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測定データ データによる裏付け

 収集した測定データの活用の一つとして、疑問に思った現象のデータによる裏付けが出来た事例として、動力部への注油の効果について紹介しよう。

 

■データに現れた注油の効果

 KATOより2014年に発売されたコアレスモータを搭載した新しいもでるである C57 4次形の特性を測定してみて不思議に思った。 すでに発売されていたD51やC62 のようなすっきりとしたパターンを期待したが見事に裏切られてしまった。 データはバラバラであり、ドリフトの様な現象も見られる。 走りの状態を見ている感じとデータでの現れ方が違っている。 見た目には安定した走りを見せているのに、データとしては、少しバラツイた不安定性を示す測定データなのである。 KATOの技術陣が努力してきた結果が、安定性に欠けるデータとなっているのは、なぜ・・・・・・・?

 感性で評価する場合とデータで評価する場合の違いの難しさを感じてしまったので、この特性線図を測定する意味は何なのだろうか、とまで反省し、「特性線図から何が読み取れるか」の自問自答を実施したのである。 その内容を次に紹介するが、その原因は容易に判明した。

 ボイラー部と動輪押さえを外し、軸受部とギヤ部にオイルを少しばかり注油する。 特にウォーム軸の軸受部分は注意して注油した。 そして、レイアウト上で1時間ほど馴らし運転を実施して、再測定を実施した。 その結果は、見事に改善された安定した様子を見せてくれた。 オイルは禁止ですとの情報はあるが、やはり機械部品には重滑油は必要であることを、データとして示してくれました。 

● 対象のモデル

 対象としたモデルはKATO製の C57 4次形 ( 品番: 2023)  C57-195号機である。 ちなみに 発売日は 2014年5月で、新品購入したモデルである。 C62型で完成したコアレスモータなど、最新技術が詰め込まれた次世代型動力ユニットの最新モデルである。

 

● 最初の測定結果

 単機平坦路走行での速度特性を測定する。 スケール速度の80Km/h を出すには、 6Volt 必要であり、一般的なNゲージよりも遅いと言える。 C56やD51と同じ仲間です。 電流は、コアレスモータの特徴で、7〜 30 mA と非常に小さい。 そして、極低速は、スケール速度で10Km/hの超ノロノロ運転でも可能である。

 

 次に、牽引力特性をそくていするが、上図のごとくD51やC62 のようなすっきりとしたパターンを期待したが見事に裏切られてしまった。 データはバラバラであり、ドリフトの様な現象も見られる。 走りの状態を見ている感じとデータでの現れ方が違っている。 見た目には安定した走りを見せているのに、データとしては、少しバラツイた不安定性を示す測定データなのである。

 KATOの技術陣が努力してきた結果が、安定性に欠けるデータとなっているのは、なぜ・・・・・・・?

 感性で評価する場合とデータで評価する場合の違いの難しさを感じてしまったので、この特性線図を測定する意味は何なのだろうか、とまで反省し、「特性線図から何が読み取れるか」の自問自答を実施したのである。

 

● 分解と再測定の実施

 少し頭を冷やした後、ボイラー部と動輪押さえを外し、軸受部とギヤ部にオイルを少しばかり注油する。 特にウォーム軸の軸受部分は注意して注油した。 そして、レイアウト上で1時間ほど馴らし運転を実施して、再測定を実施した。 その結果を下に示す。

 

 速度特性について再測定した単機平坦路走行での動力特性を “2回目” として上に示す。 スケール速度で10Km/h ほどスピードアップされており、電流値も 2〜6mA も少なくなっている事が分かる。 これは、とりもなおさず摩擦抵抗が小さくなったことを示していると考える事が出来る。 最低電圧もゼロに近いのは驚きである。 電流値が弧を描いているのは、コアレスモータの特徴だろうか。

 次に、再測定した牽引力特性を上に示す。 一度、疑ってしまった事を忘れるようなデータを得る事が出来た。 最新モデルはこうでなくちゃ!  “オイル一滴” でここまで変化するとは我ながら感心してしまうのである。 メカ部品はいかに潤滑が重要であるかを再認識しました。 パラメータは少し変えていますが、電流値も小さくなっていることが分かりますし、データのバラツキも非常に小さくなっています。

 そのおかげで、内蔵していた不思議なパターンがはっきりと現れてきましたね。 遷移点付近での電流値の変化を見ていると、特性値がドリフトしているのが良くわかります。 第1回目の測定の時も様子がおかしいなと思っていましたが、電圧が高くなるにつれて(回転数が影響しているのかもしれない)、その様子ははっきりとします。 何故だろうか? D51やC62 と特に変わった構造でもないし、2条ウォームの影響かな? このへそ曲りなパターンの原因はよく分かりません! お手上げです。

 疑問が新たな疑問を呼ぶ結果となってしまったが、オイル一滴のの効果をデータとして確認できた実験であった。

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