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自動列車停止装置 グループ分けと走行動画

■ はじめに

 物置部屋に設置された我がレイアウトに、無謀にも追突防止の自動列車停止装置、いわゆるATSを設置した。 しかし、そのスムースな運用には多くのノウハウを必要とした。 そこで、色々な編成の列車を走らせて試運転を繰り返し、その結果を運用マニュアルとしてまとめてみた。 その中で、走行させる列車編成とし、その走行スピードに関して、幾つかのグループに分類して同じグループ内で走行させるのがベターであるとの結論に至った。

 そこで、そのグルーピングのための試行を実施してみた。

 

■ グループ分けの考え方

 その編成の車両には、それに適した走行状態があると考えて、グルーピングしてみた。 なお、スケール速度の設定は見た目で判断しており、現実の数値よりも少し高目の方がその感じが出ていると判断した。

1) のんびり走行グループ
凸凹編成の昔の貨物列車や小型蒸気機関車に牽引される列車を想定する。 スケール速度は、50〜80Km/h 程度とする。
2) ゆったり走行グループ
旧型旅客列車に鈍行や急行、あるいは現代のコンテナ貨物列車などのゆったりと走行する列車を想定する。 スケール速度は、80〜120Km/h 程度とする。
3) 快足、快調なグループ
見ていても、快適に走行している感じのするグループを想定する。 例えば電車編成の列車やブルートレインなど。 スケール速度は、110〜150Km/h 程度とする。
4) 高速グループ
勿論、高速走行の新幹線シリーズを想定する。  スケール速度は、200Km/h 以上とする。

 次に、速度を制御する供給電圧について考える。 DCCシステムでは、車両毎に速度を設定できるが、我がレイアウトではコントローラで給電電圧を調整するしか無いし、それもその路線を走る列車に均等に給電されてしまう。 このため、速度設定のための電圧をあらかじめ設定して置く必要がある。

 そこで、給電電圧は、取りあえず、 4ボルト、6ボルト、8ボルト としておこう。 なお、これらの分類は、あくまでグルーピング化のための設定であり、実際に走行を楽しむ場合には、選別した列車編成に適した電圧に調整して楽しめば良いのである。

 

■ 列車の速度情報の収集

 列車編成を決めて、その時の走行情報を収集し、走行させる列車のグルーピングを行うことにする。

編成名 車両構成 設定電圧 消費電流 走行速度 走行グループ分けとメモ
寝台特急 カシオペア EF510-510(KATO)+客車6両(KATO 10-399)
8 Volt
160〜190mA 148、152Km/h 快調
6 Volt
130〜160mA 100、106Km/h ゆったり
寝台特急 富士 EF65-1124(KATO)+24系客車7両(KATO 10-855)
8 Volt
160〜205mA 167、164Km/h 快調
6 Volt
130〜160mA 121、124Km/h ゆったり
コンテナ貨物列車 1 EH500-2(TOMIX)+コンテナ車11両

6 Volt
220〜270mA 97、110、108Km/h ゆったり
コンテナ貨物列車 2 EF210-109(TOMIX)+コンテナ車10両
6 Volt
130〜160mA 120、114Km/h ゆったり
貨物列車 1 EF65-1097(KATO)+各種貨車12両
6 Volt
130〜200mA 109、114Km/h ゆったり
コンテナ貨物列車とコラボ可能
貨物列車 2 D51-36(KATO)+D51-498(KATO)+2軸貨車21両
6 Volt
210〜280mA 81、83Km/h もう少し電圧を下げて のんびり
自然解放する車両多し
貨物列車 3 D51-498(MICRO)+D51-498(MICRO)+2軸貨車17両
6 Volt
300〜350mA 80、89Km/h もう少し電圧を下げて のんびり
自然解放する車両多し
旅客列車 1 C57-180(KATO)+43系客車7両
6 Volt
350〜400mA 127、128、130Km/h ゆったり
電流値が高いのは、麦球式の室内灯のせいだろうか。
旅客列車 2 C55-62(KATO)+35系客車7両
6 Volt
300〜370mA 131、135Km/h ゆったり
登りで時々スタック発生
電流値が高いのは、麦球式の室内灯のせいだろうか。
153系電車1 153系(高運転台) 7両  KATO 10-883
6 Volt
200〜230mA 205、214、213Km/h 高速
これは早すぎます
4 Volt
180〜220mA 122、131、143Km/h 快調
登坂で少し止まりそうになる
153系電車2 153系 6両  KATO 415
6 Volt
150〜200mA 150、145、146Km/h 快調
KATOの古いモデル、
トラクションゴム装着無し
室内灯未装着
山手線通勤電車 E231系500番台山手線色5両基本セット(KATO 10-258)

