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チップLED式の街路灯を作る

■ はじめに

 車両の工作や実験に熱中していると、レイアウトの地面工作も恋しくなってきます。 レイアウトの背景作りや街並みの工作は進行中のままである。 その街並み工作では街の照明化を実施するつもりなので、そのための部品を準備しておく必要があります。 その照明化にあたっては、チップLEDを使いこなそうと考えており、ホームや建物と共に、街路灯に使えないかと考えていました。 今回その工作をトライしたので忘備録も兼ねて紹介しておこう。

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■ アイディアとそのトライ

 街路灯のアイディアは以前から色々考えていたが、細い真鍮製のパイプを東急ハンズにて入手したので、ネットで紹介されている工作例を参考に下のイラストのようなアイディアにトライしてみることにした。 使用するチップLEDは、秋月より入手したものである。

 

 

 まずチップを両面テープに貼り付けて、チップに導線をハンダ付けしてみました。 何度か失敗しながら上手く行ったのですが、今度は導線を工作している時にハンダ付け部分でチップの本体側がポロリと破損してしまい、折角のチップが分解してしまいました。

 導線に掛る力はチップ本体でなくてベースで受ける構造にする必要が有ったのです。 そこでベースとなる材料として適切な基板が有れば最適なのですが、そのような部品は売っていないので自分で工夫するしかありません。 スチレン製のプラ板ではハンダの熱で溶けてしまうので少しは耐熱性があると言われているPP製のシートを切り出して使ってみました。

 まず、PP製のシートを両面テープでベニヤ板に貼り付け、t = 0.1mm の銅板を小さく切った板片をシート面の上に貼り付けました。 その銅片を使ってチップLEDと導線をハンダ付けしました。 下の写真はその工程の一部です。 右端の部品は先行してトライしたもので、上手く出来たので量産することにしたものです。

 ハンダ付け作業は慎重に実施したつもりですが、なかなか綺麗には行きませんでした。 導線をハンダ付けした後で点灯テストを実施した結果、点灯出来たものは3個だけで、ハンダ作業をやり直してさらに2個点灯させる事が出来ましたが、ベースまで溶けてしまった1個は最後まで点灯出来ませんでした。 両面テープでの接着や、PP製のシートも素早いハンダ作業を必要とし、もたもたしたハンダ作業には耐えれない事を勉強しました。

 点灯出来たユニットについて、アクリル系の接着剤を塗布してチップLEDを固定しました。

 これらの作業で使用した道具類を紹介します。 右上の写真は点灯テストに使った電気回路です。 電流制限のためにCRDをブレッドボード上に配置して、通電するようにしています。 下の写真はハンダ付け作業の道具ですが、チップLEDの接着状態などを確認するには、スタンド式の拡大鏡では不十分でした。 そこで趣味で写真に凝っていた時期から使用していた、リバーサルフイルムを見るためのルーペを持ち出して観察することにしました。 倍率が5.5x と高く、口径も大きいのでしっかりと観察が出来ます。

■ ベースの改良

 何とか点灯出来るユニットを作ることが出来ましたが、PP製のシートではベースとしては使用出来ないと諦め、腰のしっかりとした部材としてユニバーサル基板を使用することにしました。 まず、小型の片面紙フェノールのユニバーサル基板からベースを下左の写真のように切り出しました。 そして、真鍮パイプを長さ40mm に切りそろえ両端をやすりで綺麗に仕上げます。

 次にパイプの中を通す導線として、外形φ0.7mm の被覆線を70mm の長さに切りそろえ、両端を加工しておきます。 また、φ0.6mm のスズメッキ線を長さを20mm に切り取り、先端を直角に曲げておきます。 これらの部品を下右の写真に示す。 スズメッキ線はパイプへのハンダ付けがしやすいようにと、その一部を叩いて少し平らにしておきました。 なお、真鍮パイプは、紙ヤスリで表面を磨いて置き、その両端近くを薄くハンダメッキしておきました。

 

 ハンダ付けは、まずベースとスズメッキ線を、その後にスズメッキ線とパイプのハンダ付けを実施しまいたが、この工程は逆にすべきでした。 パイプへのハンダ付け作業では、もたもたしていると先端のベースのハンダも溶けてしまい、ベースがポロリと取れてしまうのです。 また、最初のトライ品もスズメッキ線をパイプにハンダ付けしていますが、この作業での熱によってパイプの中の被覆線が溶けてしまい、折角出来あがっていたユニットの一つが不良品になってしまいました。 このため、パイプへのハンダ付け作業を先に実施するようにしたのですが、ハンダ付けの作業は作業前にその順番をしっかりと検討しておく必要がありますね。

 次にチップLEDをハンダ付けする作業に入るのですが、小さなチップを無くさない様に、菓子箱のふたの中で作業するように道具類をセットし直しました。 下左の写真。 ベースはあらかじめハンダ付けをし、盛り上がったハンダ部分をヤスリで平らに削っておきます。 そしてチップの裏のマークにてプラスマイナスを確認してから、ベースの上に載せ、チップの先端側をハンダ付けしました。 下右の写真の状態です。

 つぎに、導線をパイプの下から通してチップの他端まで持ってきて(下左の写真の状態)、ここでハンダ付けを実施します。 導線の端に付けたハンダがチップ端まで流れてチップと接着するのですが、手早く実施する必要があります。 モタモタした作業によって不良品になったしまった失敗作を下右に示します。 いくつチップをダメにすれば上達するのでしょうかね。

 出来あがったユニットの点灯テストにて、チップが無事に光ってくれると、ほっとしますね。

 トライ品も含めて14本仕掛け、そのうちの11本を無事に点灯させることが出来ました。 これらを木の棒にセットして、LED部分を保護するためにアクリル系の接着剤を塗布しました。 下左の写真。 すこし付け過ぎたようで、背中側がまるまると太ってしまいました。 

 次に、白色で塗装するためランプ部分をマスキングしました。 Mrマスキングゾルを使用しています。 下左の写真。 そして白色のペイントを吹き付けて塗装しまし。塗装が乾燥した後の状態を下右の写真に示しますが、左側の2個目と3個目は、マスキング部分を試しに剥がした状態です。

 完成した街路灯を下に示します。 また、点灯テストを実施し、全品無事に合格しました。

■ 反省

 今回もハンダ付けの難しさを勉強しましたが、これは数をこなす必要があるようです。 そして、「光れば良し」として、外観にはあまり気を使いませんでしたが、今後はハンダ作業やアクリル接着剤の塗布作業にも、模型としての「美しさ、もっともらしさ」を考慮して作業したいと思っています。

 これで街並みの工作が楽しみが一つ増えた気がしますので、そろそろ再開したものですね。