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鉄道模型実験室 No.258  粘着特性を測定しようU 粘着特性の測定

 小型のターンテーブル測定装置で粘着特性を測定したが、今回もいろいろなミスが重なって四苦八苦してしまった。先にその様子を失敗の記録として報告したが、今回は特性測定として、速度特性の測定を含めて再実施し、粘着係数なるものを算出出来たのだ。

 

■ 速度特性の測定

 今までのように特性測定の手順に従って、まず単機走行時における電圧と車速などの速度特性を測定する。

 測定対象車両は、速報で報告した状態のままであるが、単機での自由走行のためにモータ回転数検知センサのリード線は折りたたんだ状態にした。

 測定方法は、まず線路から給電して電圧を調整しながら車両を走らせる。この時、同時にターンテーブルも駆動させておき、車両がある位置であたかも停止している状態になるようにターブルの回転数を調整する。 この状態で、テーブルの回転数を計測すると、その値は動力車の走行車速と一致するのである。

 そして、処理回路とArduinoを介してノートパソコンに送られたこれらのデータをExcel上のグラフに表示させる。こうして単機走行状態での速度特性を測定する。 なお、単機走行時は車両のモータ回転数は計測していない(リード線を結線していない)ので、スケッチを変更して実施している。得られたグラウを下に示す。

   

 鉄コレ用の動力ユニットTM-04 <15m級A>の特性としては妥当な値を示している。電流値も異状なく良好と判断する。

 

■ 引張力(牽引力)特性の測定

 次に、引張力(牽引力)特性の測定を実施した。最初の4volt状態のグラフを見ると、先回の測定結果と異なっていたので、どこか異常は無いかと測定状態を観察した。特に制動側の力が大きくなっているので、その点を重視して観察したのだ。制動状態ということで、特に引張棒として連結しているカプラー部が座屈を起こして、台車に変な横力が作用しているのでないかと疑った。

 そこで、カプラーの連結部を針金を使って固定することにした。鉄コレの台車はカプラーポケットを台車から外すことが出来るので、容易に工作が出来た。ロードセルにつなげるカプラーはもとから針金でこていされているが、このカプラーと台車のカプラーも針金で固定した。でも、このカプラーはカプラーポケットとはバネで押さえているだけでなので、ある程度は自由度が保たれており、連結部としての機能には影響しないのである。上下左右回転として少し自由に動くことが出来るのだ。

 モータ回転センサを処理回路のシールドに接続して、何時ものように測定を実施した。測定されたデータを下に示す。

 こうして一連の測定を実施したが、最初に感じた違和感は解消されなかった。連結棒の座屈は原因では無かったようである。先回の測定結果との違いを比較するために、先回の予備実験で測定したデータを下に再掲載するが、上のグラフと比較出来るように縦軸のスケールを合している。

 やはり様子が異なっているのである。引張力(牽引力)特性の駆動側のカーブ具合が異なっている事、そして制動側の踏ん張り力が大きくなっていることが分かるであろう。この特性の違いは、粘着力特性としても曲線具合の違いとしても表れている。

 

■ 違いを比較してみよう

 何故、このように異なってしまったのか、よく分からないので、電圧パラメータ毎のグラフにして比較してみよう。

 ● 今回の測定値のパラメータ毎のグラフ

 電圧パラメータの3Vのデータはすべり率のデータが少し変である。この辺りの低速では正確に計測出来ていないものと推察する。

 ● 先回の測定値のパラメータ毎のグラフ

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 違いの要因は何だろうと考えても、車両は分解もしていないのでそのままであり、計測方法も違いが分からないのだ。ただ、時間だけが経過しているので、車輪の踏面の粗さが違ってきたことぐらいしか考えられないのである。

 そこで、車輪を観察してみた。右の写真。 車輪の踏面は、こすられて滑らかになり、そしてピカピカに光っているいるだろうと思っていたが、表面は縦傷の筋が目立つピカピカの状態でした。拡大レンズを通しての撮影ですが、肉眼での観察では縦傷がびっしりでした。

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 レールと車輪が接する表面粗さは、模型の縮小率の 1/150 にはならないので、実車とは同じとは言えないのだ・・・・・・・・・・・。

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 また、一番注目しているのは、右上がりではなくて、わすかではあるが、凸形状になっているではないか!・・・・・・・・・・。

 先回、早々と結論付けた、「 Nゲージのトラクションタイヤの無い動輪とレールの間のμカーブ特性は右上がりの特性となることが分かる。」と言う断言が崩れてしまったことである。

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 今回の測定データの4Vと5Vの場合のデータを見ていると、粘着特性の「粘着領域」と「滑空領域」とが判別できるようになり、その境界線がすべり率で30〜40%の位置であるとも読み取れるである。

 

■ 率に換算する

 このような場合、一般的には粘着力を動輪荷重で割って、摩擦係数のように率で表現されている。そこで、率に換算するために台車に掛かる重さを計測した。

  重さは、車両全体では 38.4 グラム、動輪台車は 28.8 グラムであった。

鉄道の場合、車輪に掛かっている車体の重量を輪重と呼ぶ。粘着力を輪重で割った値を接線力係数と呼び、このうち最大のものを粘着係数と称する。粘着係数が静摩擦係数に相当することになる。この時の粘着力を特に粘着限界と呼んでいる。  ----  ウィキペディア「粘着式鉄道」より  ---- 

 そして、下記の場合についてその結果を示そう。

  

 粘着力のgf 単位の表示を、測定した台車荷重 gf で割って、割合表示に変更しただけであるので、グラフのパターンはなんら変化していないのである。でも摩擦係数のように一般化された数値となるので、原理的には他の車両への応用が可能となるのだ。また、この接線力係数の最大値を粘着係数と呼ぶそうだが、最大値はすべり率が30〜40%範囲にあるとも読み取れるで、これより粘着係数を読み取ることが出来る。

 即ち、鉄道模型のNゲージの場合、ゴムタイヤを履いていない動輪の粘着係数はおよそ 0.15〜0.20 である と言えよう。

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 高々、一つのモデルのある条件の場合だけで、断定するのは無理があるのは承知している。これもホビーとしての楽しみなのでご容赦ください。

 

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 2025/11/2