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自動列車停止装置 システムの検討

■ はじめに

 物置部屋に設置された我がレイアウトに、無謀にも追突防止の自動列車停止装置、いわゆるATSを設置しようと挑戦を始めた。 いよいよシステムの具体化に向けて具体的な検討を進めることにした。

 今回は、レイアウトの区間割と制御回路の構想を進めることにする。

 

■ レイアウトの区間割の検討

 物置部屋のレイアウトについては既に紹介済みである。 まず、このレイアウトに走行させようとする列車編成の長さから調べた。 停車出来るホームの長さの制約などから、最大長は KATO の 寝台特急「カシオペア」(10-399 基本セットと10-400 増結セット)の電気機関車と客車12両編成である。 編成長さは、1,850mm であった。 ホームには丁度ピッタリの長さである。 この他には新幹線シリーズがあるが、最大で12両の編成なので、ほぼ同じ長さと思われる。 その他の旅客列車や貨物列車は、この長さを限度に、任意に編成すれば良いであろう。

 次に、実際のレイアウト上で区割りを考えてみる。 以前からあれこれ考えてはいたが、制御回路が固まって来るにつれて下記の様に区割りする事に決めた。 当レイアウトは、多くのブロックに分割しており、取り外し可能なレイアウトとしている。 そこで、区割りもそのブロックを考慮してすると共に、現在の給電ポイントは内回り、外回り共に4ヶ所から給電しているので、これを活用するように設定した。 その結果、全周を7区間に分ける事にした。

 まず、外回り線について、設定した区割りと、ギャップ部分、センサの設置場所、給電ポイントを下のイラストに示す。 各ブロックを色分けしてしめしている。

 なお、駅は2面4ホームの設計であるので、追いついてきた後続の列車を追い越す時に利用できる。 勿論、その場合は手動操作となるが、そこまでの自動化は考えていません。

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■ 制御回路の検討

 区割りの検討と共に、制御回路も同時に検討していた。 検討を始めたころの制御回路を右に示す。基本回路は、「光センサーを使った通過センサーを作る」で紹介したテスト回路と同じで、4個のリレーに対応するように回路を増設している。

 ここで、二つのセンサの出力を “NAND ” で接続してArduino に入力しているが、これは、先行区間にあるセンサーと、閉塞区間の先頭部分のセンサーとのANDを使うことにより、閉塞区間の先頭部分で列車を停車させための細工である。 これによって、閉塞区間での停車位置を一定にさせることが出来ると考えている。

 このAND 処理をArduino での制御処理にて実施しても良いが、入力ポートが多くなるのを嫌って、ロジック IC を使ってみる事にした。 しかし、AND よりもNAND の方が一般的 ICとのことなので、こちらの IC TC4093BP を使うことにした。

 なお、センサ番号と区間番号が上記の区間割イラストと一致していないが、これは途中で何度も修正しているので、食い違っていることをご容赦下さい。

 

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 何度も検討している内に、停車位置を一定にさせるロジックが本当に大丈夫だろうかと心配になってきた。 それは、編成長さの短い列車を走行させる場合は、先のシステム要件の検討で示したように、二つの列車の速度比の制限が厳しくなってしまうからである。

 また、センサ部が何らかのトラブルになった時、その機能を停止させることも必要ではないかと考え、その区間の作動を強制的に停止させる機能を追加することも考えた。

 強制的に停止させるためには、センサが無かった事、ということは、列車が通過していない状態、即ちセンサ出力を強制的にLOW 状態にすれば良いので、左の回路図の追加1のようにスイッチを追加する。

 また、停車位置を一定にさせるロジックを停止させるには、後ろ側のセンサを何時も列車が通過している状態、即ちHIGH にすれば良い。 そして、その選択はすべての区間を一度に切り替えられるように、追加2と3の回路を追加した。

 

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 少しややこしくなってきたので、この回路の真理値表を作って、ロジックの整理と検証を実施してみた。 その表を右に示す。

 その結果、間違いなさそうであることが確認できたが、ふと重大な事に気が付いた。 NAND 回路とリレー回路の間にNOT 回路を挿入すると、Arduino はいらないのではないか! テスト回路のスケッチを書いている時にも薄々気が付いていたが、ここではっきりと認識した。

 

■ Arduino 不要な回路

 Arduino の高度なお仕事は、ここでは必要ないのである。 今度の制御回路はシーケンス制御なので、マイコンが無くても実現可能なのである。 ここに来て、この事に気が付くようでは、やはり素人ですね。

    でも、それに気が付いた事はエライ!

 と言う事が、Arduino のお世話にならない回路を再検討した。 ただし、リレー駆動回路を新たに設計する自信はないので、リレーシールドはそのまま使用することにする。 リレーシールドは、5Volt電源があれば単独でも機能するように思えたからである。 でもどうやってその電源を確保するか? ACアダプターを 5Volt にするか!

 ここで、秋月の部品を見ている時に、リレーシールドの回路図を見つけ、その回路の中に5Volt電源の回路を発見する。 リレーシールド自身で5Volt電源を作っているようである。 これは使えると言う事で、早速注文を出した。 品名は、Arduino2.1用リレーシールド、品番:DFR0144である。

 その間に、手持ちのリレーシールドを使って実験してみることにした。 電源はArduino から供給してもらって、テストした状態を下に示す。

 ふたつの光センサーをテープで覆って暗くすると、見事リレーは作動した。 電源さえ供給してやれば、リレーシールド単独でも機能する事を確認した。

 この結果に意を強くし、新しく注文したリレーシールドと古いシールドの二つになったリレーシールドを使ってリレー回路を増設し、Arduino 抜きの回路図を作成した。 下の回路図を参照。

 ロジック回路は、汎用ロジックIC 4000シリーズのTC4093BP を3個使用し、入力の選択をジャンパピンで行う回路に整理している。

 なお、ホームを含む区間7は、センサー位置が悩んでしまったので、通常通電の区間にしている。 本線ホームと退避線ホームのどちらにセンサーを設置すべきか、両方にセンサーを設置するとややこしい事になるし、かといってポイントの先に設置すると、ポイント上で停車して見っともないことになるし・・・・・・・・・・。 足の速い列車の追い越し操作のためにも、ややこしい細工は止めにしておこう。

 

■ ダブルセンサーについて

 さる読者より、「遮光型センサーで対象物のスリットが問題になる場合、光軸を斜めにするのが工業的定石です。」とのアドバイスを頂きました。 なるほど、光軸を斜めにすると、スリットがあっても光をさえぎり、反応する事は防止出来ますね。 チョットした工夫で効果的であり、実際の現場では多く採用されていると思われますが、さて、我がレイアウトに採用出来るが考えてみました。 コンテナ車をレールの上に置いて見ましたが、これは無理だと即座に判断出来ました。 また、室内灯の灯りでも反応するので、その光軸を斜めするのは不可能と判断し、採用を見送らせていただきました。 アドバイス頂きましたが、このような理由により、当初のダブルセンサーにて実施することにしました。 

 

 次回は、これらの工作内容を報告する事にします。