HOME >> 鉄道模型実験室 > 小型のターンテーブル式実験装置 トラクションタイヤの影響

鉄道模型実験室 No.252  小型のターンテーブル式実験装置 トラクションタイヤの影響

 小型のターンテーブル式実験装置を作り、色々な小形動力車の動力特性の測定を進めています。しかし、理解できない現象に出くわしたのでその様子を報告します。また、台車毎の荷重を追加測定するようにしました。

 

■ デハ501号機 旧塗装車の測定

 測定のN増しを実施するために、鉄道コレクション 第1弾 銚子電気鉄道 デハ501旧塗装車の測定を実施しました。この古い鉄コレ車両類の測定にあたっては、事前にトラクションタイヤの状態を見て、新品の部品に交換して測定を実施していましたが、今回はスルーして測定を始めてしまいました。

 その結果は、見事に失敗してしまい、測定の再実施を余儀なくされてしまいました。

 

 無負荷走行による速度特性を実施後に、牽引力特性を測定中のデータを右に示します。

 6ボルト条件で測定中にデータの異変に気が付きました。何だか変で力が出ていない様子でした。そこで、測定を中断して車輪の状態を見ると、、後ろのトラクションタイヤに傷が見つかり、ドライバでさわるとボロボロと崩れるような状態であった。

 今回の測定方法では、スリップ領域での測定機会が多いので、古いタイヤではその受けるダメージが大きいのではないかと思われます。

 このため、両方のタイヤを新品に交換して、測定を再開した。

 タイヤ交換のために分解した状態と、再組付け後の車輪の状態を下に示します。また、この車両では牽引力増加を狙って2軸ともトラクションタイヤを履いていました。

 

 新しく測定したデータを右に示す。

 交換前のデータと比較してみると、かなり様子が異なっているのが分かります。台車部分を分解して新品のトラクションタイヤを交換しただけなのに、この差異には驚いています。

 駆動側では、スリップ領域でもしっかりと駆動力を発揮していることは理解できますが、制動側のパターンの変化は理解に苦しむ。 

    ・・・・・なんでだろう?・・・・・・

  1. 踏ん張り力が大きくなっている!
  2. 遷移点も2倍になっている!
  3. -4グラムを超えた辺りで、データ飛びが発生している。クラッチ方式で測定してもどうしても飛んでしまうのだ。

 疑問だらけであるが、解析方法が見つからない・・・・・・・。以前実施したように、スリップ率やモータトルクなどを測定すれば少しは追求できるかもしれないが、面倒なので諦めることにしました。新品のトラクションタイヤの効果なら、同じ現象の車両があるはずであるし、トラクションタイヤが2輪の効果であるならば再現実験もありかもしれないのですが、当面は様子見とすることにします。

  .

 

■ 台車の荷重を測定する

 今回の12m級鉄コレ車両を測定していて気が付いた事があります。それは、牽引力特性を測定するにあたって、車輪に掛かる荷重をどれだけ把握しているかに気が付きました。

 車輪の駆動力は、車輪に掛かる荷重と摩擦係数の積に関係するのですが、その荷重は、車輪ごとに均等に掛かるわけではないのです。ボギー車の場合、それぞれの台車に掛かる荷重は、半分ずつになるとは限りません。特に動力台車が片方だけである小形車両では、このことを検証しておく必要があるのです。

 そこで、右の様な簡単な道具を準備しました。コンパクトな秤と同じ高さになる支持台を用意しました。これを使って、一方の台車を秤の上に、他方の台車を支持台の上に置き、計量するようにしました。下左の写真です。

 こうして、片方ずつの台車の荷重を計測し、さらに、車両全体を乗せて全重量も計測します。上右の写真。 これらの計測には、コンマ数グラム程度の誤差の発生があるので、何回の測定の結果を勘案して、各台車の荷重としています。測定例を下に示します。 単位はグラムです。

車両名 動力台車 トレーラ台車 車体重量
銚子電気鉄道 デハ501号機 旧塗装
18.1
13.4
31.5
上田丸子電鉄 モハ2321号機
11.1
11.4
22.5
富井電鉄 モ1033号機
17.1
15.5
32.6

 大体は半分なっていますが、積極的に重りを乗せて加重した場合は、動力台車側に乗せるので、その比率は偏ってくるはずです。他の車両もおいおい追記していきます。

 

ページトップへ戻る  .


 2024/11/4