HOME >> 鉄道模型工作室 >  モニタ式の操作盤を作ろう PWM波形の観察

鉄道模型工作室  モニタ式の操作盤を作ろう PWM波形の観察

 ラズパイのWebIOPi アプリを使って卓上レイアウトを遠隔操作するプロジェクトを進めてきた。 そして、実際の卓上レイアウトにてその機能を確認した。 さらに速度調整のスライダも独自のデザインに変更し、このプロジェクトを取りあえず完成としました。 しかし、PWM制御用のキャリヤ周波数が 50Hz という低周波なので、やはり電車はぎごちない動きでした。

 そこで、改善前に現在の状態を観測する事にしました。

 

■ オシロでのPWM波形の観察

 卓上レイアウトにセットされた状態で、給電電圧の波形を観察することにしました。 その状態を下に示します。

  .

 オシロ用の入力は、フィーダー線を使って線路から電圧を取り出してオシロに入力しました。 運転操作はスマホから実施しています。

  ************************************************

 最初に、バンダイの動力車と手製の室内灯を装着したBトレの名鉄電車を走らせました。 右の写真。

 この時に給電されている電圧のオシロ波形を下に示します。 キャリア周波数は、49.594Hz と表示されており、公称値の 50Hz にピッタリです

 また、ON時の電圧は、電圧降下の影響で、10〜11ボルトでした。 ON/OFF時のヒゲの状態も小さく、安定した波形を示していました。

 なお、波形は平均8回のデータ表示するように設定しています。

 次に、電車の無い時のパルス波形を観察しました。 インジケータの目盛が、およそ 0.5、0.8、2 の時の波形です。

 ヂューティ比が充分に高くなると、ACアダプタからの供給電圧である 12volt がきっちりと出ている事が分かります。 さらに、ON/OFF 時のヒゲは、皆無でる事も分かります。 即ち、立上りや立下がりに発生するひげや変形は、電車、即ちモータの作動による影響と考える事ができます。

 また、電車を線路に載せて、この速度条件にセットしても電車はすぐには動きません。 そこで、電車とチョイと突くと動き出しましたが、この時の前後の状態を下に示す。

   

 電圧値から見ると、電車が動かない状態では電流が流れていない事が分かります。  即ち、 どこがの部分で通電不良?

 自分は過去の実験データより、モータが動き始める前でも、モータの巻き線には電流は流れているものと思っていました。 強い磁石の力に打ち勝つまでは、ロータが動けないものだと理解していたのですが・・・・・・。 この間は、モータは電熱器状態、即ち電流は流れているので電圧降下は発生しているはずと解釈していたのです。
     参考: 「モータの速度特性の測定」(2012/4/21)   「動力車の発進時や停止時の動き」(2014/2/27)

 これは、動き始めない電車の原因は、モータ特有の特性だけでなく、通電回路上の接触不良もありうる事を示唆しているのだ。

 

■ KATO製動力車の場合

 次に、KATO製の動力車を搭載したキハ58のBトレを走らせてみました。 ヒゲの状態や変形は同じような形状でした。

  .

 

■ コアレスモータ動力の場合

 次に、KATOのコアレスモータを搭載した電気機関車を走らせました。 右の写真。

   ***********************************************

 この時のPWM波形を下に示します。 左側が列車をセットしていない時で、右側が列車を走らせている時の波形です。

 電圧降下は、2ボルト程ありますが、波形の崩れは非常に小さいです。 コアレスモータなのに電圧降下が大きいには、前照灯と室内灯を点灯しているため、モータよりもこちらの方で電流を食っているためと考えています。

 ヂューティ比を変化させた場合も観察しましたが、波形の乱れは非常に小さいですね。

 この電気機関車の場合も、スムースに動き出し場合と、指での チョン 動作が必要な場合がありました。 下の画面は、チョン 動作の前後の様子を捉えてもので、電圧の違いが鮮明に出ています。

   

 列車がスムースに動き始めない場合の原因は、通電回路のどこかが接触不良状態であるものと確信しました。 即ち、車両のメンテナンス不良ですな!

 

■ まとめ

   RaspberryPi をWebサーバーアプリの WebIOPi を使って遠隔操作しているが、 WebIOPi のPWM制御はソフト的に作られたPWM信号であるため、信号が少し不安定であり、かつ、キャリア周波数が 50Hz という極低周波であるため、電車はぎごちない動きであった。  この時のPWM波形を観察し、公称どうりの値であったことを確認した。

 そして、データを整理していると、電圧降下の違いを見つけてしまった。 これは、動き始めがスムースでない車両での、あらたな原因についてメンテナンス不良であることを示唆しているのだ。 当然と言えば当然ですね。

 次回は、このキャリア周波数の高周波化を検討したので報告することにしよう。

ページトップへ戻る .


 2021/9/3 作成