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登山鉄道自動運転システム  ポイント駆動回路の検証

■ はじめに

 システムを制御する電気回路の全体像を設定したので、ハード回路を制作する前に各要素の機能をそれぞれ検証していく事にする。 まず最初に一番気にしているポイント駆動回路から実験した。

 

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■ ポイント駆動回路

 ポイントを駆動する回路も多くの参考資料が紹介されているが、今回は、電子工作マガジンのvol.30 に紹介されている回路を参考にした。 このマガジンの説明回路には100Ωの抵抗がコイル回路に挿入されているが、この役割は何なのか説明がないので理解できていない。 リレーの仕様書によるとコイルの抵抗は720Ωなので、12V でも17mAであり、通電状態が続いたとしても安全圏であろうと判断している。

 他の資料によると、コイルの電流を切断した時に発生するフリーホイール電流によって、駆動回路が破壊する恐れがあり、フリーホイール・ダイオードをコイルの両側に接続しておきなさいとあるので、少し心配になって来た。 まずは図6の回路図に従って実施してみることにした。

 

■ ブレッドボードでの実験

 ブレッドボードを使って回路構成して、作動を確認した。 12V 電源はACアダプターを使用し、信号用には乾電池2個を使用した。

 2組の回路をブレッドボード上に構成し、乾電池からの電圧を入力端子に接触したり離したりしてポイントの動作を確認した。 ポイントは問題なく作動し、回路は問題無い事が検証された。

■ オシロでの確認

 次に、作動状態をオシロでも確認した。

 まず最初にリレーを駆動するコイル回路の前後の波形を観察した。 オシロの設定方法を充分に理解していないためか、コイルがONの時はダンマリであるが、コイルがOFFでは波形が現れたので、その設定で観察を進めた。

● フリーホイール・ダイオードの効果

 コイルをOFFした場合のオシロ画面を下に示す。、左はダイオードが無い場合で、右がダイオードを追加した場合である。 回路を切断すると、コイルの両側とも、12Vになるが、2msec程度の間は下流側の電圧が 35 ボルト以上のヒゲ電圧が発生しているのが分かる。 これが逆起電力と想定する。 ダイオードを挿入すると、そのヒゲは無くなり、時間も少しのびている。

   

 この画面の比較より、フリーホイールダイオードが有効であることが分かる。

● 100Ωの抵抗を取る

 次に、理解出来ていない100Ωの抵抗の効果についてもチェックしてみた。 左がフリーホイールダイオードが無い場合で、右がダイオードを追加した場合である。 

   

 コイル抵抗は720Ωであるので、100Ωの抵抗が挿入されていた場合には、約1.5Vの電圧降下が生じていた。 この抵抗が亡くなったので直に12Vが掛かっているのがわかる。 そして、コイルOFF時のヒゲ電圧は、上記の場合よりも大きいように見える。

 この実験をテスト中に、ウンともスンとも言わなくなってしまった。 配線が外れたのかと思ってチェックしても異常は無かった。 試しにダイオードを外すと作動するようになったので、取り外したダイオード単品で通電チェックをしてみた。 両方向とも抵抗はゼロであった。 テスターのレンジを下げてみると両方とも約 1Ω程度であった。 ダイオードがパンクしてしまったと判断する。 そこで少し大きなダイオードに取り換えて実験した。

● ダイオードを変更する

 ダイオード変更後は正常に作動するようになった。 今回はどういう訳かコイルON 時の波形が得られたのでそれを下左に示す。 駆動回路がON になるとコイル下流側の電圧がゼロに落ちて、コイルに電流が流れていることを示している。 駆動回路用の信号入力を観察しておればその応答性を見る事が出来たと思うが、この波形では判断できない。 駆動回路がOFF になってもヒゲ電圧は発生しておらず、ダイオードの効果と見る。

   

 ちなみに最初に使用したダイオードは、汎用小信号高速スイッチイグ・ダイオード 1N4148 100V200mA であり、取り換えたダイオードは、汎用整流用ダイオード 1N4007 1000V1A に取り換えた。 耐圧が 100V もあれば充分と思っていたが、見事に裏切られてしまった。 1000V もあれば大丈夫と思われる。 さらに駆動用のトランジスタ 2SC1815 東芝製 のコレクタ・エミッタ間電圧の最大定格は 50V と記されているので、やはりダイオードを使用するのが安全を思われる。

● コンデンサの前後の電圧

 次に、コンデンサの両脚の電圧もチェックしてみた。 コンデンサは 2200μF である。

   

 どのチャンネルをどちら側に接続したかメモしておくのを忘れたので波形から判断してください。 左が充電時、右が放電時と判断出来ますね。 黄色のラインが出力側ですから、見事にプラスとマイナスの電圧が発生しているのが分かります。

● ポイント回路の出力

 ついでに、この回路の出力であり、実際のポイントのコイルに掛かる電圧波形を見ておきました。 観測点を変更した際に、上記と場合と合わせとけばよかったのですが、ラインの色が変わってしまいました。 回路の一方はGND 側に接続されていますので、チャンネル1は常にゼロを示しています。 

   

 

■ まとめ

 リレーを駆動するコイルの両端には、電流切断時に発生する逆起電力によって駆動回路が破損するのを防止するため、やはりフリーホイール・ダイオードを取り付けることにします。 また、100Ωの抵抗については、リレーコイルの異常時、例えばショートした場合を想定してトランジスタ回路の保護のために挿入しておくことにします。

 ともかく、この回路でポイントを正常に駆動することが確認できたと判断します。

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 2017/5/13 作成  M.T.