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C13型 小型蒸気機関車を組立てる

■ はじめに

 先日、ワールド工芸社から発売された 「Nゲージ 片上鉄道 C13形 初期仕様 蒸気機関車 組立キット 」 を組付けました。 小型蒸気機関車の金属製組立てキットも6台目となり、少しは慣れて来ましたが、プロが作製されたサンプルの写真を見ると、そのレベルの格差に “ガックリ!” と来ています。 ハンダ付けや塗装の仕上がりは、月とすっぽんのようですが、今回自分が失敗した部分やら、気が付いてワールド工芸社さんの間違いと思われる部分について報告しますので、参考になれば幸いです。

 

■ ワールド工芸社の「Nゲージ 片上鉄道 C13形 初期仕様 蒸気機関車 組立キット 」   トラブル集

1) 金属製組立てキットも6台目となると、少しは自信がありましたが、キャブ関係の組付けに手間取ってしまい、A1-2 の床板の組付けを忘れてしまうポカをやってしまいました。 苦労してランボードに組付けた後だったため、 修正する気力は有りませんでした。 コールバンカーが少し下がっているようですが、目立たないのでそのままにしております。

2) 次に、キャブの前妻板外板として、H4-1が図面に指定されていますが、同じ形状の部品がA2-3 にも有りました。 不思議だなと思いつつも、早とちりの自分は、てっきりこれらを2枚重ねするものだと思い込んで、A2-1上に重ねでハンダ付けしました。 さすがにこれは変でしたね。 そこで、後妻板外板は、H4-2 だけにしました。

3) キャブ側面の窓の上に穴が3ヶ所開いていました。 図面を見ても何の指示が無いので不思議に思い、組付けられた写真を見ていると庇のようでしたのでそれらしき部品を探すと、H2-14 がピッタリでしたので、他に組付ける部分が無い事を確認して、ここに取り付ける事にしました。

4) ハタと困ってしまたのが、従台車を取り付ける心棒の組み付けです。 図面は右の図のような指定ですが、どうも変なのです。 心棒はA3-9 とA3-8 のワッシャー、バネ、およびφ2のカラーをM1.4のコネべで組付けるのですが、A3-9 とA3-8 のワッシャーの間に A3-6 の部品をスライド出来るように組付けなければなりません。 これがなかなか面倒な作業でしたが、作業途中で、ネジの長さが短い事に気が付きました。 そこで、手持ちの長さ7mmのネジでやっとこさ組付けたのですが、今度は台車が固くて動きません。 ネジを締めつけてしまったので、A3-9 とA3-8 のワッシャーの間が締めつけられた為ですので、当然と言えば当然です。 そこでネジを締めつけずに固定させる方法を色々考えました。 ロックナット方式はどうかと検討しましたが、ナットを組付けるスペースはあるのですが、手が届きません!

 この従台車は非集電方式です。 折角の車輪を集電に使わないのは勿体無いと思っていましたので、他のプラ製モデルの台車を流用することを検討し始めました。 軸間距離が合いそうな台車としてBトレの動力車の台車がピッタリのようですので、この台車を加工出来ないか検討を始めました。 台車の支持方法や導線の配置方法などを考えて、行けそうな気がしましたが、かなりの改造が必要となります。

 気を取り直して、部品を眺めていた時、A3-8 のワッシャーがいらない事に気が付きました。 そして、ネジはワッシャーA3-9 とカラーを締めつけてランボードのA1-3に締めつければよいのです。 その間にバネを入れておき、ワッシャーA3-9 の組付け方向をA3-6 の溝と直角方向にして置けば、台車は後から組付ける事が出来ることに気付きました。 これは電気機関車類の中間台車の組付け方法と同じです。 このように考えると、ワッシャーA3-8 の内径が、M1.4 のネジではなく、φ2.0 のカラーが通るような大きな穴であれば、図の様な構成が成り立つのです。 ネジの長さも5mm で充分です。

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 有りましたね・・・・・・・・!  なんと、A3-10 の部品が望むところの部品でした。 内径の大きな A3-10 のシャッシー使って心棒だけ先に組付ければ、苦労した組み付けも簡単でした。

 このトラブルに、ゆうに1時間以上は費やしてしまいました・・・・・・・・・・・・。

組付図を100%信用するな!  自分の頭で考えながら組み付けよ!                 

・・・・・・・・・・・・・・・・・ との教訓にしましょう!  ・・・・・・・・・・  

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 心棒を取り付けた状態を右の写真に示す。

5) 次のトラブルは左のイラスト示すF1-3 の部品です。 これは、図面の様にすんなり組付けられなかったのですが、図面と部品の形状が異なっていたために原因がすぐに分かりました。 部品をヤスリでゴシゴシと削るしか有りませんでしたの、慎重に作業を実施しました。 それにしても F1板の “SE” て何の材料なの? 固くて削り難い! 

  南薩5号機の説明書では、SE:ステンレス板と記述されていました。 ステンレス材は種類が多いのですが、この板は、磁石に反応するので 13クロムのマルテンサイト系か。 焼きを入れる事が出来て、ステンレス製刃物にも使用されている固くて強い材料ですな・・・・・。 でも、錆の心配が有りますので要注意ですね。

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6) また、今度もカプラーの取り付けに右往左往しました。 今回指定されているのオプションカプラーは、#1025 と記入されているが、形状から #2001と同等と勝手に判断してテスト走行を実施していましたが、カプラーの高さが高すぎる事に気が付きました。 スペーサーを噛ませて低くすると従台車にぶつかるので、なんとかKATO製のナックルカプラーを取り付けようとあれこれ細工しましたが、どうしてもバネを取り付ける事が出来ませんでした。

 うまくいかないので、この #1025 なるカプラーの形状を示す写真か図面をネットで探して見ました。 日本の販売代理店の写真では良くわかりませんでいしたが、MICRO-TRAINS 社のホームページから、カプラーの形状を示す説明図をやっとのことで GET することが出来ました。

 4月3日現在、そのホームページに再度アクセスしたところ、ページの構成が変更されており、目的の説明図はもうありませんでした。 個別のカプラー毎の図になっており、さらに新しいページでは、#1025 のカプラーはリストから消えていました。 今後は #1015 に統一されるのでしょうかね?

