HOME >> 鉄道模型実験室 > 新しいテープ式室内灯 チップコンデンサとCRDの特性調査
テープ式LEDを使った室内灯ユニットについて、新しい製品である5ボルト仕様のCOBテープLEDや、高容量のチップコンデンサを使って検討している。今回は、チップコンデンサとCRDの特性を調査した。
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■ チップコンデンサの特性
容量がアップしたチップコンデンサの特性を調べてみる。このチップコンデンサは材質がセラミックであるために独特のDCバイアス特性を示している。電圧が高いと蓄電容量が減少してしまうのだ。電気をためる容器であるので、ためることが出来る電気量を調べてみることにした。電気に対して門外漢である機械屋が考えたことなので間違っていたらお許し下さい。
電気量または電荷Q(単位はクーロン)は、平行導体間の電圧をV(単位はボルト)とし、静電容量をC(単位はファラド)とすると、
C = Q / V すなわち Q = C ・ V
となるそうである。そこで、溜めることが出来る量、即ち電気量を電圧を横軸にしてグラフ化してみることにした。
● 47μF仕様のコンデンサ
まず、メーカーのホームページよりDCバイアス特性のデータを読み取り、静電容量に換算してグラフにした。下左のグラフ。そして上記の計算式より電気量もグラフ化した。下右のグラフ。
すると、電気量は7ボルトあたりをピークとする特性となることが分かる。すなわち、この47μF16V仕様のチップコンデンサは、6〜8ボルト近辺で使用するのが最も有効であることが分かる。
● 100μF仕様のコンデンサ
次に、100μF10V仕様のチップコンデンサも同様にグラフ化してみた。
DCバイアス特性を加味した実質的な容量の値を見ると、電圧が高くなると47μF仕様と100μF仕様の部品の差がだんだん小さくなり、5ボルト以上になるとほとんど同じ値となってしまうのである。呼称容量値の違いは意味がないですね。逆に耐圧仕様が低くなってしまって、かえってデメリットとなってしまうのだ。
そして、この10V仕様のチップコンデンサの場合は、4ボルト付近が有効であることが分かる。さらに最大電気量も47μFのものとほとんど変わらない事がわかる。
● まとめ
これらの計算結果を電解コンデンサと比較してみよう。電解コンデンサはDCバイアス特性が無いので、電気量Qは電圧に対して比例的に増加する。これらの結果を下のグラフに示す。
蓄電能力としての電気量から見ると、電解コンデンサとセラミック材であるチップコンデンサとの違いは明確である。チラツキ防止としてどれだけの電気量が必要となるのかは、負荷となるテープLEDの消費量によってきまってくるので、その組合せで検討する必要がある。
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鉄道模型の場合、回線が断線することによるチラツキを防止するためには、断線中に電気をどれだけ補充できるのかが勝負となる。室内を照らすLEDの種類や、回路構成がどうであろうとも、この補充できる電気量の絶対値が大きい方が有利であることは確かであろう。すなわち、同じ100μFのコンデンサを使用するとしたら、12ボルトと100μFの電解コンデンサの組合せが最適であることが判断できるのだ。
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それにしても、チップコンデンサの容量について、騙されやすい事を痛感させられる。1〜2ボルト以内での使用なら効能書きのような効果があるものの、、5ボルト、10ボルトなどの高電圧では要注意なのだ。
手持ちのチップコンデンサ部品を右に示す。下段の左から 0.1μF、1μF、10μF、上段の左から 22μF、47μF、100μFの部品である。このうち、 0.1μFのコンデンサは、信号回路のノイズ侵入防止用として常用しているが、他の部品の使い道が今のところ無いのである。上段の部品はチラツキ防止用として入手したものの、失敗であった。
今回、、47μFと100μFの部品を購入したのであるが、無駄使いであったのだ。
■ 定電流ダイードの特性
つぎに、この有効に蓄電した電気量をいかに効率的に使用するのかの観点より、電流制限部品としての定電流ダイードについて見ていくことにする。そこで、定電流ダイード( CRD )の特性を調べてみることにした。特性の調査方法は、テープLEDのを測定した方法と同様にして、電圧と電流を測定した。
測定した部品は、
である。
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測定結果を左ののグラフに示す。
上流側の電圧がおよそ5ボルト以上であると、ほぼ一定の電流しか流さないことが分かる。抵抗を使った電流制限の場合は、電圧に比例して制限する電流値が比例するのだ。
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この違いに注目するのは、CRDの特性の方がチラツキ防止には有利になるという仮説を立てているからである。
追って実験で確かめて行こう。
■ 5V仕様のテープとの組合せ
さて、テープLEDとCRDを組み合わせた時の静特性を確認しておこう。まず実験状態を下に示す。
今回の実験は各部の電圧状態を観察するので、回路構成はブリッジダイオードも含めた構成としました。そしてテープLEDに流れる電流をチェックするためシャント抵抗を回路に挿入しています。
を下の写真の様に接続しました。電流は供給側のGND端子回路中にてテスターで測定し、各部の電圧は供給側のGND端子をGNDとして測定します。
電圧の測定場所は、
である。電源電圧を変化させて一定の電流を流し、これらのポイントの電圧をを順番に測定した。 その測定結果を下の様にグラフに示す。
特に、コンデンサ設置しようとしている point2 の電流と電圧に注目しよう。
尚、上記の実験結果より、ダイオードブリッジの電圧降下がプラス側で0.5ボルト程度あることが分かる。マイナス側も考慮すると、約1ボルトの電圧降下があるのだ。
さて、このような特性の違いをどう見るか、また、チラツキ防止に対してどのように影響するのか、興味深い検討ポイントである。それは、明るさを維持するにはそれなりの電流を必要とする。一方で、コンデンサに蓄電した電気量は使用していくと、それに従って電圧はどんどん減少していくものと考える。すると、電圧が減少しても一定の電流を流してくれるCRDの方が、抵抗よりも明るさを暫く保ってくれるのでは無いかと考えるのである。
****************** 本当か? ************************
専門の電気屋さんならば、関係式を立てて数学的にその違いを証明できるはずであるが、悲しいかな機械屋の小生では、実験やグラフなどでしか判断できなのである。
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次回は、いよいよ放電特性を調べてみることにしよう。
2024/2/29