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定置実験装置の駆動部の改良

■はじめに

 定置実験装置の円盤を駆動する駆動部と速度を計測するセンサー部については、その後も改良を進めていた。 特に速度計測については精度の信頼性に疑問を持ちつつ計測していたので、ゴム輪とプーりによる駆動から、歯車方式への駆動方法に変更した。 これらの改良内容を報告する。

 

■速度計測部の改良

 速度計測については、デジタル回転計を使用しているが、そのセンシング方法は、 鉄道模型工学概論の§2.4 定置実験装置の製作で記述しているように、円盤駆動用のホイールの外側にプーリーを取り付け、ゴム輪でセンサー用プーりを駆動するようにしていた。 センサー用プーりにはネオジウム磁石Φ5×1.5 を埋め込んである。 そして磁気検知センサーを取り付けてデジタル回転計に取りこんでいる。 このデジタル回転計は、飯塚氏の工作室売店(ネット通販)より「デジタル回転計キット」で購入し[KAITEN-KIT]を購入して組付けたものである。 

 回転数の指示値の変動が大きく、原因追究と改良を進めていた。 増速せずに、プーリー上の磁石の数を増やす事を実施したが、磁石の取り付け位置などの誤差によりかえってバラツキが増えてしまった。 そこで、このゴム輪によるプーリー増速装置が不安定と思われたので歯車使用による増速方法に変更する。

 駆動用のゴムタイヤに接触する小さなリングを入力軸として、タミヤの減速機(テクニクラフトシリーズNo.2)を増速装置として利用したものが下の写真である。 ベースには入力軸がゴムタイヤに常に押しつけられるようにスプリング付きの揺動台(右側の写真)など工夫し、なんとか使用する事が出来た。 (使用状態の写真は未撮影)

 

 

■HO用モータの使用

 タミヤのギヤードモータ 3633K75 は強力であるが、ラビットスタートである。 ゼロからのスタート時に、スムーズに回転してくれない。 希土類磁石を使用しているためだろうか。 ある程度電圧を上げないと回転を始めてくれないし、回転を始めたら猛スピードで回ってしまう。 このため、一度電圧を上げて回転を始めてから、電圧をさげて回転を落とし、低速状態の調整を実施している。 そこで、HOゲージ用のモータが使えないだろうかと考えた。 HOゲージは持っていないが、大きさから想像して力はありそうだし、鉄道模型で使用しているので低速スタートも出来そうと想像する。 電源ユニットも既存の鉄道模型用のものが使えるので滑らかな制御が出来ると思われる。 そして、モータ軸が両側に出ているものを使用すれば、一方を円盤を駆動する減速に接続し、他方を回転計測用に使用するも出来るとので、一石二鳥以上の効果を期待した。

 そこで、中古品を入手して、タミヤの減速装置(テクニクラフトシリーズNo.4)と組み合わせて円盤駆動部を作ってみた。 細工はうまく出来たと自信満々で装置に組み込んだ。 音も静かで速度計測も上々であったが、回転が安定しない。 どうやら力不足のようである。 ベニヤ製の円盤は少し波打っているので安定した回転を保つのが困難であった。

 

 

 上の写真にユニットの構成を示す。 円盤側を改良すれば使用可能かもしれないが、モータの力不足では安定な回転が確保できないので、残念であるが、このアイディアはボツとする事にした。 (使用状態の写真は未撮影)

 

■モータ減速部からの速度計測方法への改善

 やはり、タミヤのギヤードモータ 3633K75 を使う事にし、減速機部からセンサー用の回転が取り出せないか分解検討してみた。

 

   

 減速機構は、平歯車の3段減速であり、タミヤの減速装置(テクニクラフトシリーズ)のギヤとモジュールが一緒である事を発見。 Z = 40 の歯車を持ち出し、シャフトや円盤などプラスチック部品を切った貼ったの小細工で、回転計測用のアイドラシャフト機構を作り上げた。 ネオジウム磁石と磁気検知センサーによる回転計測は、今までの物を使用する。

 

 結果は上々で、音も小さくなり安定した測定が出来そうである。 ただ、回転は今までと同様に少し変動があり、これは、円盤の精度不足と推定している。 このため、回転計の1桁目は計測対象とする事をやめ、常に中央値の “5” とすることにし、テープで張り付けている。

 そして、回転部の安全保護装置として、ぶ厚いお菓子の箱を細工して保護カバーとした。 ネオジウム磁石が外れて飛んで来るようであれば、危険この上もないと思われる。 回転機器を扱うには、安全第一である。

  

 モータの減速部の壁を一部とはいえ切り取っているので、オイルの垂れを心配し、銀紙をペタペタと張り付けて木質部への浸み込み防止策としている。 効果は無いかも知れない。

 指示値の校正は、ストップウォッチで回転円盤が一回転する時間を測り、それをスケール速度に換算して右に示すようにグラフ化した。 今までと同様に直線性も完璧で、バラツキもほとんど無いので、信頼出来る速度計をして使用できると判断している。

 

■電圧計と電流計の接続方法の改良

 電圧計の接続方法も変更した。 今までは、電圧降下を心配し線路の近くで電圧計測する事を心掛けていたが、回転円盤の集電部の電気抵抗がほとんどゼロに近い(回転停止時ではあるが、我が測定器では計測できず) ことから、固定部の端部での電圧を測定することにした。 左の写真が回転円盤の集電部である。 

 さらに、電流計測の精度をあげるため、アナログ式のテスターを専用の電流計として使うことにした。 電流計測ではその振れが大きく、デジタル表示ではとても読めない。 このため、あえてアナログ式を採用した。 パワーユニットは、ストックとして保管していたKATOのパワーパックスタンダードS (22-012) を専用電源として使用する事にした。

 

 

■改良された定置実験装置のベース

 これらの改良が施された最近の測定台の様子を下の写真に示す。 黒色の物体は厚さ5mmのゴム板で、モータ音がベニヤ板に共鳴するので防音用に黒いテープで張り付けてある。 

 次の作業は、この測定台を傾けて、円盤式傾斜台方式による測定方法を実験しているので、整理出来次第報告する。