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自動列車停止装置 試験路を作る

■ はじめに

 物置部屋に設置された我がレイアウトに、無謀にも追突防止の自動列車停止装置、いわゆるATSを設置しようと挑戦を始めた。 構想検討が固まったので、いよいよレイアウトへの設置作業を始める。

 シーケンス制御といっても、自分には初めてのことなので、制御盤の一部を工作すると共に、レイアウトに試験路を作ってテストを実施し、このシステムの機能を確認することにする。 試験路は、先回検討した区間設定の、3番、4番、5番の区間とし、4番と5番にリレーを接続したもので、上手くいけばそのまま正式路に採用しようとするものである。 この試験路は、容易に工作出来るレイアウトの手前部分にあり、部品の制約も考慮して設定した。

 

■ 制御盤の工作

 回路図と実物を見ながら配線の実体図を描きながら、部品の配置を決める。 部品の注文は、Arduino を使用する状態の配線図(Ver. 2.1)の状態で実施したので、修正した回路図の Ver.3.1 に対して部品が不足してしまった。 まだ、自分の設計には自信がないので、取りあえず手持ちの部品で作ってみて、うまく作動すれば、部品を追加注文することにする。 このため、手持ちの部品で構成出来る回路に合わせて試験路を決めた。

 ユニバーサル基板に組付けた状態を下に示す。 スライドスイッチやロジックIC が不足しているので、リレーは2回路分しか構成出来なかった。 また、ジャンパピンも無いので銅線でぐるぐる巻きである。 この写真の状態では、ハンダ付した回路をミスしているところがあるが、テスト走行時のトラブルで発見することとなる。

 追加購入した DFROBOT製のリレーシールド (品名: Arduino2.1用リレーシールド、品番: DFR0144  秋月より) について、デジタル入力ポートの変更のために、下の写真の様にジャンパー線を工作した。 これは、もうひとつのリレーシールド (SeeedStudio製のRELAY SHIELD V2.0  SLD01101P  マルツより) も重ねて使用するため、 デジタル入力ピンが重なってしまうからである。 SeeedStudio製は、ピンを変更出来ないが、DFROBOT製はジャンパー線で任意に変更できるのでラッキーであった。

 次に、制御盤を構成する木製の板に、回路基板とシールドを取り付ける。 ここで、シールドの取り付けに戸惑ってしまった。 シールドの取り付け穴が板からはみ出してしまうし、シールドのピンが下に多数飛び出ているので、止むなくシールドについていた発泡部材を間に挟み、針金と手作り金具で無理やり固定した。

 さらに、回路基板との接続テストでトラブルが発生する。 リレーシールドが作動しないのである。 回路基板とシールド間は、Vcc、+5、GND の回線を接続し、ACアダプターから 9Volt を供給している状態にし、入力ポートにジャンパ−線で 5Volt をかけるも、リレーは作動しなかった。 ソレノイドテスト用のスイッチでは作動していのに?

      シールドの回路図を見ていて気が付いた。 Arduino と接続する +5 のポートは、シールド内には配線されていない!

 当初は、シールド内で作られる 5Volt と Arduino から受け取る 5Volt とは、マッチングするのかなと思っていたが、何のことはない接続が切れていたのである。

 さて、シルードの 5Volt 電源をあてにしていたのでシルードの手直しが必要? ・・・・・・・・・・止めておこう! 壊してしまうのが落ちである。

 シルードの基板をしげしげと見ていると、端っこの方に “ +5 ”とかいてあるピンを発見する! IIC 用のポートの一本である。 このポートを使用してリレーの作動チェックを実施した状態を下左の写真に示す。 リレーは作動する事が確認できたが、ここから 5Volt を取り出せる事も分かった。

 さらに、入力ポートとリレー番号の関係を確認した。 ピン変更のジャンパ線の配線を確認するためである。 D0ポートから順次チェックしていったが、D3ポートが反応しない。 ジャンパ線の配線を外し、もとのD2ポートに 5Volt をかけるもののリレーは反応しない。 テストスイッチでは反応するので回路のどこかがおかしいと判断する。

    これは・・・・・・・・・ 不良品?

 ここで諦めずにテスターを持ち出し、怪しい部分をチェックする・・・・・・とは言っても素人判断であるが、でも、フォトカプラの足のハンダ付不良を発見する。 ハンダを少し持って修正すると、見事に作動した。 LED点灯を以てOKとしたが、それでも4個のリレー回路が良好である事を確認し安心する。 やれやれ、一歩前進!

 そして、IIC 用のポートから回路基板に供給するよう配線したのが、下右の写真である。

 次に、線路給電用の配線である。 レイアウト解体後にストック品となっていた KATO の分岐コネクター(24-825)を使って工作する。 プラス側を共通配線にし、マイナス側をリレーに配線する。 下左の写真。 下右はテスト用として完成した制御盤を示す。

 DFROBOT製シールドの上に、SeeedStudio製を重ねているが、リレー用ターミナルがそれぞれ上下に別れており、リレー作動用のLEDも視認できる位置にある。 これもラッキーと言える。 なお、SeeedStudio製への 5Volt 電源の供給は、Arduino 用のポートを使って供給出来るように配線を修正している。

 

■ センサーの工作

 試験路には3か所のセンサーが必要なので、追加工作と共に、レイアウト上に設置した。

 区間4に設置するセンサは、試作品と同様に構造にして、線路下のベニヤ板の下に差し込んだ。 下の写真。 この部分は、ブロックのベース板と線路道床の板の2重構造になっているので、センサユニットが必要であった。

 区間5のセンサ設置部分の線路は、ブロックのベース板の上に直接固定されているため、ベース板の裏側に直接センサー回路を構成した。 下左の写真。 上から見た状態を下右に示す。

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 区間3のセンサは、最初に工作したセンサを使って高架橋に設置した。 右の写真。 線路を照らす外灯なんて・・・・変ですね!

 

 

■ 制御盤の設置

 制御盤は、レイアウトの手前の裏側に設置する。 ここは、線路や各種機器の部品が入ったケースの保管場所になっているため、制御盤の下側の位置は制約される。 さらに上側はレイアウト台の垂木がはみ出しているので、この部分も避ける必要があった。 このため、制御盤の構成は、色々制約されて写真のような収まりとなっている。

 今回は外回り線路を対象として工作しているが、勿論、うまくいったら内回り線路も工作しようとしているので、そのためのスペースも最初から考慮して検討してが、制御盤の右半分は、その内回り用に確保している。

 下左の写真は、その制御盤の設置位置を示し、下右はその拡大写真である。 テスト用のために、配線はグチャグチャである。

 

 

■ テスト走行の実施

 走行テストでは、幾つかの問題が発生した。 当初は、作動が不安定で、リレーがバチバチ言っていた。 原因は回路基板の初歩的な配線ミスであった。 リレー回路の番号違いなどもあったが、最終的には、正常に作動する状態を確保することができた。

 ここまで来ると今までの苦労がいっぺんに吹っ飛んでしまい、一番うれしい瞬間である。

 その走行状態を、今回も動画で紹介しよう。 ( YouTube での動画 )

 旅客列車とコンテナ列車、および貨物列車の3本を走らせた。 リレーで制御している区間が僅かに2区間であったが、追突防止のための自動列車停止装置 ATS システムは機能している事が確認出来ました。 僅かに2区間であるため、速度差が大きいとすぐに追いついてしまうので、全線への展開が必要ですね。

 今後は、一番大変な奥側ブロックの工事に取り掛かることにしよう。