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スハ44系客車に室内灯を設置する

■ はじめに

 中古バラセットをもとに蒸気機関車に牽引させる架空の特急列車を編成しているが、中古バラセットには室内灯対応ではあるものの、KATOの古い構造の客車が多いので容易に室内灯を設置出来なった。 今回、各部品を手作りして夜行列車にとしても楽しめるように室内灯を装着したので、その工作過程を記録しておく。

 

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■ KATO製スハ44系客車の室内灯

 客車編成は、マイコレクションの 「旧形客車 スハ44系 特急列車」 に示す。 この内の7両はKATOの古い構造の客車である。 品番は、510〜513である。 

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 この車両の室内灯は、現在生産休止の品番が11-201の 室内灯セットが対応している。 そして、その取付構造は新しいタイプの車両とは異なっており、集電シューの形状も異なっているのである。 これらの新旧の互換性はないので、旧タイプ車両には旧タイプ室内灯用の集電シューを使用する必要がある。

 この古いタイプの室内灯は店頭での入手が困難なので、なんとか工作出来ないか検討する。 まず光源は、このスハ44系旧形客車には電球色の室内灯がマッチするので、12Volt対応の麦球を使用することにし、照明板はアクリル板から切出すものとするが、工作上で問題となるのは、集電シューAとB、および基板受け(左の写真に示されている黒色の部品)である。 集電シューの形状は台車の集電子と弾性的に接触させる必要があるので、写真のように切り込んだ形状になっている。 これを車両1台につき4個、即ち7台で合計28個も作る必要がある。 大変な作業だな・・・・・・・。

 また、基板受けも金属製で良ければ、薄板をS字形に折り曲げてハンダ付けすれば代用出来そうであるが、絶縁方法は?・・・・・・・。 プラスチック板から作るとすると・・・・・・・・これも大変な作業となりそうである。 やはり、純正品を購入しようかと思案のしどころである。 ネットで探すと、@ \ 310.- 7個で\ 2700.-  送料は・・・・・・・・・・・・・。

 台車については、幸いに集電子付きの台車をASSY部品にて入手して、既に交換されていたので、ピボット軸受による低摩擦走行が可能であった。  こちらは問題なしである。

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■ 手作り集電シューへの挑戦

 工作するのが楽しみなりと自分を鼓舞して、手作りへ挑戦することにした。

 まず、問題の集電シューである。 この古いタイプの室内灯を以前入手しており、その時の集電シュー(B形)の残りがあったのでこれをサンプルとし、寸法を計測した。 そして、東急ハンズで購入済みの0.1mm リン青銅板から、6.0×40.0mm の短冊を40枚切り出す。 サンプルのシューを一番上にしてこれらを重ねて、小型万力で挟みこみ、ヤスリを使って成形しようとするものである。 左の写真を参照。 しかし、ヤスリ掛けの時に万力の力ではズレてしまうことや万力が邪魔になってしまうことから、この方法では工作不可能であった。

 そこで、工作方法を変更する。 厚さ 1mm のアルミ板を同じサイズに切り出し、両側から挟みこみサンドイッチ状態にする事にした。 固定方法は、両端に 1.5mm の穴を開けてそこにφ1.5mm の真鍮線を通し、その両端をカシメてブロック状に固定した。 こうすれば、卓上万力に挟みこみ、体重を掛けながらヤスリでゴリゴリ削る事が出来る。 下左の写真に示す。

 まず上下の端部を寸法通りに仕上げ、中央部の切り込みは、金属用糸ノコを使用して切り込んで行った。 相手が固い金属であるため時間を掛けて加工したため、ジグザグ状となってしまったが、どうせ車体の中に埋もれてしまう部品なので、気にしないことにした。 リード状にバネ作用をしてくれれば合格品とするのだ!

