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鉄道模型実験室 No.242  新しいテープ式室内灯 回路瞬断の発生状況 その4

 実際のチラツキが発生している状態を示す実データの観測に挑戦しています。コンデンサや電流制限部品などをいろいろ取り替えて走行中の電流状態を観察した。今回は5ボルト仕様のLEDを使用した。

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■ 観察方法

 LEDを5ボルト仕様のBTF-LIGHTING 社製 FCOB テープライト 10cm を使用して実験した。

 電流制限抵抗は、テープLEDの特性に合わせて510Ωを使用し、定電流ダイオードの場合は18mA仕様のE-183 を使った。また、10μFのセラミックコンデンサは、昔の室内灯工作に使用したものを持ち出してきた。観察方法は先回のその3と同じである。

 

■ 観察結果

 いろいろな組み合わせについて観察した。CH1(黄線)はブリッジダイオードの上流側の電圧で、集電部の瞬断状況を観察できる。そして、CH2(青線)は51.5Ωのシャント抵抗の電圧降下量でLEDを流れた電流値と見ることが出来き、コンデンサによる蓄電効果によってチラツキが防止されている状態を観察することができる。

ケース1 510Ω × コンデンサ無しの組合せ チラツキ有り 電流はブチブチに切れているが、それが全てチラツキとは観察されないのだ。人間の眼はすごいんだ。
ケース2 18mA CRD × 100μF電解コンデンサの組合せ チラツキ無し コンデンサの蓄電効果と、ダイオードの定電流効果によって電流は一定値を保持している。
ケース3 510Ω × 100μF電解コンデンサの組合せ チラツキ無し 電流は少し波打っているが、大勢は滑らかである。
ケース4 510Ω × 94μFチップコンデンサの組合せ 少しチラつく 電流の凸凹が増加しておいり、時々わずかなチラツキとして観察される。
ケース5 18mA CRD × 94μFチップコンデンサの組合せ チラツキ無し コンデンサの蓄電効果と、ダイオードの定電流効果によって電流はほぼ一定値を保持している。
ケース6 510KΩ × 10μFチップコンデンサの組合せ 少しチラつく 電流の凸凹が大きくなり、コンデンサの容量が小さいので蓄電効果が少ない。
ケース7 18mA CRD × 10μFチップコンデンサの組合せ チラツキ無し ダイオードの定電流効果によって電流はほぼ一定値を保持し、ヒゲ電流も小さく抑えている。
ケース8 18mA CRD × コンデンサ無しの組合せ チラツキ有り ダイオードの定電流効果だけでは、集電部の瞬断による電流遮断を抑えることはできないのだ。やはり何らかの蓄電部品がひつようなのだ。

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● 波形を拡大する

 上記のケース6とケース7の場合について、横軸(時間軸)を拡大して瞬断時の様子を観察してみよう。

 拡大した時のスケールは、(M) で示した時間が罫線間の時間を示している。即ち、ひと桝が2.5msecや5msecで表示していることを示している。

 また、縦軸も同様で、CH2 はひと桝が 200mV であることを示しており、ゼロ点は左の△マークである。

 即ち、CRDの場合、平均状態では 800mV であるので、電流値に換算すると、

   800mV ÷ 51.5Ω = 15.5mA

であることが分かる。

 波形状態から、瞬断時の電圧と電流値は、波形の形は似ているものの、その値は比例しておらず、また、CRDの場合の電流の変化が小さいことが分かる。

 

■ まとめ

 いろいろな組み合わせについてチラツキとその時の電流状態を観察した結果、次のような知見を得ることが出来た。

  1. 電流制限部品としては抵抗よりも定電流ダイオードの方が効果かが高いことが判明した。
  2. とは言っても、瞬断時の電気の蓄え問としてのコンデンサ無しではチラツキを抑えることは出来ない。
  3. チラツキ防止の為にはコンデンサは必須であるが、その容量は大きいほど効果があることは言うまでも無い事である。
  4. 定電流ダイオードの場合、その仕様の種類が少ないので、LEDの明るさの微調整が出来ないことがデメリットと言えるであろう。

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 次回は、集電回路の瞬断状態について、データの収集方法と頻度解析方法について報告しよう。

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 2024/4/8