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鉄道模型工学 蒸気機関車の重連試走

■ はじめに

 重連走行時の問題を観察するため、先に実施した3V・5V速度特性のデータから重連走行の対象を選択し、試走してみることにした。 

 

■ 測定データからの選別

 

 重連走行の候補として、

  1) 特性が大きく離れている C55 62 と 69659
  2) 重連させて見たい2台のC62の可能性は? C62 2 と C62 36
  3) 特性が殆ど同じんC62 2 と D51 125
  4) 特性が少し離れている C57 180 と D51 125

を選別してみた。

 

■ 試走結果

1) 特性が大きく離れている C55 62 と 69659

 速度差が大きいのでどのような状態になるか期待して見ていたが、SL達は涼しい顔をして走行していた。

 左の動画は、回転円盤上を走行中のSLで、速度は測定していないがかなり早い状態である。 右の動画は、そのままの状態で連結を外したものである。 2台のSLの速度差が、およそ2倍はあることがお分かりと思う。 でも重連させても悠々と走行している! 我がRTM東海のレイアウト上で走らせても同じ状態であった。 速度差が大きいからといって、必ずしもギクシャク運動するとは限らないことが分かった。

 走行後、2台の動輪を観察すると、ゴム輪部の表面が荒れていた。 特にC55 62方がひどかった。このことは、動輪が滑っていたと判断する。

 

2) 重連させて見たい2台のC62の可能性は? C62 2 と C62 36

 スムースに走行していたが、まもなく様子がおかしくなったので止めて観察してみると、C62 2の動輪のゴム輪が両側とも外れていた。 SLのゴム輪が外れると厄介であり、ブレーキ部分に引っかかった様になっており、おっかなびっくりの作業で復元することが出来た。 SLには車輪の側面にロッドが連結されているため、ゴム輪交換の場合には、ロッドのピンまで分解しなければならない。 SLの分解は幾度もしているが、ロッドピンの分解までは実施したことが無いので、要注意である。

 個体差はあると思うが、作動状態によっては、容易にゴム輪が外れる場合があることが分かった。 単機で牽引させると何ら問題無いので、これは動輪が滑ったためと推定する。 

 

3) 特性が殆ど同じんC62 2 と D51 125

 速度特性が殆ど同じであれば、ゴム輪がはずれ心配は無さそうである。 そこで、この組合せで重連させて見た。D51を本務機、C62を前補機として連結して走行させた。 C62を前にした場合、特性が殆ど同じとは言っても、後ろのD51が押す場合があり、重連用カプラーがゆるんで、横に振れ、このためにD51の先輪が脱線してしまった。

 RTM東海のレイアウト上で、10系客車を牽引させると、問題なく走行出来た。 牽引負荷が掛るとD51に負担が掛り、後ろからC62を悪さすることが無くなったようである。 「重連の場合、先行車は少し足の速い車両にする」 と言うノウハウはやっぱり生きているのだ。 また、実際に実施されていた様に、C62を本務機、D51を後補機として走行させて見ると、坂を下りた直線部で客車が後ろから押されて脱線してしまう現象が発生した。 重連させるのはいろいろ難しいね。

 

4) 特性が少し離れている C57 180 と D51 125

 今度は、速度特性がやや離れている C57 180 と D51 125 をRTM東海のレイアウト上で重連させてみた。 同じく10系客車を牽引させさせている。 C57を前補機に、D51を本務機として走行させると重連走行はスムースであった。 そこで、C57を本務機とし、D51を後補機にすると、頻度は少なくなったが、やはり中間の客車が脱線する。 2両の動力車両を離し、その真中にトレーラ車を連結させると、押しあいへし合いしてトレーラ車が脱線する場合がある。 動力車両はまとめて連結する方がよさそうである。

 

5) まとめてみると

 簡単な試行であったが、肝心のギクシャク運転を観察することが出来なかった。 その代わり、重連走行では、いろいろな問題があることも分かった。 なお、ゴム輪外れのやばい現象が発生する恐れがあるので、今後の重連実験は、ロッドの無い EL や DL などで実験することにする。