 成形出来たブロックを分解し、集電シュー単品にしたのが下左の写真である。 大量生産成功である。 端部に余分な穴があいているものがあるが、最初の頃の失敗工作に依るもので、機能的には何ら影響はないのである。 車体に組込んでみた状態を下右の写真に示す。 端部を直角に曲げて有るのがAタイプで、180度折り曲げているのがBタイプである。 純正品は切断されているが、補強を兼ねて180度折り曲げにしている。 台車の集電子と接触するリード部分も正常に機能しているようだ。

■ ライトボックスの作成

 次にライトボックスを作ることにした。 ライトは、12volt 用の麦球を使用するので、そのまま銀紙で包んで照明板に張り付ければ良いのであるが、KATO製のように反射板を兼ねたボックスを作ることにする。 材料はアルミの薄板を使用するが、丁度下の写真のような部品がガラクタ箱にあったので使用することにした。 昔使用していた記録メディアのMOを廃却する時に、あまりに綺麗なので残して置いたものである。 厚紙で形状を作りそれに沿ってアルミ板を切り抜いて行った。

 折り曲げ用の切り込みを入れたものを下左に示す。 そして、その切りくずの処理に注意が必要である。 先が尖った切りくずをこのままにしておくと、足などで踏んでしまうと痛い目に会うのは明らかである。

 そこで、ガムテープを持ち出し、小さな切りくずを拾って行き、最後にはグルグル巻きにしてゴミ箱行きとした。 この処理は金属工作の安全対策である。

 次に、端部を折り曲げ形状を整える。 下左の写真。 そしてベニヤ板に両面テープを使って貼り付け、麦球を挟み、セロテープで固定しておく。 そして、ボックスと麦球の間にエポキシ樹脂を流して固定させる。 固まるまで、次の作業に取り掛かる。

■ 照明板の作成

 この作業は、以前の工作でも実施したものであるが、2mm のアクリル板を幅 9×115mm 程度にキリ抜く。 プラスチック用のカッターナイフで筋目をいれ、目の細かいノコギリで切り出した。 切り出したプラスチック片の長辺側面は、荒目のヤスリで削り、バリ取りと表面の荒らしを実施する。 この部分にライトの光があたると、綺麗に光るようにスリガラス状に仕上げるのである。 一方短辺側のライト側面をコンパウンド(仕上げ目)を付けて磨き、ライトの光が透過するように透明になるように仕上げる。

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■ 組付け作業

 部品が揃ったところで組付けに入る。 照明ユニットの組付け工程を右の写真に示す。 麦球の直径は3mm であるが、照明板の厚さは 2mm しかないのでその厚さの差を0.5mm のプラ板で調整する。 まず、照明板の端に両面テープで0.5mm のプラ板を両面に貼り付ける。 そして、ライトボックスに中に、これも両面テープを使って貼り付ける。 その上側にも 0.5mm のプラ板を貼り付け回りをハサミで切り取る。 その後、これらの接続部の回りを銀紙(台所用流し台に使うアルミテープ)を使ってグルグル巻きにして照明板とライトボックスを固定して照明ユニットの完成である。

 このユニットを車体に取り付けた状態を下左に示す。 麦球のリード線を適切な長さに切り取り、Aタイプ集電シューの端部にハンダ付けする。 下左の写真。 ここで、車体を線路上に置いて通電させ、ライトの点灯を確認する。

 屋根裏に銀紙を貼ると後は最終組付けである。 照明板を車体の広い方の隙間を通して挿入し、シャシーと車体を組付け、最後に屋根を被せて完成である。

■ 完成状態

 編成を構成する全ての車両に組付けて、ライアウト上に並べたのが下の写真である。 室内灯は、ほのかにひかり、旧客車らしい雰囲気が出ている。 車両によって明るさが少しばらついているが、麦球の明るさのバラツキではなくて、回路抵抗の差ではないか考えている。 集電シューの表面を磨き忘れているし、台車の集電子の掃除も実施していないので、これらの整備が必要のようである。

 取りあえず、点灯を確認出来たので、今回の工作は成功したと判断しよう。