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新ATSに挑戦 構想

■ はじめに

 物置部屋のレイアウトは一区切りがついていたので工作作業はひとまず休止していた。 その後、動力特性の解析を暫く取り組んでいたが、やや行き詰まり状態となってしまったので、ひとまずこのテーマも充電期間とすることにした。 そして、新たに取り組む事にしたのが新しいATSシステムである。

 このテーマは、2017年1月から始めた物置部屋のレイアウト改造を始めた当初から構想していたもので、その時のアイディアをいよいよ実現させることにしよう。

 

■ 新しいATSの構想

 この新しいATSの構想については、当サイトの別室として活用しているブログ「鉄道模型工作実験室」にて、「自動運転停止装置 ATS の検討 分散式制御方式」(2017/2/14)にその構想をメモしておいた。 その内容をここに再掲載してみよう。

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 新しく作り直すレイアウトについても自動運転停止装置 ATS を組み込むつもりである。しかし、現在の集中制御方式では配線だけでも大変なことになりそうである。 そこで各閉塞区間内で制御を実施する分散方式を検討した。 まず、全体のイメージを絵にしておこう。 右のイラスト参照。 このイラストは、ひとつの閉塞区間を想定して、その出口に車両の通過センサを配置して、線路への通電を制御しようとするのである。 そして、ついでに信号機も設置することを想定しておこう。

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 線路への通電は、配電用の配線を独立して通しておき、各閉塞区間内での制御によって線路への通電をコントロールする。 勿論複線で実施する。 そして、ここで実施する基本構成を左に示す。

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 進路前方の区間に車両が存在する場合には、その区間に入る前に停止させるために、前方区間のセンサ信号を取り入れておき、自分の区間の状態と合わせて判断させるのである。 この考え方は、現在実施しているものと同じであるので、すでに実績のある制御方式である。

  今回は、実際に実施するかどうかは別にして、信号までも制御できるようにしておこうと考えている。 そしてそのロジックを次の様に考えている。 ここで、「ちょっと待って赤」のイメージは、車両がセンサを通過後すぐに信号機を赤にするのではなくて、しばらく走行させた後に赤を点灯させるのである。 これはセンサを設置している位置が区間の終点から少し手前に設定しているため、車両が通過前に赤信号になってしまってはマズイからである。

 最近の動力車はフライホイールを装着しているものが多くなったので、レールへの給電を停止してもかなりの距離を走行してしまう。 もし、次の区間まで走行してしまうと、せっかく停止させようとしたのに、通り過ぎてしまうので、停止距離を設定しているのである。 前方に車両がいる場合には、信号機の手前でピタリと止まってもらいたいために、このセンサの設置位置は重要なのである。 さて次は、この様な制御が実際に可能かどうか検討してみよう。

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 まず、レールへ給電する回路に設けるリレーは、1C接点の小型リレーを使用する。 制御回路が機能していない時でもレールには通電している状態にしておく。 そしてこのリレーを駆動させるトランジスタ回路を設け、センサS1とS2のANDを取れば良いのだ。 簡単には直列接続でもAND回路になるが、今回、信号機の制御も取り込もうとすると、何らかのロジックICを使う必要が出てくる。

 単なるロジックIC回路では複雑になるので、ワンチップマイコンを使ってみることにしよう。 必要な入出力端子を数えると、8ピンタイプのPICマイコンが使えそうである。 そして、回路構成を考えてみた。

 ネットなどで勉強したとは言うものの、素人が考えた初めてのPICマイコン回路であるので機能するかどうかは実験してみないと分からない。 レイアウトのレールの傍に配置するので、細長くかつコンパクトに収める必要があるので、実態配線図も検討してみた。

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 およそ、70×30mmの基板内に収まりそうなので、まずまずの構成と判断する。 センサや信号機との接続はコネクタを使い、先方と後方の区間との信号の伝達は、+5電源と共にこれもコネクタ接続と考えている。 また、レールへの給電配線は少し太めの電線を使用し、ターミナルブロック、例えば秋月で取り扱っているTB111-2-2-U-1-1を使って接続することを想定した。