8 Volt
190〜230mA 155、168Km/h 快調
6 Volt
170〜210mA 112、116Km/h ゆったり
近郊通勤列車 キハ35首都圏色(KATO 8074-2+8075-2*3)

8 Volt
95〜110mA 144、151Km/h 快調
6 Volt
80〜100mA 105、107Km/h ゆったり
高原列車 C56-149(KATO 2020-1)+2軸貨車*4両+43系客車*2両

6 Volt
70〜90mA 103、105Km/h ゆったり
4 Volt
60〜70mA 73、74Km/h のんびり

 

■ グルーピングの例

 上記の計測結果をもとに編成のグルーピングをしてみた。

  4 Volt 6 Volt 8 Volt
のんびり 貨物列車 2
貨物列車 3
高原列車
   
ゆったり   寝台特急 カシオペア
寝台特急 富士
コンテナ貨物列車 1
コンテナ貨物列車 2
貨物列車 1
旅客列車 1
旅客列車 2
山手線通勤電車
近郊通勤列車
高原列車
 
快調 153系電車1 153系電車2 寝台特急 カシオペア
寝台特急 富士
山手線通勤電車
近郊通勤列車
高速   153系電車1  

 殆どの車両は、のんびり走行では 4Volt 、ゆったり走行では 6Volt 、快調な走行を楽しむなら 8Volt 近くに設定して楽しめば良さそうだし、同じ様な走行特性なので任意の組合せが可能なようである。 しかし、何故だか153系電車は仲間はずれである。 この仲間はずれのグループは、このほかにもあるだろうと思われる。

 

■ 走行動画

 幾つかの組合せについて、走行状態を動画で撮影したので紹介しよう。

1) コンテナ貨物の走行

 上記のコンテナ貨物列車1と2、および貨物列車1のコラボレーション。 途中で貨物列車1が何故だか停車してしまったので追突が発生している。 3列車同時運転は、忙し過ぎるので、楽しんでいる余裕は無かった。 さらに、もっとのんびり走行の方がよさそうである。

2) SL重連による貨物列車

 上記の貨物列車2と3の D51-2重連で2軸貨車を牽引する凸凹編成である。 速度はやや早めであるが、もう少し下げても機関車を重連させているので登り坂は充分に登り切ると思われる。 また、撮影途中で、自然解放による貨車の置き忘れがあったが、幸いにもセンサ上で停車していたので、ATSが見事に作動して、追突を防止した様子が撮影出来た。

 

3)旅客列車と貨物列車

 上記の旧型客車による旅客列車と貨物列車の合計4本を同時に走らせた。 旅客列車を走らせている内回り線では、単編成の場合に設定していた電圧 6.0ボルトが、2編成を同時に走らせると 5.3ボルトに低下し、電流値は600〜700mAを消費していた。 パワーユニットの容量より、これは限界に近いと思われる。

 

■ 最後に

 苦労して作り上げてきた追突防止のための自動列車停止装置、いわゆるATSの設置は、何とか成功したと考えている。 そして、また新しい多くの事を勉強し、そのノウハウを習得した。 今回で、このシリーズの報告は完了としよう。

 今後は、このシステムを活用し、その時のテーマを決めて車両を選択し、そのコラボレーションを楽しんで行こうと思っています。