常に小さいので、効率の良い伝達構造と言えよう。

 また、制動領域でも駆動領域と同じ勾配で変化しているのは、ウォームに掛る力に無理がないと言えるのではないだろうか。

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 この機関車は、小振りながら低速でも安定した走行を示している。 そして、トラクションタイヤを履いていないのに充分な牽引力を発揮している。 このため、我がミニレイアウトにて是非走らせたいモデルであるが、構造上の制約により脱線してしまうことは非常に残念である。

 この秘められた動力特性を生かすべく、従輪の細工に知恵を絞ることにしよう。