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小型のターンテーブル式実験装置を作ろう チビ電を測定する

 疑問点も解明できたので、残りの気になる小型車両の測定を実施した。今回はKATOのチビ電を取り上げたが、ターンテーブル式の実験装置について新しい機能を見つけてしまったので紹介しよう。

 

■ チビ電の測定方法

 測定対象としたチビ電は、

にて紹介しているモデルである。このモデルは動力車である 4001A号機とトレラー車である 4001B号機が専用のリンクで連結されており、両車両とも上記の説明の様に前照灯と尾灯、および室内灯を工作済みである。

 小型ターンテーブル式の実験装置での測定では、専用のリンクが必要であったので、下記の様に新たに工作した。

 

■ トレラー車4001B号機の測定

 動力を持たない車両を何故測定するの? との疑問が湧きますが、今回新たに気が付いてこの実験装置の付加機能なのです。ターンテーブルを駆動用モータで回転させて、車両の牽引力、否、抵抗力を測定すれば、そのトレラー車の走行抵抗が測定できるのです。さらに、その値は、速度にどのように関係するのかも検証できるのです。

この測定の場合、プログラム等は動力車測定時とまったく同じものが使用できるので、修正も必要ありません。

 さらに、この時に測定する電流・電圧特性も、活用できるのです。モータの無いトレラー車での消費電流とは? そうです、前照灯と尾灯、および室内灯の消費電流が測定出来てしまうのです。

 測定状態を下左の写真に示します。ブレーキ機能は不要ですので、下右の写真のようにクリップで止めて固定しています。

 

 測定方法は速度特性を測定する場合と同じ方法で実施しました。通常は、単機走行時(牽引力がゼロ状態)の状態を確認するため牽引力特性グラフですが、今回はこのグラフを活用するのです。X軸を車速に変更して表示させました。円盤から回転させているので牽引力はマイナス側に出ますがその状態を下左のグラフに示します。

   

 牽引力の平均値を計算すると、2.89gf でした。ピポット軸受け形式のトレラー車としてはかなり大きな値であるのですが、これは、苦労した手作りの集電機構のためなので覚悟していた値でもあるのです。対をなす動力車の牽引力でも充分に急坂を登っているので問題ないのです。

 また、車速に対しては少し増加傾向にありますが、問題無いようです。

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 次に、右のグラフの消費電流を見ると、二つの特徴が示されています。まず、前照灯はチップLEDと1KΩの抵抗で構成しましたので、3.5volt付近から立ち上がり比例的に増加しています。そして、室内灯は12volt仕様のテープLEDを仕様していますので、7volt近辺から立ち上がり、勾配をプラスして増加しています。即ち、2段折れの特徴を示しています。なお、今回の測定では、レールから給電していますので、集電機構での電圧降下分も(その値は不明)含まれています。

 

■ 動力車4001A号機の測定

 本来の動力車の特性を測定してみました。

 測定データを下に示します。

   

 この動力ユニットは、フライホイール付きコアレスモータ搭載したチビ電用動力ユニット(品番:11-108)です。このシリーズは、チビ客車用動力ユニット(品番:11-110)とチビ凸用動力ユニット(品番:11-109)と同じ構造で、デッキの部分の形状が対応車体に合わせて異なっているだけです。従って動力特性は同じと判断していますので、今までの測定データと比較することが出来ます。但し、組み込んだ電飾部品によって消費電流が異なりますので、この影響を考慮してください。

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 他の5両と比較して速度・電圧特性や牽引力・車速特性はほとんど同じです。ただ、けん引力が少し小さいように思われます。消費電流は、それぞれの個体の電飾内容によって異なっていますが、その特徴を読み取ることが出来ます。

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 今回の測定で、KATOのポケットラインシリーズの新動力ユニット全ての動力特性を測定出来ましたので、他のユニットと同様にまとめることにしましょう。 次回は気になっているEF58-150号機の異常データの解析結果を報告します。

 

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2023/10/20