 

 そこで、先日ダウンロードしておいた説明図から、#1025 と #2001 のカプラーを比較してみましょう。

 左の図が #1025 で、右の図が #2001 のカプラーです。 カプラーの中心高さは、5.5mm で同じですが、取り付け部の高さが、7.0mm と 5.7mm で、1.3mm も異なっています。 これでは、カプラー高さが狂ってくるのは仕方が無い事ですね。 また、もし、取りつけさえ上手く出来れば #1025 の代わりにKATO のナックルカプラーでも代用出来るのことも納得です。 自分は、この #1025 のカプラーを持っていないため、右上の写真のように、アーノルドカプラー用の取り付け部材を加工して、カトーカプラーN で代用する事にしました。

 ● 動力部の組付けは、上記の(5)のトラブル以外は問題無くスムースに組付ける事が出来ました。 ロッド類のどこかが少しギクシャクしていましたが、許容範囲と勝手に判断しています。 モータ端子の接続は、金属部の弾性だけで接触しさせているのですが、部品の腰が有るために接触不良などのトラブルもなく、充分機能しており、感心した構成のひとつです。

 動作の確認を実施しのちに、部品をバラして塗装を実施しました。 相変わらず野外での缶スプレー塗装です。 そして未熟な技術のため、仕上がりはいまいちです。

 なお、カウキャッチャーは趣味に合わないので取り付けるのを止めました。 また、ナンバープレートは、51号機を選択しました。

 最後に塗装しようとした時に、またまたへまをやってしまいました。 うかつにもコンクリートのテラスの上にボディーを “ガチャンー!” と落下させてしまい、青くなってしまいました。 幸い右側のデフ部分で落下を受け止めたようで、大きく曲がって、ステーが折れていました。 変形したデフは修正しましたが、ステーは助かりませんでした。 他の部分の損傷はなかったので一安心しました。 注意!

 

■ 点灯する前照灯を作る

 先回の工作に気を良くして、このモデルにもチップLED を使った前照灯を細工する事にしました。 今回は金属モデルですので片方の配線が省略できるます。 このため、右の様な構成にする事にしました。

 まず、チップLEDを導線にハンダ付けして、周りをアクリル樹脂で固めて固定します。 外筒として、φ2mm の黒い熱収縮チューブを使用します。 導線は抵抗やコンデンサーの足を活用しました。 磁石で引き寄せられる(即ち鉄系の線材にメッキされているもの)ものを使ったので、腰のある足となりました。

 このLEDセットをボイラーの穴を通してから、マイナス側はボイラーの壁に、プラス側は定電流ダイオードと逆流防止のダイオードをハンダ付けし、φ2mm の熱収縮チューブを絶縁体としてはめ込み、動力部の右側シャシーに接触するようにしました。

 まずは、LEDセットをアクリル樹脂で固めるための樹脂型作りから始めました。 まず、8mm 角のアルミ材を適当な長さに2個切りだし、固定させるための通し穴をあけました。 M2 のネジで二つの部材を固定した状態で、φ2.5mm の穴をドリルで開けてます。 その後、部材をバラして片方の部材にリード線をはめる溝を掘りました。 下の写真を参照。

 一方、LEDはリード線の端にハンダ付けして置きます。 ハンダ付けは弱いので慎重に取り扱います。 アクリル樹脂は、タミヤの透明エポキシ樹脂セットを使いました。

 点灯テスト時の絶縁のために、リード線用の溝にセロテープを貼っておきます。 アルミ型に離型材を塗布して型を組立、外筒とする黒い熱収縮チューブをはめ込んで、LEDをセットします。 これもセロテープでリード線を固定しておきます。 下左の写真。 点灯テストで問題無ければ、その上に調合したアクリル樹脂材を流し込んで、一昼夜置いておきます。

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 アクリル樹脂が硬化していたら、型を崩し、はみ出した樹脂などをナイフやリューターで整形します。 最後に裏側などにパテを塗って遮光処理をしておきます。

 あらかじめボイラーには、プラス側とマイナス側の取り付け穴をあけておきますが、プラス側は、リード線との絶縁のために、大き目の穴をあけておき、ビニール被覆線のビニール部分を利用して絶縁ブッシュとして使用した。

 ボイラー内は、水草の重りを詰め込み、リード線の固定と共に、車体の加重としましたが、その状態を右の写真に示す。 プラス側のリード線は、動力部のウォームや歯車と接触しないように曲げこんでいます。

 

■ 完成品

 完成した状態を下に示す。 車体の重量は、重り無しの状態で18.2グラムでしたが、重りを詰め込んだ後では、38.5グラム有りました。 動力部は16.9グラムで全部組付け後では、57.4グラムとなりました。 ずっしりと重さを感じます。

 しげしげと眺めていると、安全弁の部分まで塗装していますし、塗装むらや、角部のはがれなど目立ちますね。 工作レベルは、“ 下の中 ” ぐらいと自己判定しています。

 走りについては、KATO の様なスムースな走りには遠く及びませんが、ヘッドライトを明るく照らしながら走行していますので、合格点として置きます。