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鉄道模型実験室 No.235  新しいテープ式室内灯 パルスを観察する

 チラツキに関するパルス実験の準備ができたので、まずは、様子を観察することにした。遮断時間の変化や抵抗とCRDの違いなどを確かめてみた。

 

■ 実験方法

 実験用回路は先回の報告した回路を使用しました。

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 供給電源としては、電圧が調整できる安定化電源を使っており、テープLEDは新しいFCOBテープLEDを2本使いました。

 左側の回路の電流制限部品として 510Ωの抵抗を使用し、右側の回路では18mAのCRDを使用しています。オシロの端子は、これらの部品の上流側の電圧を測定します。左側の回路を CH1に、右側の回路をCH2とし、オシロのGNDを電源のGNDに接続しています。

 電源遮断時間は、オシロ画面よりパルス幅を測定しながら設定しました。コンデンサは100μFの電解コンデンサを使い、電流制限部品の上流側電圧の落ち込み具合を観察しました。その時のオシロ波形を保存し、落ち込んだミニマム電圧も観察しました。そいて、この時のLEDのチラツキ具合を動画でも撮影しています。

 

■ チラツキパルスを観察する

 観察は、コンデンサ部、即ち電流制限部品の上流側の電圧を観察しています。左側のLED(チャネル1:黄色)には510Ωの抵抗を、右側のLED(チャネル2:青色)には18mAのCRDを用いていますので、比較しながら観察しました。

 最初は、抵抗とCRDの効果の違いを見ました。テスト1〜3です。テスト4と5はコンデンサをはずした場合です。そして、供給電圧を下げた場合の様子をテスト6と7で観察しました。また、表に記した落ち込んだ最低電圧は、オシロ画面が読み取った値である。

No 状態 オシロ画面 落込んだ最低電圧 備考
No.1

Time:100 ms

左:100μF

右:100μF

左:チラツキ有り

右:チラツキ有り

CH1: 4.0 volt

CH2: 2.5 volt

チラツキ状態の現状を確認する。CRD(CH2)の方が電圧の落込みが早いが、この現象は先回までの観察結果と同じである。(電流値でなくて電圧値であるのだ)
No.2

Time:40 ms

左:100μF

右:100μF

左:チラツキ有り

右:チラツキほとんど無し

CH1: 7.0 volt

CH2: 6.5 volt

電圧変化は同じようであるが、チラツキに対しては、抵抗よりもCRDの方が効果がある。
No.3

Time:17.0 ms

左:100μF

右:100μF

左:チラツキ無し

右:チラツキ無し

CH1: 11.0 volt

CH2: 11.0 volt

パルス幅を小さくすると、抵抗使用の場合でも効果あり。
No.4

Time:7.6 ms

(時間スケール 5ms)

左:コンデンサ無し

右:コンデンサ無し

左:わずかにチラツく

右:わずかにチラツく

CH1: 8.0 volt

CH2: 8.0 volt

コンデンサ無しの場合、チラツキが感じられる限界を探ってみた。

思っていたよりも、限界時間は短いのだ。

でも何だか変な波形なり。オシロの精度の問題なのか、実験方法の問題なのかは不明なり。

No.5

Time:41 ms

左:コンデンサ無し

右:コンデンサ無し

左:バッチリとチラツく

右:バッチリとチラツく

CH1: 0.0 volt

CH2: 0.0 volt

No.2 の場合から、コンデンサを取り外す。

コンデンサが無いとバッチリとチラツキます。コンデンサの効果を改めて確認する。

No.6

供給電圧を 8.0 volt に下げる

Time:41 ms

左:100μF

右:100μF

左:チラツキ有り

右:チラツキ有り

CH1: 5.0 volt

CH2: 3.5 volt

No2 の場合から、供給電圧を下げると、チラツキが見えるようになった。

コンデンサに溜める電気量が少なくなったためと考える。

No.7

供給電圧を 6.0 volt に下げる

Time:41 ms

左:100μF

右:100μF

左:チラツキ有り

右:チラツキ有り

CH1: 4.5 volt

CH2: 3.0 volt

No.6 の場合から、さらに供給電圧を下げる。チラツキがしっかりと見えるようになった。

 テスト1〜5までの様子を動画で紹介します。また、左右のLEDの間に壁を設けて、光り具合が干渉しないよう工夫しています。

 

■ まとめ

 観測結果より得られた知見として、

  1. 100μFの電解コンデンサを使用すると、40ms程度の遮断に対して効果がある。
  2. さらに、CRDを使用すると、抵抗を使用する場合よりも効果がある。
  3. 同じ回路でも、供給電圧が低くなると、チラツキ防止効果が小さくなる。これはコンデンサに溜める電気量が少なくなるためと考えている。

などである。

 今回は、光り具合の観察がメインであり、電圧測定はおろそかであった。この電圧とLEDの光り具合は、直接的には関係しない。このため、電圧では無くて電流を測定すべきであった。

 そこで、次回は電流値に注目して実験を実施した様子を紹介しよう。

 

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 2024/3/9