 このターミナルブロックを使用すれば、制御ユニットがなくても給電回路は構成できるのでレイアウトの試験運転がかのうである。 また、センサが設置出来ればATSの機能運転も可能であり、閉塞区間が全区間設置できなくても部分開通が出来るのだ。 レイアウト工作の進行具合に合わせて順次運行が可能と考えているので、焦らずに作業を進める事ができる、

 

 このように、なんとか頑張れば実現できそうであるので課題を挙げておこう。

  1. PICマイコンの勉強と必要な道具揃えが必要となる。
  2. このユニットは10個の閉塞区間毎に、かつ複線なのでその2倍の個数が必要となる。 配線を手作業によるとすると大変なのでエッチングによるプリント配線に挑戦する必要があろう。 ネットで注文する手もありそうだ。
  3. 信号機の制作が一番難しそうである。 20個も作らなければならないのだ。
  4. この回路の作動確認も必要であろう。 プリント配線を依頼する前に、テスト回路での十分な検討である。

 構想は出来上がったが、実現させるためにはだんだんハードルが高くなったような気がする。 その前に、現在のレイアウトを解体し、不用品をすっきりと整理して物置部屋をいったん更地にしなければならないだ。 その後、新たなレイアウトの骨組みを作り、各プレートを制作してレールを設置する必要もあるのだ。 先の長い話しではあるが、ぜひ実現させたいシステムである。

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 と言うことで、この一年半もの間、アイディアを温めてきたが、いよいよその実現に向かって進むことにする。

■ システムを具体的に詰める

 システムを具体的に進めるためには、再度、色々な課題を詰めておく必要がある。 例えば

  1. 8ピンのPICで入出力は間に合うのか。 また、どの石を選択すればよいのか。
  2. プログラム記述はアッセンブラで行くのか、C言語で行くのか。
  3. 先のATSシステムでは、先方のセンサに引っかかる前の状態は列車が存在していたとしても (走行中、あるいは停車中) 、それを検知することが出来なかった。 これを解決したいがどうやって判断するのか。
  4. ヤードの出入り口で衝突しないための工夫が必要である。
  5. 待避線があるホームでの待避と出発進行の制御が出来るのか。 これは信号待ちをホーム内で実施したい。 ポイント上で停車させるみっともない状態は避けたい。
  6. 多くの制御基板を効率良く作りたい。 特に上記の(4)と(5)にも対応できる標準型の制御基板にしておきたい。 

 こんかいのシステムの基本構成を下記の様にする。 メインの給電ラインは、レール途中での電圧降下を避けるため、太めの電線ですでに設置ずみである。 このため、各閉区間毎の工作を順次実施して行けば良いのだ。

 次に、PIC選定のために制御の概略を見ておこう。 制御の目的は、対象となる閉塞区間の給電の ON/OFF である。 入力としては二つの通過センサーの情報をもとにロジックを組み立てることにする。

 単純に考えると上記の場面1から場面3までの設定で制御できるのである。 今までの方式ではこのロジックをハード回路で実施してきたのである。 しかし、課題(3)で挙げたように、先方のセンサ S2 に引っかかる前の状態を何とか制御内に収め方法をいろいろ検討してみた。

などのアイディアも頭に浮かんだが、先方のセンサ S2 に引っかかる前までは、自分が通過した情報を記憶させて後続の列車を制御するアイディアを取り入れてみることにした。 上記の図の場面4から場面6までの間は、通電をOFFさせるロジックである。 ただし、いろいろなケースが発生するので、それにうまく対応できるのかは自信がないのだ。 例えば、運転中に制御用電源をOFFさせ、再度ONさせた場合には、場面2の場合でS2がOFFであるとこの情報が無いので電車を通過させてしまうのである。 このようなマレのケースは想定外として制御未対応として容認することにしよう。

 

◆ 課題(4)と(5)への対応

 今回のシステムでは是非取り入れたい項目である。 その検討内容の説明は後日実施することにして、結論として追加の回路をOPTIONとして設定しておけば対応できると結論している。 そのための回路構成をあらかじめ組み込んでおくことにする。

 

◆ 課題(1)と(2)への対応

 次回からこの検討結果を報告しよう。

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 2018/9/10 作成